東京農大1年の前田は「規格外」の速さを見せてくれるだろう(C)産経新聞社 100回大会の箱根駅伝は、その歴史的な節目を迎えるのにふさわしい、多くの注目すべき選手たちがいる。 一番、楽しみな選手は前田和摩(東京農大1年)だ。【関連記事】100…
東京農大1年の前田は「規格外」の速さを見せてくれるだろう(C)産経新聞社
100回大会の箱根駅伝は、その歴史的な節目を迎えるのにふさわしい、多くの注目すべき選手たちがいる。
一番、楽しみな選手は前田和摩(東京農大1年)だ。
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関東インカレ2部の5000mで日本人2位、総合4位で表舞台に躍り出ると、全日本大学駅伝予選会では、初めての10000mレースながらU20日本歴代2位となる28分03秒51(3着)で留学生たちの前を行った。箱根駅伝予選会では、前をいく吉田礼志(中央学院大3年)を15キロ付近から加速して追いつき、日本人トップで東京農大を10年ぶりの箱根へと導いた。淡々と走り、決して苦しそうな表情を見せない。平時は普通の大学生だが、走り出すと「規格外」の速さを見せる。無尽蔵のスタミナとスピードが持ち味で、これからが楽しみな逸材だが、小指徹監督は「田澤(廉・トヨタ)以上の逸材」とその能力の高さに舌を巻く。区間エントリ―前は「箱根は2区を走り、他大学のエースと勝負して、シード権獲得に貢献したい」と語っていたが、補欠登録に回り、2区には4年生のエース並木寧音(4年)が入った。往路区間に配置されることは間違いないが、どこを走っても区間賞はもちろん、区間新の走りで箱根を盛り上げてくれるだろう。
2区候補で、区間賞争いをしそうなのが、黒田朝日(青学大2年)だ。
「日本の長距離界のエースになれる素材」と原晋監督が大きく推すように、黒田は今季、一気に成長したスピードに優れた選手。高校時代は3000m障害の選手で、高3の時にはU20日本選手権で2位という成績を残している。青学大入学後も3000m障害をメインに活動してきたが今季は9月に5000mで13分36秒55、MARCH対抗戦では10000mで28分15秒82の自己ベストを出した。原監督が「駅伝男」と名付けるほど駅伝も強く、出雲駅伝2区では佐藤圭汰(駒大2年)と区間賞を分け合い、全日本大学駅伝では2区で佐藤と8秒差の2位だった。どんなレースも貪欲に勝つ走りを目指しているのかと思いきや、本人は「先は見ていなくて、その時にできることをするだけ」と淡々としている。今季は距離を踏み、長距離にも対応できるようになった。区間エントリ―では補欠登録だが2区での起用が濃厚だ。本番当日、飄々とした走りで、スイスイと2区で快走する姿が目に浮かぶ。
東海大の花岡寿哉(2年)は、石原翔太郎(4年)の後を継ぐ、時期エース候補だ。昨年の箱根は1年生ながら3区6位と好走した。今季は関東インカレ10000mで日本人トップの2位と素晴らしい走りを見せると全日本大学駅伝は7区7位、箱根駅伝予選会は体調が悪い中、総合58位、部内3位で予選会突破に貢献した。2年生ながら今やチームに欠かせない主力で、両角速監督も「往路での主要区間を任せられる」と、花岡をエース区間の2区に起用した。「今季は石原さんと一緒に練習させてもらい、エースとしての心得を学びました。石原さんには気持よく走ってもらいたい」と卒業する石原にエールを送る意味でも箱根での快走を自らに課している。
今回は、「4代目・山の神」が生まれそうな気配がする。
区間エントリ―で山本唯翔(城西大4年)、若林宏樹(青学大3年)が5区に決まり、山川拓馬(駒大2年)は補欠登録に回ったが、5区候補のなかで最も目を引く存在が吉田響(創価大3年)だ。吉田は「区間新を出して山の神になりたい。それが最大の目標」と5区、山の神への意欲を隠さず、箱根駅伝で有言実行を実現しようとしている。実際、そう言えるだけの結果を吉田は残してきた。東海大から今年の4月に転校した後、吉田凌(3年)とともに刺激し合い、出雲駅伝では3区区間賞、全日本大学駅伝では5区区間新の走りを見せ、創価大の躍進に貢献。現在、2大会連続で区間賞を獲得中で、箱根5区で区間賞を獲れば、前人未踏の3大会連続での区間賞になる。細く、小さな身体を活かしてリズムよく坂を上っていくので、「3代目山の神」の神野大地にスタイルが近い。「今回の5区は強い選手が多い。その中で一番を取って自分が山の神であることを証明したい」と自信満々に語る通り、「4代目」に名乗りを上げそうだ。
他にも2年連続で3冠を目指す駒澤大主将の鈴木芽吹(4年)、全日本大学駅伝7区区間賞の平林清澄(国学大3年)、昨年箱根2区区間賞を獲得した吉居は2区を駆けることが決まり、今回の2区も熱い戦いになるだろう。
第100回大会で歴史に名を刻む選手は、誰になるのだろうか――。
[取材・文:佐藤俊]
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