2023年は多くのGIジョッキーがステッキを置いた。11月に引退したのは熊沢重文騎手。86年デビューの55歳。JRAで重賞33勝を含む1051勝。以前から傷めていた頸椎の状態が思わしくなく、医師から騎乗を止められたため、引退を決断した。…

 2023年は多くのGIジョッキーがステッキを置いた。11月に引退したのは熊沢重文騎手。86年デビューの55歳。JRAで重賞33勝を含む1051勝。以前から傷めていた頸椎の状態が思わしくなく、医師から騎乗を止められたため、引退を決断した。デビュー2年目の87年から障害に参戦。平地との二刀流を続けて、12年にマーベラスカイザーで悲願の中山大障害制覇。21年10月には障害通算255勝目を挙げて、星野忍元騎手と並んで保持していた障害最多勝記録を更新。その数字を今年3月には257勝まで伸ばした。平地と障害でGI制覇、そして平地と障害の両方で200勝は、ともに騎手として史上初の快挙だった。

 東の大ベテラン・田中勝春騎手は調教師試験に合格し、次のステージに進むことが決まった。89年デビューの52歳。JRAで重賞51勝を含む1812勝。GIは92年安田記念のヤマニンゼファー、07年皐月賞のヴィクトリーで2勝。90年代から00年代の中央競馬を引っ張ったトップジョッキーの1人で、いつも笑顔を絶やさない“カッチースマイル”でファンから愛された。

 もう1人、関西では秋山真一郎騎手も来年2月いっぱいで引退し、調教師に転身する。97年デビューの44歳。これまでJRAで重賞38勝を含む1056勝。98年から12年まで15年連続でJRA重賞制覇。一方、ビッグタイトルには長く縁がなかったが、12年のNHKマイルCをカレンブラックヒルで制し、55回目の挑戦でJRA・GI初制覇を果たした。また、18年の福島牝馬Sをキンショーユキヒメで制し、史上5人目のJRA全10場重賞制覇を達成。何より美しいフォームと確かな技術は、多くのジョッキー、厩舎関係者から高く評価されていた。