今年もこの季節がやってきた。新年の訪れを告げる東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の区間エントリーが12月29日に発表された…

 今年もこの季節がやってきた。新年の訪れを告げる東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の区間エントリーが12月29日に発表された。ここまでの駅伝シーズンは不本意な結果となってしまっている早大。しかし箱根こそはエンジの意地を見せつけたい。花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)が設定した目標は「総合五位以内」。目標達成、そしてエンジのタスキを少しでも前の順位でゴールの大手町に届けるべく、花田監督はどんなメンバーを起用したのか。エントリー段階の、メンバーを1区から紹介していく。 


全日本大学駅伝対校選手権(全日本)1区を走る間瀬田

 スタート区間の1区を任せられたのは間瀬田純平(スポ2=佐賀・鳥栖工)。出走となれば昨年に続いて2年連続での1区での出走となる。昨年は区間14位ながらも、トップから約40秒差と初の1区としては十分な結果だったといえる。今年はU20日本選手権の1500メートルで優勝を果たすなど実績を積み上げてきた。駅伝でも全日本の1区で最後まで区間賞争いを繰り広げるなど頼もしい走りを披露。箱根では区間賞を獲得し、早大に勢いをもたらす走りが期待される。
 「花の2区」とも呼ばれるエース区間の2区にエントリーされたのは山口智規(スポ2=福島・学法石川)。今季の山口は駅伝で積極的なレースを見せ、各校のエース級相手に十分に勝負できることを示して来ている。2区には強力なライバルが多く待ち構えているが、ハーフマラソンで早大記録を更新し、今ノっている男がライバルたちを蹴散らし早大を上位へと導く。
 街から海へと駆け抜ける3区には山﨑一吹(スポ1=福島・学法石川)がエントリーされた。出走すれば大学駅伝デビューとなる山﨑。トラックシーズンではU20アジア選手権の5000メートルで6位に入賞するなど結果を残した。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)と全日本では出走がなかったものの、駅伝デビューとなればその力を存分に出してくれることだろう。3区は海からの風や単独走など難しいレースになることもあるが、1年生らしいフレッシュな走りで湘南を駆け抜ける。
 海から山へとつなぐ4区には長屋匡起(スポ1=長野・佐久長聖)がエントリー。こちらも注目のルーキーだ。大学駅伝デビューとなった出雲では6区で他校のエースクラスと比べても遜色(そんしょく)ない走りを見せるなど大物ルーキーの片鱗(へんりん)を見せた。高校時代からロードで結果を出してきた長屋。初の箱根でも自身の持つ力を存分に発揮して、5区に良い流れでタスキをつなぐことはできるだろうか。
 『天下の険』箱根の山上りとなる5区にエントリーされたのは工藤慎作(スポ1=千葉・八千代松陰)。エントリー変更がなければ3区間連続でルーキーが出走することとなる。1年生の中でここまで唯一出雲と全日本に出走した工藤。ここまでの2レースは大学駅伝の洗礼を浴びる結果となってしまっているが、工藤の持つ力は決してこんなものではないはずだ。”3度目の正直”となる箱根では本来の実力を存分に発揮し、箱根の山を攻略することはできるのか、注目したい。


第99回箱根6区を走る北村。職人として、有終の美を飾れるか

 復路のスタート区間となる6区にエントリーされたのは北村光(スポ4=群馬・樹徳)。ここまで2度山下りに挑み、ともに58分代のタイムを出すなど圧倒的な安定感を示してきた北村。3度目の挑戦となる今年の箱根。北村に求められるのは区間賞を争うような走りだろう。
 7区にエントリーされたのは佐藤航希(スポ4=宮崎日大)。今シーズンはここまで駅伝への出走はないものの、ここまでの3年間で積み上げてきた実績は確かなものがある。今年は初マラソンとなる延岡西日本マラソンで優勝するなどエースとしての姿を見せてきた。佐藤にとっては最後の箱根となる。レース展開次第では結果が総合順位に大きな影響を与えることとなるこの7区でエースとしての走りを見せることはできるだろうか。
 8、9、10区には昨年と同様のメンバーがエントリーされた。8区を任されたのは伊福陽太(政経3=京都・洛南)。ここまでロードで実績を残してきた伊福。今シーズンは全日本の8区で苦しい走りとなるなど、なかなか満足できない結果となることが多かった。シーズンを締めくくる箱根に対する気持ちは人一倍強いはずだ。『復路のエース区間』9区には菖蒲敦司(スポ3=山口・西京)がエントリーされた。今年一年駅伝主将を務めてきた菖蒲。箱根には並々ならぬ思いと責任感があるだろう。9区は序盤にアップダウンがあり、また展開次第で様々なレースが展開される難しい区間。昨年の経験も踏まえて菖蒲がどのような戦略を見せるのか。注目したい。
 ゴールへと向かう10区には菅野雄太(教3=埼玉・西武文理)が起用された。派手な走りはしないものの、これまで安定感のある走りでチームを支えてきた菅野。最終区間ではチームの順位を一つでも上にあげてゴールに飛び込む走りが期待される。ゴールの大手町にエンジのタスキを何番目に届けることになるだろうか。


配置される区間にも注目の石塚(写真左)と伊藤大志

 当日6人まで変更可能な控えメンバーには強力な選手がいる。特に今シーズン1万メートルで27分代をマークした石塚陽士(教3=東京・早実)や二年連続で5区の山上りを任せられている伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖)といったメンバーは当日のエントリー変更も十分に考えられるだろう。花田監督がこのあたりの選手たちをどのように起用するのかにも注目が集まる。
 今シーズンの大学駅伝の総決算となる箱根。ここまで苦汁をなめてきた早大としては何としてもリベンジを果たしたい。一人一人が自分の力を出しきれれば目標の5位以内そしてその上の順位も目指して行くことはできるはずだ。最後1月3日の大手町にエンジにWのユ二ホームは何番目にゴールテープを切ることになるのだろうか。

(記事 出口啓貴)

第100回東京箱根間往復駅伝競走 早大暫定エントリー(12/29時点)
区間距離名前学部・学年出身校
1区21・3キロ間瀬田純平スポ2佐賀・鳥栖工
2区23・1キロ山口智規スポ2福島・学法石川
3区21・4キロ山﨑一吹スポ1福島・学法石川
4区20・9キロ長屋匡起スポ1長野・佐久長聖
5区20・8キロ工藤慎作スポ1千葉・八千代松陰
6区20・8キロ北村光スポ4群馬・樹徳
7区21・3キロ佐藤航希スポ4宮崎日大
8区21・4キロ伊福陽太政経3京都・洛南
9区23・1キロ◎菖蒲敦司スポ4山口・西京
10区23・0キロ菅野雄太教3埼玉・西武文理
補欠 辻文哉政経4東京・早実
  栁本匡哉スポ4愛知・豊川
  諸冨湧文3京都・洛南
  石塚陽士教3東京・早実
  伊藤大志スポ3長野・佐久長聖
  宮岡凜太商2神奈川・鎌倉学園
◎は駅伝主将、正競技者と補欠競技者の交代は6名まで(1日あたり4名まで)