J1で戦うためのチーム力を上げる大きな要素は2つある。キャンプからのベースアップと新戦力の補強だ。特に磐田の場合は1年…
J1で戦うためのチーム力を上げる大きな要素は2つある。キャンプからのベースアップと新戦力の補強だ。特に磐田の場合は1年ぶりの”補強解禁”となるので、フットボール本部としても強気の姿勢も必要になってくる。
現時点でオフィシャルにリリースされている情報をまとめると、GK八田直樹とFW大津祐樹が現役を引退。FWファビアン・ゴンザレスとMF針谷岳晃は契約満了、藤枝MYFCに期限付き移籍中だったDF中川創が完全移籍に。
そして周知の通り、高校生Jリーガーとして攻撃を引っ張った後藤啓介がベルギーの名門アンデルレヒトに旅立つこととなった。右サイドバックとサイドハーフをこなす21歳の吉長真優がJ3のカマタマーレ讃岐に育成型期限付き移籍。そして右サイドバックの主力として、3得点10アシストを記録した鈴木雄斗は湘南ベルマーレに。
新卒以外で加入が決まっているのが、大分トリニータから左サイドのMF高畑奎汰、そして鈴木の後釜になりうるタレントとしてJ3讃岐から川崎一輝を獲得している。2023年は二種登録と特別指定選手を除くと、途中で期限付き移籍したFW杉本健勇と中川を含めて31人だった。リーグ戦の試合数は42から38に減るが、年間試合数は新フォーマットになるルヴァン杯と天皇杯の勝ち上がりによって変わりうるので、ほぼ同数の構成と考えて良いだろう。
■新戦力が必要なポジションとは?
筆者がJ1を戦うために、さらに新戦力が必要と考えているポジションが1トップ、右サイドハーフ、トップ下、センターバック、右サイドバックだ。そして。主力として計算できるタレントが必要なのはFWとサイドアタッカーである。
FWは後藤が移籍、ファビアン・ゴンザレスが退団、大津が引退と3人もいなくなっている。ジャーメイン良が残るとしても、外国人を含めて補強は必須だろう。
サイドアタッカーも重要な補強ポイントだ。ドゥドゥや松本昌也はコンビネーションで崩して得点に絡むタイプで、藤川虎太朗や金子翔太も本質的にはインサイドのアタッカーだ。左にドリブラーの古川陽介はいるが、右サイドに個人で剥がせるタイプのタレントが欲しいところ。
プラスアルファとしてはチャンスメイクのクオリティを上げられる選手がいれば心強い。最終ラインはJ2のベスト11でもあるリカルド・グラッサが残ることを前提として、センターバックとサイドバックにもう一枚は欲しいところだ。
陣容が全て出揃うまで補強の評価はできないが、何より期待したいのが若手選手の突き上げだ。左のアタッカーとして数字も求められる古川はもちろん、昨年はコンディションに悩まされながらも、終盤に飛躍の兆しを見せた藤原健介、パリ五輪のメンバー入りに向けておそらく磐田でのポジション獲得がマス トになる鈴木海音に期待がかかる。そして今年の特別指定選手で、早稲田大学から正式に加入する植村洋斗もその一人。
■J1再チャレンジの選手の奮起
また若手ではないが、昨年J1で苦い経験をした選手たちにとっては再チャレンジになる。ボランチで8得点をマークするなど、中盤の主軸に成長した上原力也には魅力的なオファーもあったと伝えられるが、磐田でJ1の舞台を踏むことを決断した。
26歳のMF鹿沼直生にとっても間違いなく勝負のシーズンなるだろう。そうした選手の活躍が、ベテラン選手の奮起にもつながる。
山田キャプテンの言う通り、まずは残留が最低目標になるが、現実を受け止めながらも目線は高くして、チームの成長を結果に結び付けることが「J1でも通用する」ことを周りに、そして自分たちにも示していくことになるはずだ。
(取材・文/河治良幸)