【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返る有馬記念 【Pick Up】スターズオンアース:2着  有馬記念の大外16番枠は、レース創設以来一度も馬券圏内に来たことがありませんでした。ジンクスではなく、外…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る有馬記念

【Pick Up】スターズオンアース:2着

 有馬記念の大外16番枠は、レース創設以来一度も馬券圏内に来たことがありませんでした。ジンクスではなく、外枠が不利、という中山芝2500mのコース特性によるものです。その岩盤のような厚い壁を、スターズオンアースがこじ開けました。2着とはいえ、快挙といえるでしょう。

 母サザンスターズは、オークスと阪神JFを勝ったソウルスターリング、アルテミスSを勝ったシェーングランツの半姉。2代母スタセリタは、仏オークス(G1・芝2100m)など6つのG1を制した名牝です。スタセリタが抱える異系のドイツ血統は素晴らしく、このファミリーはこれからもわが国の競馬にハイクラスな名馬を供給しつづけるでしょう。

 ドゥラメンテ産駒は今年、リバティアイランド、ドゥレッツァ、シャンパンカラーがGIを制覇。底力を求められる大一番に強い、という特長があります。前週の朝日杯FS終了時点で総合種牡馬ランキング第2位につけており、首位ロードカナロアと約3億円の差がありました。有馬記念でスターズオンアース、タイトルホルダーが2、3着に食い込んだことにより、この差を一気に逆転しました。現在、約3500万円の僅差でドゥラメンテが首位に立っています。

 JRAの開催は残り1日、NARは31日まで開催があります。ドゥラメンテが逃げ切るか、ロードカナロアが再逆転するか、近年稀に見る激しいチャンピオンサイアー争いから目が離せません。

◆血統で振り返る阪神C

【Pick Up】ウインマーベル:1着

 父アイルハヴアナザーは、ケンタッキーダービーとプリークネスSの米二冠を制覇した名馬。新冠のビッグレッドファームで種牡馬入りし、6年供用されたあとアメリカへ帰国しました。

 アメリカ産馬だけあってパワー型の産駒を多く出し、全体の勝ち星のうち芝は23%、ダートは77%。アナザートゥルース、オメガレインボーといったダートで活躍する馬が目立ちます。

 ウインマーベルは、函館2歳Sで2着となったウインジェルベーラの全弟、母コスモマーベラスは愛知杯2着馬、という血統背景から芝で活躍しています。「アイルハヴアナザー×フジキセキ」の組み合わせは、アナザートゥルース(ダイオライト記念、アンタレスS)と同じ。同一種牡馬の芝とダートの代表産駒がそれぞれ同じ組み合わせ、というのもレアケースでしょう。

 この組み合わせはラストコーズ≒ミリセント4×5という相似な血のクロスが生じるためか相性抜群。これまでに12頭出走して8頭が勝ち上がり、連対率31.7%、1走あたりの賞金額440万円という好成績を挙げています。アイルハヴアナザー産駒全体は連対率13.8%、1走あたり116万円なので、明確なニックスといえます。これで重賞2勝目、他にスプリンターズSで2着となっています。アイルハヴアナザー産駒の牡馬は晩成傾向があるので、来年も期待できそうです。