川崎フロンターレは今季、3年ぶりにホーム・アンド・アウェイ方式が復活したACLで、3度のアジア遠征に挑んだ。その3試合…

 川崎フロンターレは今季、3年ぶりにホーム・アンド・アウェイ方式が復活したACLで、3度のアジア遠征に挑んだ。その3試合は2勝1分と無敗。日程的に厳しい中で、見事に結果を出した。

 来期、川崎フロンターレはプレミアリーグのCL出場チームをも凌駕する過酷な日程をこなす予定になっている。今季のACLグループステージを無敗で勝ち上がり、そして天皇杯を制したことで、来季のACL出場も決まっているからだ。そんなシーズンを前に、今季のACLアウェイ試合の舞台裏を紹介したい。

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 リーグ優勝奪還を目指した川崎だったが、今季は序盤で白星を重ねられなかった。中位からなかなか抜け出せない状況にあっても、鬼木達監督と選手の口からタイトルへの気持ちが途切れることはなく、リーグでの悔しさがACLに向けられていることは取材の中で何度も何度も強く感じた。

 グループステージの初戦はアウェイ戦で、しかも、チーム移動では乗り継ぎが必要となったジョホール・ダルル・タクジムだった。シンガポールからのバス移動の可能性もあったが、さまざまなことが考慮されてクアラルンプールでトランジットをすることになったという。

 そのクアラルンプールへの到着が遅れたことで乗り継ぎが不可能になったと思われたというが、いざ到着すると、その乗り継ぎ便がチームを待っていたという。竹内弘明強化本部長がジョホールで、「乗る人数が多いから、待っててくれたのかな? なんで待ってくれたのかは分かりません。でも、とにかく助かりました」と話したように、もしこの便に乗れなければ選手の疲労具合は違っていただろう。

 9月15日にJ1リーグ・FC東京戦を戦い、挑むJDT戦は19日。チームには初めてアジアの舞台で戦う選手もいる。初めてではなくても、3年ぶりのホーム・アンド・アウェイ方式に慣れる必要もあっただろう。その“猶予”が中3日だっただけに、ここの違いは大きかった。

■他の国とは違った暑さと不快感

 もし遅れてしまってコンディションに影響して初戦を落としていたら、その後の無敗にはつながらなかったかもしれない。そういう意味では、実に大きな分岐点だった可能性がある。

 事実、JDT戦は“ザ・アウェイ”という環境で行われた。まずは説明するまでもなく環境だ。9月のマレーシアでの試合は、蒸し暑い中でのものとなった。

 筆者はサッカー日本代表の取材(9日=ドイツ代表戦、12日=トルコ代表戦)のためにその直前までドイツやベルギーに滞在しており、日本に帰国したのが14日のこと。15日にFC東京戦を取材し、シンガポール経由ではあったものの、同じようにジョホールに入っている。

 そのドイツも、持って行った長袖が不要となるまさかの暑さで、地元の人に「異常気象だ」としかめっ面を見せられたが、太陽の日差しが痛い欧州の暑さとはまったく別物。日本の蒸し暑さとも違った、体に「不快」の2文字と熱風が怨念のようにまとわりつくような感覚をマレーシアで味わった。

 いざ試合が始まれば、相手ゴール裏から聞こえてくる日本人には聞きなれないリズムのチャントにも調子を狂わせた。川崎のサポーター席ははるか上部。望遠レンズを用いなければ顔を判別でなきかった。

 地元メディアのカメラマンが所狭しとレンズをピッチ横に並べる中、日本人でカメラを持ったのは筆者1人だけ。取材する側にとってもアウェイだった。

■選手はエコノミークラスで連戦

 それでも選手は耐え抜いて勝った。ミックスゾーンでの選手それぞれの表情はとても晴れ晴れとしていた。

 しかし、AFCのドローによって対戦相手が決まったのが試合まで1か月をすでに切った時期ととあって、選手は行きも帰りもほとんどがエコノミークラスだった。チームはビジネスクラスを用意したかったが、空いていなかったという。巨躯を持つFWバフェティンビ・ゴミスですらエコノミー席で一般客と肩を並べた。

 JDT戦から中4日で迎えたのは、J1リーグの湘南ベルマーレ戦。多摩川クラシコ、ACL初戦、国立競技場マッチと大きな試合を立て続けにこなしたばかりか、これを全勝で終えたのは称賛に価するとしか言いようがない。

 実を言うと、ジョホールから帰国後に筆者も体調を崩してしまい、立つのも難儀だった。気候や時差、食事、移動を乗り越えることのきつさを実感したのだった。

(取材・文/中地拓也)

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