今年の有馬記念(3歳上・GI・芝2500m)はクリスマスイブ決戦となる。グレード制が導入された84年以降、クリスマスイブ当日と重なった有馬記念は5回。それぞれのレースを振り返って、イブ独自の傾向を探りたい。  まずは89年。単勝1.8倍…

 今年の有馬記念(3歳上・GI・芝2500m)はクリスマスイブ決戦となる。グレード制が導入された84年以降、クリスマスイブ当日と重なった有馬記念は5回。それぞれのレースを振り返って、イブ独自の傾向を探りたい。

 まずは89年。単勝1.8倍の圧倒的1番人気に支持されたオグリキャップが5着に敗退。同年の天皇賞(春)と宝塚記念の覇者だった4番人気イナリワンが勝ち、2着は同じく天皇賞(秋)を制していた2番人気スーパークリーク。実力馬同士の決着ながら、騒然とした雰囲気に包まれた。

 95年は菊花賞馬の6番人気マヤノトップガンがV。一方、1番人気ヒシアマゾンは5着、2番人気ナリタブライアンは4着に敗れた。そして00年は1番人気テイエムオペラオーが絶体絶命の状況から差し切り。2着は2番人気メイショウドトウだったが、3着には13番人気ダイワテキサスが激走。当時3連単があれば、それなりの高配当になっただろう。

 21世紀になって最初のイブ決戦は06年で、圧倒的1番人気に推されたディープインパクトが有終の美を飾った。一方、2着は6番人気ポップロックで3連単は9680円の中波乱となっている。そして前回の17年はラストランの1番人気キタサンブラックが後続を寄せ付けない圧巻の逃げ切り。しかし、この年も2着には8番人気の伏兵クイーンズリングが突っ込んで、3連単は2万5040円の波乱となっている。

 こうして振り返ると、イブ決戦ではガチガチの本命決着がなく、中波乱が目立つ。一方で勝ち馬5頭はいずれも同年にGIを制している実力馬だった。ジョッキーでは武豊騎手が目下2連勝中。また、近2回連続で名馬がラストランを勝利で収めていることも注目に値する。こういった観点から注目馬を挙げるなら、今年GIを勝っているジャスティンパレス、ソールオリエンス、タスティエーラ、武豊騎手とコンビを組むドウデュース、今回がラストランのウインマリリン、タイトルホルダーあたりだろう。

 ちなみにクリスマス当日の場合、昨年のイクイノックスなどC.ルメール騎手が3勝、2着1回と素晴らしい成績を残している。前回のイブ決戦では8番人気のクイーンズリングで2着に健闘し、存在感を発揮したルメール騎手。スターズオンアースで連覇達成、さらにはイブ有馬初勝利となれば、クリスマスでもイブでも強い“ルメールサンタ”と呼ばれるに違いない。