12月18日、国立競技場でウクライナの復興を支援するためにサッカーのチャリティーマッチが行われた。J1・アビスパ福岡とウクライナのチーム、シャフタール・ドネツクの一戦には、日本で避難生活を送るウクライナ人、約600人がスタジアムに来場し歓…
12月18日、国立競技場でウクライナの復興を支援するためにサッカーのチャリティーマッチが行われた。J1・アビスパ福岡とウクライナのチーム、シャフタール・ドネツクの一戦には、日本で避難生活を送るウクライナ人、約600人がスタジアムに来場し歓声を送った。
【映像】国立競技場で応援するウクライナ人、日本人のサポーター
今も戦いが続く中、選手たちがサッカーをする理由。そこには、彼らが自らに課したある使命があった。
1936年に創設されたシャフタール・ドネツク。ウクライナの国内リーグ通算14度の優勝を誇る強豪クラブだ。しかし2022年2月、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始した。住む場所は壊され、多くのウクライナ人が国外へと避難することになった。侵攻開始直後、リーグ戦も打ち切りを余儀なくされた。
「戦争中に毎日ウクライナで人が死んでいます。リビウなどのシェルターでボランティアをしていたうちのスタッフが、きのう亡くなりました。ロシアのミサイルやショットガンなどの攻撃で彼のような人々が毎日死んでいます」(シャフタール・ドネツク 主将 タラス・ステパネンコ選手、以下同)
現在、隣国ポーランドを拠点に活動するシャフタール・ドネツク。国内リーグは再開するも、無観客での開催となっており、かつてファンの声援がこだましたスタジアムには、空襲警報が鳴り響くこともある。
「空襲警報が鳴ると地下室に行かなくてはならない。これは原則、練習中も同じです。次の数分間で何が起きるかわからないからです。時には自分の感情をうまく処理できないこともあります」
「死」と隣り合わせの日々。それでも彼らはなぜプレーを続けるのだろうか。
「私のモチベーションというのは、私の国があり、家族がいる、ウクライナに対する義務があるということです。兵士にはウクライナを守る使命があり、私たちにはサッカーをして人々に“普通の日常”を取り戻させる使命があります」
「モチベーションの話をするなら、今の最大のモチベーションは家族とウクライナ、そしてシャフタールです」(シャフタール・ドネツク ヘオルヒー・スダコフ選手)
シャフタール・ドネツクの選手たちの使命。それは、暗く閉ざされたウクライナを照らす希望の光となること。
この日、試合を観戦していたウクライナの人々に話を聞いた。
「(お父さんはいつ日本に?)キーウから2023年の5月3日に日本に来ました。父は戦争に行って、足を怪我して日本に来ました。ウクライナにいたときはシャフタールのアカデミーのようなところにいて、シャフタールはとても好きです」(ウクライナ人の親子)
「寂しくて、できれば早く家に帰りたいです。私たちの親戚や親もまだウクライナにいるので早く家に戻りたいと思っています。サッカーが大好きで、ウクライナにいるときからシャフタールのことは応援していて、この試合があると聞いてすごく嬉しかったです」(ウクライナ人サポーター)
戦争により深い傷を負った人。異国の地での生活に不安を抱える人。それぞれの思いを抱えながら、選手に声援を送る。
“ウクライナのいま”を世界に届けたチャリティーマッチは、2対2の引き分けに終わった。
選手たちは、これからもボールを蹴り続ける。平和への祈り、そしてその先にあるゴールを目指して。
「ウクライナ人それぞれに国民としての義務があって、私の義務はウクライナのため、シャフタールのためにサッカーをすること。そして国際的なチャリティーマッチのときにウクライナを代表してプレーすることです。試合に出て『ウクライナで何が起きているか』というメッセージを伝え、それによって他の国から支援をしてもらうことです」(タラス選手)
(『ABEMAヒルズ』より)