12月24日(日)、中山競馬場で3歳以上馬によるGⅠ有馬記念(芝2500m)が行なわれる。 GⅠジャパンCを勝ったイクイノックスが引退し、牝馬三冠のリバティアイランドも不在だが、今年の日本ダービー馬タスティエーラ、皐月賞馬ソールオリエンス…

 12月24日(日)、中山競馬場で3歳以上馬によるGⅠ有馬記念(芝2500m)が行なわれる。

 GⅠジャパンCを勝ったイクイノックスが引退し、牝馬三冠のリバティアイランドも不在だが、今年の日本ダービー馬タスティエーラ、皐月賞馬ソールオリエンス、天皇賞・春を勝ったジャスティンパレス、昨年の天皇賞・春などGⅠ3勝のタイトルホルダー、昨年の2冠牝馬スターズオンアース、昨年の日本ダービー馬ドウデュース、一昨年の日本ダービー馬シャフリヤール、昨年の香港ヴァーズを勝ったウインマリリンと、実に8頭のGⅠ馬が揃う豪華なメンバーになった。



有馬記念でのGⅠ初制覇を狙うライラック photo by Sankei Visual

 このレースを血統的視点から占っていこう。今回、筆者が本命に推すのはライラック(牝4歳、美浦・相沢郁厩舎)だ。

 父オルフェーヴルはクラシック三冠馬で、有馬記念は3歳時の2011年、5歳時の2013年に勝利。引退レースとなった5歳時のレースは8馬身差という圧巻のパフォーマンスを見せた。オルフェーヴルの父ステイゴールドの産駒は、オルフェーヴル以外も有馬記念で好成績を残していて、2009年にドリームジャーニー、2012年にゴールドシップが勝利し、2012年には10番人気のオーシャンブルーが2着に入っている。

ライラックは母の父キングカメハメハ、祖母の父フジキセキという配合だが、これは2018年の優勝馬ブラストワンピース(父ハービンジャー)と同じ配合だ。牝系を見ると、祖母のいとこ・ダイワスカーレットが2008年の勝ち馬で、2007年も2着に入っている。その全兄ダイワメジャーも、「距離が長い」と見られながら2006年と2007年に2年連続で3着に入っている。父系、配合、牝系すべてが有馬記念と縁のある血統となっている。

 実績や臨戦過程も好感が持てる。重賞レースの勝利はGⅢフェアリーS(中山・芝1600m)のみだが、昨年のGⅠエリザベス女王杯(阪神・芝2200m)では12番人気ながら2着に好走。今年も同レース4着からここに臨む。

 過去30年の有馬記念では牝馬が4勝、2着6回の成績を残しているが、そのうち5回の2着が前走エリザベス女王杯。中でも、2020年のサラキアはライラック同様に牡馬相手の重賞勝ちがなかったが、エリザベス女王杯2着から11番人気で有馬記念に出走し、タイム差なしの2着と激走。さらに2017年のクイーンズリングも、エリザベス女王杯7着から8番人気で2着と健闘している。ちなみに激走した牝馬2頭は、いずれも秋初戦にGⅡ府中牝馬Sを叩き、有馬記念が秋シーズン3戦目というローテーションだった。これはライラックとも共通する。

 ライラックは中山で唯一の重賞勝ちを収め、その他はGⅢ紫苑S3着、GⅡ日経賞4着と中山で計3戦して1勝、3着1回、4着1回と崩れておらず、コース実績も十分。昨年のエリザベス女王杯2着も叩き3戦目だったので、ローテーション的にも好感が持てるだけに激走に期待したい。

 もう1頭はウインマリリン(牝6歳、美浦・手塚貴久厩舎)を押す。父スクリーンヒーローの産駒は、2015年の勝ち馬で翌年も3着に入ったゴールドアクター、昨年に6番人気で2着に入ったボルドグフーシュと、全3回の出走機会ですべて3着以内と抜群のレース適性を示している。昨年も、スクリーンヒーローの後継種牡馬であるモーリスの仔、ジェラルディーナが3着に入っており、スクリーンヒーロー系は有馬記念の4戦すべてで3着以内に入っていることになる。

 ウインマリリンは2021年のGⅡ日経賞、GⅡオールカマーと、中山・芝2200m以上の重賞を2勝しているのを含め、全6勝のうち4勝を中山競馬場で挙げている。今年6歳、有馬記念が引退レースとなるが、昨年は世界の強豪を相手にGⅠ香港ヴァーズを制した馬で、今年も米GⅠBCフィリー&メアターフで4着とまずまずの走りを見せた。ラストランの激走に期待したい。

 以上、今年の有馬記念は、オルフェーヴル産駒ライラック、スクリーンヒーロー産駒ウインマリリンの牝馬2頭に期待する。