Jリーグクラブの2023年の試合がすべて終了したが、まだシーズン中のクラブもある。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)…

 Jリーグクラブの2023年の試合がすべて終了したが、まだシーズン中のクラブもある。AFCチャンピオンズリーグACL)に参加しているチームである。日本からは3チームが決勝トーナメントに進んだが、忘れてはいけないのがライバル相手の苦戦だ。Jクラブの前に立ちはだかる「韓国」という壁について、サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。

■取りこぼしが多い韓国

 日本のクラブは出場4クラブのうち3つが首位通過を果たした。それは、素晴らしい結果だったのだが、韓国に対する劣勢は今後を考えると大きな課題ということができる。

 もちろん、一つひとつの試合にはそれぞれの勝因、敗因があるし、それぞれのクラブにはそれぞれの事情がある。従って、試合数も少ないので「これは単なる偶然」と片づけることもできる。

 だが、実は「日本は韓国のクラブに弱いが、韓国はその他の試合で取りこぼしが多い」という傾向は今年の大会だけではないのだ。

 前回大会となる2022年大会のグループステージでも日本の4クラブ(川崎フロンターレ浦和レッズ横浜F・マリノスヴィッセル神戸)は韓国のクラブ相手に1つも勝てていなかったのだ(0勝3分3敗)。ノックアウトステージでの唯一の日韓対決でも、神戸が全北現代モーターズに延長の末に敗れている。

 しかし、日本の4クラブは東南アジア相手には8勝3分1敗という成績だったのに対して、韓国のクラブは4勝2分4敗に終わっている。

 なお、2022年大会は新型コロナウイルス感染症の影響で集中開催方式で行われており、中国のクラブは政府の「ゼロコロナ政策」の影響でトップチームを派遣できず、日韓両国のクラブ相手には全敗している。

 このように、2022年大会は通常の大会とは様々な意味で状況が違うので単純に比較はできないのだが、それでも「日本のクラブが韓国に弱い」という事実は変わらないのだ。

■代表チームでは日本優位

 では、いったいそういう結果に終わっていることの原因は何なのだろうか? 実は、問題提起をしている僕自身もその原因が分からないのでいるのだ。

 代表チームレベルでは、今では韓国に対して日本は圧倒的に優位に立っている。

 最近の数年間、フル代表でも各年代別代表でも日本の勝利が続いている。しかも、あらゆるカテゴリーでの対戦で「3対0」というスコアで日本が勝利してきているのだ。

 2023年9月から10月にかけて中国・杭州で開かれたアジア大会の男子サッカーでは韓国が勝利した。U-22日本代表は決勝で韓国と対戦して敗れたのだが、韓国はこの大会にU-24にオーバーエイジ選手を加えたチームで参加していた。日本はU-22代表、しかもヨーロッパ遠征直後の大会だったため、いわゆる「主力組」を派遣していなかったのだ。しかも、アジア大会に出場する韓国代表選手は「優勝すれば徴兵免除」という大きなモチベーションを持って戦っていた。

 つまり、アジア大会は例外と考えていい。

■空洞化が原因?

 また、8月に静岡県で開かれたSBSカップではU-18日本代表が同韓国代表に敗れて話題になった。

 日本相手に連敗が続く中で、韓国はこの大会に最強メンバーを組んで、韓日戦での勝利に集中していた(韓日戦に勝利した韓国代表は、その後U-20関東大学選抜と静岡ユースに連敗を喫した)。

 このように代表レベルでは日本が圧倒的優位に立っている現在、なぜ、クラブ同士の対戦では日本のクラブは韓国に勝てないのだろうか? 「謎」としか言えない。

「代表戦での日本優位」がフル代表だけの現象だったら、今では日本代表の大半の選手はヨーロッパのクラブに所属しているので、「代表選手がほとんど流出してしまったいわゆる“Jリーグの空洞化”が原因ではないか」と考えることができる。

 だが、代表での日本優位はあらゆる年代の対戦で共通しているのだ(たとえば、U-17アジアカップ決勝でも日本は韓国に3対0で勝利している)。従って、必ずしも選手の海外流出が原因とは言い切れない。

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