キャンプ地でのプレシーズンマッチで再会した内田篤人と乾貴士 欧州のクラブに夏のキャンプ地として人気が高いスイスやオ…

キャンプ地でのプレシーズンマッチで再会した内田篤人と乾貴士
欧州のクラブに夏のキャンプ地として人気が高いスイスやオーストリアの山間部。避暑とともに日常から離れることもでき、フィジカル面で追い込むにうってつけというわけだ。多くのクラブが近くでキャンプを行なうから練習試合も組みやすい。ドイツのシャルケはスペインのエイバルと、キャンプ打ち上げ直前に練習試合を行なった。内田篤人はベンチ外、乾貴士も88分からの出場にとどまった。
内田に関していえば、負傷から復帰し、フルに練習をこなしていることから、本人としては不可解なベンチ外だった。ベンチ外だったのは負傷中のブレール・エンボロと内田だけだったこともあり、「疲労を考慮されたのでは?」と話すクラブスタッフもいた。
だが、実質的に2年間、実戦からは離れており、その間にクラブの体制も変わったのだから、とりまく環境が厳しくなるのは当然のことでもある。シーズン立ち上げからここまで、本職の右サイドでの起用は最初の練習試合のみ。あとは3-4-3の3バックの左でプレーしている。「右サイドでチャンスがくれば、やれるのに!」と、はやる気持ちを抑えながらチャンスをうかがっている状態だ。
一方の乾は昨季、レギュラーの座を確立したかに見えた。だが、エイバルも新シーズンになって状況は変わり、そのポジションは安泰とは言えない。
練習試合の後、内田と乾の近況報告が始まった。
内田「昨日、乾は90分出ているんで、今日はお休みでした」
乾「違うで。サブ組やねん、おれは。だから、出てないだけやで」
内田「いいの、ポジティブなことだけ言って!」
乾「はーい(笑)」
内田「選手として聞きたいこと、聞いてもいい?」
乾「言って言って。なーんでも言って。答えられないこと、ないから」
内田「今季終わったら(乾とエイバルの契約は18年6月末まで)どうするの? まだスペインにいたい?」
乾「できるだけいたいねえ」
内田「俺らのチームでも、スペイン語圏の選手はみんな乾のこと、知っていたからね。知られている存在なんだよ」
乾「コケとかは、一応試合でもあたってるからね」
内田「だからスペイン国内からオファーあるでしょ?」
乾「(オファー)ほしいなあ。契約切れるからね、今季で。でも、契約延長の話は全くないんだよな」
内田「来年ワールドカップがあるじゃん。それに関しては、ワールドカップに出られるようなチームでやるほうがいいのか、自分がやりたいスペインでやるのがいいのか」
乾「あ、スペインでやりたい。別にワールドカップが一番っていう価値観はない」
内田「そこらへんがこいつ、サッカー小僧なんだよな。無欲なの」
――どの関係者に聞いても、「乾選手はサッカー小僧」と言いますね。
乾「そうやな、マジでたぶん。スペインではストレスなくサッカーできているのが楽しすぎて、それを快感としすぎているんだよね。たぶん相当、合っていたんだと思う。このチームにもスペイン自体にも」
内田「みんな人柄もよさそうなんだよね」
乾「めっちゃいいよ」
内田「今日の右サイドバックのやつ、全然よくなかったじゃん。本職じゃないし、一個下のカテゴリーの選手なんだって。でも、そいつに文句を言わないで、『次、次』と言っているのを見ていると、スペインの感じってこうなのかな、と。みんな温かいというか」
乾「誰が一番文句を言ってるかって、監督だからね」
――ただ、フィジカルコンタクトなど、激しさはあるなと感じました。
乾「激しい激しい。めっちゃ激しいし、そうでないと怒られる。でもなんやろうね。選手が監督に『黙れ』とか言うからね。今日、キャプテンが1回、審判にブチきれてたやん。あのとき監督がその選手をずっと呼んでいたのに、無視しといて、しばらくしたらその選手が監督に『黙れー!』って(笑)」
内田「スペイン語わかるの?」
乾「だいたい。完璧じゃないよ」
内田「いいなあ、スペイン語、かっこいい。スペイン語だったら、俺、たぶんめっちゃ覚える」
乾「そう思うやろ? 俺もそう思ってた。でも絶対覚えへんからね」
――日本代表で見ていても、乾選手は落ち着いたというか、「お兄さん感」があるというか、スペインで精神的にも成長したのではないかと感じました。
乾「ウソーん。お兄さんっぽくなってた? なった覚えもないけどな。でも、もう29やからな」
内田「下も入ってくるからね」
乾「そうやね、そこはあるかな」
――ドイツにいた頃と違う、のびのびした感じがあるのかな、と。
乾「のびのび感はめっちゃある。ストレスないもん」
――何が違います?
乾「練習も楽しいし、他の選手を認めているんですよね。例えば同じポジションのやつで……」
内田「なんでこいつがって思うとき?」
乾「そうそう。そういうのがないから。今日の左サイドの選手もうまいもん。強いし。(自分と)タイプは違うけど、だから『しょうがないかな』みたいな。あと監督が全員をちゃんと見てる」
内田「それ、大事よね」
乾「めっちゃ大事。そういうところがいいかな。去年とか、試合に出てない選手はたぶんひとりもいないですもん」
内田「スペイン、楽しそうだな。めっちゃ行きたいな」
乾「スペイン、マジでいいよ。どこかないかな?」
内田「でも俺、引っ越ししたくないんだよね」
乾「えーやん。楽しいで、スペイン」
内田「きっと俺、練習が一番いやかも。みんなうますぎて、ついていけなさそう」
乾「みんなマジでうまい。でも、うまくなるで。絶対うまくなるし、ウッチーには合ってると思うで、スペイン」
――乾選手、エイバル3季目の目標はありますか?
内田「そういう質問、いいね(笑)」
乾「とにかくポジション争いに負けてるから、まずはそこを取らないと、という感じになっちゃったよね。完全に初日からチームとやっていたけど、練習しているとなんか”ベンチ的”で、練習試合をしたら、『あ、ベンチだ』って。まず、そこからです」
内田「ちゃんとやってれば絶対、乾なら大丈夫。俺とは違う外れ方だ。内田は右サイドでまだ1回しかやらせてもらえてないから。右で出してくれれば、自信あるのにな!」
ドイツもスペインもリーグ開幕まであと3週間弱、指揮官の構想が固まってくる時期でもある。2人にはなんとか立ち位置を確立し、また明るいニュースを聞かせてほしいものだ。