巧みなドリブルワークや華麗なステップ、多彩なシュートにパスとあらゆる面で卓越したスキルを披露。一対一の駆け引きも上手く、自ら…

 巧みなドリブルワークや華麗なステップ、多彩なシュートにパスとあらゆる面で卓越したスキルを披露。一対一の駆け引きも上手く、自らのシュートか、味方へのパスかを瞬時に見分ける状況判断にも優れる田中こころ(3年)は、桜花学園高校(愛知)が誇るポイントゲッターだ。

 昨年は、インターハイ、ウインターカップともに得点面でチームを後押ししたが、結果は夏冬ともに3回戦敗退。田中自身、悔しさの残る1年となった。

 迎えた今年は黒川心音(3年)とともにダブルキャプテンに就任。コート内外でチームを引っ張る存在となった。高い得点力は今年も健在で、苦しい時間帯になればなるほど真価を発揮する。また、今年はガードとして黒川とともにゲームメークも行っており、パスなどの精度も上がってきている。

 今年の桜花学園は、インターハイと「U18日清食品リーグ トップリーグ」で準優勝。夏のメインコートには2年ぶりに立ったものの、いずれも京都精華学園高校(京都)に先を行かれている。それでも、「U18日清食品リーグ トップリーグ」の京都精華学園戦での点差は1点(59-60)。インターハイ決勝の対戦では65-88と大差で敗れていたたことを考えれば「一歩近づいた。手応えがありました」と、田中は言う。一方で足りなかった1点については、「出だしから1点を大事にすれば、最後の場面で全員が落ち着いてプレーできると思うので、(1点を追いかける)最後(のプレー)が悪かったというよりも、最初からしっかりとプレーすること。そこは練習中のゲームで意識してやっていきたいです」と、反省点を挙げた。

「自分に対してすごくマークが強いので、そういうときにボールをもらって思い切ってシュートを打つというシチュエーションの練習をもっと重ねていきたいと思っています」と、ウインターカップに向けた自身のスキルアップにも余念がない。

 偉大なる先輩たちから引き継いだ背番号4を背負い、強気の姿勢を前面に出したプレーは頼もしささえ感じさせる。背中で引っ張るキャプテンの見据える先はただ一つ。昨年悔し涙を流した先輩たちの思いも乗せて、田中は最終決戦の地、東京体育館のコートに立つ。

文=田島早苗