10日、香港・シャティン競馬場にて香港国際競走が行われる。2つ目に施行されるのが、短距離王決定戦・香港スプリント(GI・芝1200m)。スプリント路線は過去10年で8勝と圧倒的な強さを誇る地元香港勢だが、今年も強力な布陣で他国のライバルを迎…

10日、香港・シャティン競馬場にて香港国際競走が行われる。2つ目に施行されるのが、短距離王決定戦・香港スプリント(GI・芝1200m)。スプリント路線は過去10年で8勝と圧倒的な強さを誇る地元香港勢だが、今年も強力な布陣で他国のライバルを迎え撃つ。日本からはマッドクール、ジャスパークローネの2頭が参戦し、ジャイアントキリングを狙う。

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■香港のトップホースに逆う余地は……

過去24回行われた香港スプリントだが、そのうち18勝は香港馬が制しており、この路線では無理に逆らう必要はない。今年の大将格・ラッキースワイネスは連軸に最も最適な安定感が魅力的。昨年の当レースでは、GI初挑戦ながら1番人気に支持されたものの、直線で窮屈な場面があるなどスムーズなレースができずに6着に敗れた。

しかし今年前半は6連勝をマークし、その間、香港スピードシリーズと呼ばれるGI3戦、センテナリースプリントC、クイーンズシルバージュビリーC、チェアマンズスプリントプライズを完全制覇。最優秀短距離馬に選出され、香港のトップホースに上り詰めた。

秋は始動戦から2戦連続で2着に敗れたが、ともにハンデ戦でトップハンデ135ポンド(約61キロ)を背負わされたもの。それでもキッチリ2着を確保できるのがこの馬の強みで、前哨戦の香港ジョッキークラブスプリントは着実にモノにし、本番へ向けて盤石の態勢を敷いた。充実一途の今なら、おそらく昨年の雪辱を果たすだろう。

■相手に加えておきたいリピーター

ライバルに一矢報いるのも、地元香港勢が強力。ディフェンディングチャンピオンのウェリントンは昨年、レーティング最上位ながら3番人気の評価に甘んじ、それをあざ笑うかのような快勝劇。だが、7歳を迎えた今年、ラッキースワイネスの後塵を拝する機会が多く、勝ち星に恵まれていない。とはいえ、崩れたのは2走前のアスコット遠征(10着)だけで、地元シャティンでは2着2回3着3回と、馬券には絡んでいるだけに、相手には加えておきたい。

昨年2着のサイトサクセスも、地元香港のスプリント路線では上位を賑わせる存在だが、7歳を迎えやや衰えを隠せない。それならば、新興勢力のビクターザウィナーが魅力的な1頭。

前走ジョッキークラブスプリントでは、2キロの斤量差があったとはいえ、王者ラッキースワイネスにクビ差の2着と肉薄。3着のウェリントンを1馬身離している点も評価できる。GI初挑戦でどこまで戦えるか疑問符が付くが、激走があっても何ら驚けない。

■日本、欧州勢はバッサリ切る

今年の日本勢はやや小粒な印象。マッドクールは前走スプリンターズSでハナ差の2着と、わずかの差でGIタイトルを逃してしまった。充実ぶりはうかがえるが、いまだ重賞未勝利の身。2走前のCBC賞では1番人気9着に敗れるなど、絶対的な信頼は置けず、強力な香港勢が相手では厳しい戦いとなりそう。

また、ジャスパークローネも逃げて自分の形が作れれば渋太いが、今回はビクターザウィナーも逃げたいクチで、競られる展開となれば厳しいか。応援したい気持ちはあるが、日本勢はバッサリ切る。

加えて、直線競馬が主流の欧州勢、イソップスフェイブルズ、ハイフィールドプリンセスに関しては、力は認めつつもコーナーを曲がる経験値が乏しいのが懸念材料。欧州勢の馬券圏内は、過去10年で2013年アイルランドのソールパワーの2着があるだけで、かなり分が悪い。

結論としては、ラッキースワイネスの1着固定で3連単勝負。相手には、ウェリントン、ビクターザウィナー、サイトサクセスを厚めに買いつつ、20、22年と2ケタ人気の香港馬が波乱を起こしており、デュークワイ、ラッキーウィズユーの香港勢も加えて、好配当の演出を期待したい。

◎(1)ラッキースワイネス ◯(2)ウェリントン ▲(5)ビクターザウィナー △(4)サイトサクセス △(7)デュークワイ △(9)ラッキーウィズユー

3連単1着流し(20点) 1着固定:1 相手:2、5、4、7、9

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。