香港スプリント(3歳上・香G1・芝1200m)は長く、香港国際競走の中で日本馬が最も勝ちにくいレースとされてきた。  01年にダイタクヤマトとメジロダーリングが初参戦して以降、延べ12頭連続で7着以下。ようやく11年にカレンチャンが初の…

 香港スプリント(3歳上・香G1・芝1200m)は長く、香港国際競走の中で日本馬が最も勝ちにくいレースとされてきた。

 01年にダイタクヤマトとメジロダーリングが初参戦して以降、延べ12頭連続で7着以下。ようやく11年にカレンチャンが初の掲示板となる5着に健闘すると、翌12年にロードカナロアが延べ15頭目の挑戦で初制覇。同馬は13年に連覇を達成したが、当時2着につけた5馬身差は香港国際競走の4レースにおける着差記録として今なお破られていない。その後、再び日本馬が苦戦を強いられる時期が続いたが、その流れを食い止めたのはロードカナロア産駒のダノンスマッシュ。20年に父仔制覇を達成し、日本馬として3勝目を手にしている。

 とはいえ、過去24回で香港馬が18勝だから、地元優位は揺るがない。勝ち馬の名前を挙げると、99年のフェアリーキングプローン、03年と04年のサイレントウィットネス、11年のラッキーナイン、14年と16年のエアロヴェロシティなど、日本に遠征した馬も数多い。そして、彼らの高松宮記念やスプリンターズS、安田記念での走りはファンの脳裏に焼き付いていることだろう。

 そんな香港馬の牙城に、今年は日本からマッドクール(牡4、栗東・池添学厩舎)とジャスパークローネ(牡4、栗東・森秀行厩舎)が挑む。マッドクールは重賞未勝利だが、前走のスプリンターズSはママコチャからハナ差の2着だから、実績は申し分ない。坂路での国内最終追いではラスト1F11秒6としっかり動けていたので、出来に不安はなさそうだ。

 もう1頭のジャスパークローネは今年のサマースプリント王者。前々走のスプリンターズSは逃げて4着。続く前走のブリーダーズCターフスプリントは最下位の12着だったが、自分の形に持ち込めなかったので参考外でいいだろう。ただ、今回もハナを奪えるかどうかが大きなポイント。それだけに前哨戦のジョッキークラブスプリントで逃げて2着だったビクターザウィナーが目の上のたんこぶだ。可能な限り、すんなりと先手を取りたい。

 ライバルを見渡せば、4月のチェアマンズスプリントプライズを制したレーティング1位(出走メンバー中)のラッキースワイネス、昨年の覇者ウェリントン、仏G1アベイドロンシャン賞を制した英国調教馬ハイフィールドプリンセスなど、かなりの好メンバー。日本馬2頭にとって楽な戦いにはならないだろうが、21年のダノンスマッシュに続く、異国でのGI初制覇を期待したい。