今週末の香港マイル(3歳上・G1・芝1600m)には、香港賞金王のゴールデンシックスティ(Golden Sixty、セ8、香港・K.ルイ厩舎)が参戦する。前走時のレートで換算すると通算獲得賞金は約25億7000万円。これは事実上、世界の…

 今週末の香港マイル(3歳上・G1・芝1600m)には、香港賞金王のゴールデンシックスティ(Golden Sixty、セ8、香港・K.ルイ厩舎)が参戦する。前走時のレートで換算すると通算獲得賞金は約25億7000万円。これは事実上、世界の賞金王といえる数字だ。

 ゴールデンシックスティは父Medaglia d'Oro、母Gaudeamus、母の父Distorted Humorの血統。ここまで29戦25勝。20年と21年の香港マイルを連覇するなどG1・9勝を挙げる言わずと知れたレジェンドだ。昨年のスチュワーズCで2着に敗れ、連勝が16でストップ。年末の香港マイルでもカリフォルニアスパングルの2着に敗れるなど、衰えがあるかと思われたが、今年になって再加速。スチュワーズC、香港ゴールドCと連勝すると、チャンピオンズマイルで史上初の3連覇を達成した。その後は休養を挟んで、香港マイルを目標に調整しており、不動の主役といえる。

 通算獲得賞金は1億4793万600香港ドル(前走時のレートで約25億7000万円)。今回勝てば2016万香港ドル(約3億4000万円)が加算される。その走りにぜひ注目したい。

 香港以外にも、世界各国の賞金王を紹介しよう。まずジャパンCで圧巻の走りを見せたイクイノックス。通算獲得賞金が日本馬歴代トップの22億1544万6100円に達したことが話題となった。豪州の賞金王は記憶に新しいウィンクスだ。通算43戦37勝の名牝。G1勝ちは歴代世界1位の25勝。ラストランとなった19年のクイーンエリザベスSを制し、通算獲得賞金は当時世界一の2645万1174豪ドル(約21億1200万円)となった。

 そしてウィンクスに抜かれるまで首位だったのが、米国のアロゲートだ。16年から17年にかけてトラヴァーズS、BCクラシック、ペガサスワールドC、ドバイワールドCとG1を4連勝した歴史的名馬。通算獲得賞金は1742万2600ドルで19億円を超えた。

 もちろん、馬の価値は獲得賞金だけで決まるものではない。当然ながら競走生活が長ければ長いほど、賞金を稼ぐことができる。何より、近年は世界的にビッグレースの賞金が上がっているので、昔の馬と一概に比較はできない。

 例えば、世界最強馬の呼び声も高いフランケルの通算獲得賞金は、299万8301ポンドに過ぎなかった。だからといってフランケルの評価を落とす人はいないだろう。イクイノックスでもゴールデンシックスティを抜くことはできなかったが、仮に現役を続けていれば、どれだけの賞金を獲得していただろうと考える人も多いはずだ。

 今後も世界の主要競走の賞金は上がる可能性が高く、上の記録は抜かれるときが来るかもしれない。しかし、1頭1頭を記憶にも記録にも残る名馬として語り継いでいきたい。