早大ハンドボール部の1年を締めくくる、早慶ハンドボール定期戦(早慶戦)が行われた。2019年以来、4年ぶりの早稲田アリ…
早大ハンドボール部の1年を締めくくる、早慶ハンドボール定期戦(早慶戦)が行われた。2019年以来、4年ぶりの早稲田アリーナでの有観客試合、そして4年生にとってはエンジのユニフォームを着てプレーするラストゲームだ。両校のプライドにかけて絶対に負けられない戦いは、早大が序盤から持ち味の堅守速攻で得点を積み重ねていき、宿敵・慶大を圧倒。前半は18ー8と10点のリードで折り返す。後半は途中出場の選手も含めてオフェンスで躍動し、攻撃の手を緩めなかった。最後は守屋雄司(スポ2=神奈川・法政二)が獲得したペナルティスローをキーパーの塚本智宇(スポ4=富山・高岡向陵)が決め切り、これで塚本を含む4年生全員が得点を記録。最終的には36ー18とダブルスコアをつけての大勝となり、4年生を最高のかたちで送り出した。

雄叫びをあげる田井主将
両校のOBや観客が多く詰めかけ、早慶戦独特の雰囲気の中で始まった伝統の一戦。先制点は早大らしいかたちから生まれた。相手フローターのロングシュートを狩野直樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)が長身を生かしてブロックすると、そのまま速攻へ。白築琢磨(文構3=東京・早実)がこれを確実に決めて先制点を挙げた。さらに外種子田峻汰(スポ2=鹿児島・国分)がサイドから技ありのループを決めて連続得点と快調な滑り出しを見せる。その後はGK塚本を中心に持ち味の堅守を見せつつ、田井健志主将(スポ4=香川中央)の速攻、狩野のロングシュートと4年生を中心に得点を重ねていく。さらに前半7分には白築の華麗なバックパスから奥崇大(スポ4=北海道・札幌月寒)がサイドシュートを決め切り、これで4年生のコートプレーヤーは全員得点となった。前半8分、得点差を詰めたい慶大はオフェンス時にキーパーに替えてコートプレーヤーを投入する7人攻撃を仕掛けてくる。すると早大はこれを逆手に取り、前半13分にGK塚本がシュートセーブ後、すばやく無人のゴールに超ロングシュートを狙う。4年生全員得点達成かに思われたが、これは僅かに枠をとらえきることが出来なかった。

ロングシュートを放つ狩野副将
その後はなかなか得点があげられず、田井が退場してしまうなど苦しい時間が続いたものの、前半17分、外種子田から白築へのスカイプレーが決まると、途中出場の小柴創(スポ1=千葉・昭和学院)にも得点がうまれて悪い流れを断ち切る。前半のラスト10分は下級生を中心に控えメンバーを起用。前半26分には相手のサイドシュートをGK大武蓮(社2=神奈川・川和)がセーブ、そこから鍋島弘樹(スポ1=福井・北陸)が速攻、そして立て続けにロングシュートで2得点をあげ、さらにはRBに回った外種子田が間を割ってゴールを決めるなど、来年以降チームの中心を担っていくメンバーが躍動した。上級生と下級生それぞれが活躍した前半は18ー8と10点のリードを奪って終えた。

サイドシュートを放つ奥
10点リードで迎えた後半、その点差はさらに開いていく。慶大は変わらず7人攻撃を仕掛け、これに対して早大は後半から結城颯太(スポ1=千葉・昭和学院)を投入。昭和学院出身の1年生コンビ、小柴と結城がディフェンスの要である3枚目を担い、隙を与えない見事なディフェンスを見せる。慶大が鉄壁の早大ディフェンスを前に攻めあぐね、苦し紛れに放ったステップシュートを大武が止め、エンプティシュートを決めて後半9分で23ー10。気がつけばダブルスコア以上の点差となっていた。早大はここでタイムアウトを取り、メンバーを大幅に変更。再び4年生が全員出場し、すぐさま奥のサイドシュート、田井の速攻、狩野のミドルシュートで得点を量産する。さらに後半18分には白築、田井、外種子田とつないで狩野がスカイプレーを決め、鮮やかなパスワークで会場を沸かせる。早大は圧倒的な技術とスピードで慶大を寄せつけない。

ペナルティスローを放つ塚本
試合もいよいよ大詰め。後半のラスト10分からは速水駿太(文構3=東京・巣鴨)が出場し、後半24分に相手のパスミスから相手を置き去りにする電光石火の速攻で得点を決めた。さらに試合終了5分前からは白築に替わって所真大(社1=岡山・総社)が司令塔に。2度ゴールを阻まれてしまうものの、後半29分に相手のシュートを塚本が止め、この好機を逃すことなく所が速攻を決めた。残り30秒、慶大の最後の攻撃時に早大がファールをとられ、ペナルティスローを献上してしまう。慶大の杉本紀心主将(4年)がこれをしっかりと決めて意地を見せる。残り15秒で今度は早大の攻撃。田井のポストパスに慌てて守屋のカバーに入ったディフェンスがラインクロスとなり、守屋がペナルティスローを獲得した。ここでペナルティスローに出てきたのはキーパーの塚本だった。リーグ戦では見られない早慶戦ならではの異例の光景。会場は静寂に包まれ、固唾を飲んで見守る中、塚本が落ち着いて決め切ると同時に36ー18で試合終了。選手たちは塚本のもとに駆け寄り、笑顔が弾ける。これで4年生全員が得点し、最後は塚本自らの手で花道を飾った。

集合写真
これで71回の歴史を誇る早慶戦において早大は38連勝となり、歴史に新たな1ページが刻まれた。堅守速攻という「早稲田らしさ」全開で慶大にダブルスコアの完勝。インカレベスト8の実力を遺憾なく発揮し、特に4年生がそれぞれの持ち味を出してチームを引っ張った。これで4年生は引退となり、田井主将擁するチームは幕を閉じる。「来年は来年の早稲田らしさを追求して戦っていきたい」。三津英士監督(平8人卒=久留米工業大附)はそう語り、来年以降も残る選手たちに指揮をとる。4年生が残してくれた数えきれない多くのものを土台に早大ハンドボール部はさらなる飛躍を誓う。来年の「早稲田らしさ」はどんなものになるのか、今から楽しみだ。
(記事 丸山勝央 出口啓貴、写真 澤崎円佳 芦刈れい 長屋咲希 三浦佑亮)
第71回早慶定期戦| 早大 | 36 | 18-10 18-8 | 18 | 慶大 |
| GK 塚本智宇(スポ4=富山・高岡向陵) CP 外種子田峻汰(スポ2=鹿児島・国分) CP 田井健志主将(スポ4=香川中央) CP 小柴創(スポ1=千葉・昭和学院) CP 狩野直樹(スポ4=埼玉・浦和学院) CP 奥崇大(スポ4=北海道・札幌月寒) CP 白築琢磨(文構3=東京・早実) | ||||
コメント
三津英士監督(平8人卒=久留米工業大附)
――今日の試合を振り返っていかがですか
今年のチームの集大成、特に4年生が最後の試合ということになりますので、僕らがやってきた堅守速攻を最初から最後までしっかりやりきることを集中してやれたと思います。
――監督にとって早慶戦とはどのようなものですか
本当に特別っていうか、年1回やっていて、男子が71回目と歴史ある定期戦で、慶応さんもすごく守りもオフェンスの方も常に全力で向かってくるので、そこにしっかり対応できるだけの力を僕らもつけていかないといけないと改めて実感しました。
――この1年間を振り返っていかがですか
今年1年は本当になかなか勝ちきれなくて。春(関東学生春季リーグ)は5位で、秋(関東学生秋季リーグ)は特に8位で(秋季リーグ)途中で入れ替え戦に回るんじゃないかっていうぐらいの流れだったんですが、そこをしっかりチームのみんな、特に田井健志主将(スポ4=香川中央)を中心に4年生が中心になって、下級生も自分たちの意見をしっかり述べていってチームが1つになって。で、最後インカレでこれまでなかなか1回戦突破できなかったんですけど、そこを5年ぶりにベスト8に入れたっていうところは本当に学生たちはよく頑張ってくれたなっていう風に思っています。
――4年生へメッセージをお願いします
4年生は合計8人いるんですけれども、ほんとに一人一人が個性があります。選手だけではなく、スタッフもチーム全体を支えてくれる、素晴らしい4年生だったなっていう風に感じています。この土台を作ってくれた流れを来年以降もしっかりつなげていきたいなと考えています。
――4年生以外の部員にメッセージをお願いします
来年以降、4年生が7人プラス1人抜けて、またゼロからスタートっていうかたちにはなりますが、早稲田らしさっていうのを体現できるように、その年のそれぞれの早稲田らしさっていうのがあると思うので、来年は来年の早稲田らしさを追求して戦っていきたいなと。最終的に今年ベスト8までインカレでは行けたんですけど、それ以上、ベスト4あとは優勝、日本一達成できるように頑張りたいなという風に思います。