井上とデービス。ともに同じぐらいの上背だが、両者の体格差は大きく異なる。(C)Getty Images 今年7月、井上尚弥は衝撃的な勝利を飾った。 東京・有明アリーナで行われたボクシングのWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトル…

井上とデービス。ともに同じぐらいの上背だが、両者の体格差は大きく異なる。(C)Getty Images

 今年7月、井上尚弥は衝撃的な勝利を飾った。

 東京・有明アリーナで行われたボクシングのWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチで、同級初参戦となった井上は「難攻不落」と言われたスティーブン・フルトン(米国)を終始圧倒。8回に右ストレートからの強烈な左フックで、相手をキャンバスに沈めるTKO勝ちを飾ったのだ。

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 類まれなるテクニックからなる守備に定評があった王者を力でねじ伏せた井上。あまりの強さに一部のファンや識者からは、試合直後に上位階級の猛者との対決も望まれた。とりわけSNSで物議を醸したのは、現WBA世界ライト級レギュラー王者ガーボンタ・デービス(米国)とのマッチメイクだった。

 上背は井上(165センチ)とほぼ同じ166センチながら、デービスがいる階級はスーパーバンタム級からは3つも上。力やスピードは全く異なるため、「イノウエを140ポンド級の選手と組ませるなんて、全くもって馬鹿としか言いようがない」(米興行大手『Top Rank』のボブ・アラムCEO談)と周囲の反響に懸念を示す声があったのも事実だ。

 そんなファンの間でくすぶる“メガマッチ”の可能性にシビアな意見を寄せる関係者は少なくない。現地時間11月27日に、米ボクシング専門YouTubeチャンネル『Marko Boxing』のインタビューに応じたデービスのトレーナーであるカルビン・フォード氏は「ボクシングとは、偉大になるための挑戦なんだ」と強調。そして、愛弟子と井上の無敗対決が「ありえない」と断じている。

「タンク(デービスの愛称)が彼との試合のために階級を落とすことはありえない。向こうが一定の体重を作れなければ、試合が実現することはないだろうね。イノウエは小さいから、かなりクレイジーなことをして、身体をデカくしない限りは無理だと思う。この世界でそんなことはありえないんだ」

 これまでのキャリアで4階級をのし上がってきた井上。それでもここからは本人が「『敵がいないから上げろ』ってみんな言いますけど、階級をひとつ上げるのはそう簡単なものじゃない」と言うようにリスクのある領域に入る。現時点での両雄の階級差を考えても、ファンがひそかに待ち望むカードは、やはり非現実的と言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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