くだけすぎず、緊張にガチガチでもない。派手なセレモニーはなかったけれど、全員がいい顔をしていた。 8月1日午前、サクラフィフティーン(女子日本代表)が女子ワールドカップがおこなわれる地、アイルランドへ向かって飛び立った。試合中はFW最前列…

 くだけすぎず、緊張にガチガチでもない。派手なセレモニーはなかったけれど、全員がいい顔をしていた。
 8月1日午前、サクラフィフティーン(女子日本代表)が女子ワールドカップがおこなわれる地、アイルランドへ向かって飛び立った。試合中はFW最前列で、オフフィールドでも先頭に立ちチームを引っ張る齊藤聖奈(さいとう・せいな)主将も笑顔だった。
「昨日はオフでした。渋谷に行ってリラックスできました」
 タイ古式マッサージを受けた。途中、一度のトランジットを経て、ダブリンまでは約16時間かかる。

 楽しみもあるが不安もある。キャプテンは正直にそう言った。
「(同プールで戦う)フランスもオーストラリアも、戦ったことがないので。まあ不安とは言っても、知らないということから来るものです」
 メンバー発表記者会見時にはベスト8宣言をした。
「だいぶ自信あります」
 やれることはやり切ったから、そう言える。
「わくわくしています。セットピースの強化にこだわり続けてきました。ブレイクダウンの練習もさんざんやってきた」
 やってきたのは世界と戦うベース作りだけではない。
「キックチェイスは武器にできると思います。和歌山(での直前合宿)でチームディフェンスもすごく高まった。ディフェンスからたたみかけたい」
 エリアを得ることができればトライも取れる。はっきりした口調で言った。

 そんな強みを作って決戦の地へ向かったチームは、メンタル面も充実している。キャプテンは「緊張しすぎるといいプレーができない。みんな、適度にリラックスできています」と言った。
「できるだけコミュニケーションをとるようにしてきました。本音をぶつけ合えるチームになった」
 高校生からベテランまで、年齢層の幅があるチームはバランスがとれている。
「若手は、勢いがあるときは手がつけられないくらいの能力を発揮してくれます。その一方で、リオ五輪を経験した選手たちが大事なところで引っ張ってくれる。ついて来い、という感じが頼りになります」

 現時点でまだ完成形でないチームは現地到着後、1日休んで最後の仕上げに入り、8月9日に初戦のフランス戦を迎える。「残り10パーセント、精度をもうひと段階高めることでチーム力を100パーセントにしたい」と話すキャプテンは今年5月30日、25歳の誕生日を強化ツアー中のダブリンで迎え、チームメイトから祝福を受けた。
 今回のダブリンでは生涯忘れられない日々を過ごし、ベスト8入りを決めたい。