ヨーロッパリーグ(EL)第5節。第6節を残して、ベスト16にストレートインできる首位でグループリーグ突破を決めたのは、…

 ヨーロッパリーグ(EL)第5節。第6節を残して、ベスト16にストレートインできる首位でグループリーグ突破を決めたのは、アタランタ(グループD)、リバプール(※グループE)、レバークーゼン(グループH)の3チームだ(*は日本人選手が所属するクラブ)。

 2位以内を確保したのはウエストハム、フライブルク(※)、マルセイユ、ブライトン(※)、スポルティング(※)、レンヌ、ビジャレアル、スラビア・プラハ、ローマの9チームに及んだ。

 つまり、ベスト16入りを決めた日本人選手は遠藤航(リバプール)ひとり。2位以内を確保した日本人選手は、堂安律(フライブルク)、三笘薫(ブライトン)、守田英正(スポルティング)の3人になる。

 グループリーグ落ちが決まったのは常本佳吾(セルヴェット=グループG)。最終戦まで持ち越しとなった選手は町田浩樹(ユニオン・サン・ジロワーズ=グループE)となる。

 ELは各グループで2位になると、ベスト16入りを懸けチャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグで各組の3位になったチームとプレーオフを戦う。強敵との対戦が待ち構える。できれば2位は避けたい。狙うべきは首位通過なのだ。



AEKアテネ戦に先発、後半24分までプレーした三笘薫(ブライトン) photo by Nakashima Daisuke

 ホームにLASKに迎え4-0で完勝したリバプールは、遠藤がアンカーとしてスタメンを飾り、前半45分で交代の憂き目に遭った前戦(トゥールーズ戦)とは異なり、見事フルタイム出場を果たした。

 前半こそ遠慮がちな、ミスを恐れるような消極的なプレーが目立ったが、後半、出場時間が延びるとリラックスしたのか、次第にビルドアップにも絡むようになった。後半アディショナルタイムにコーディ・ガクポ(オランダ代表)がマークした4点目のシーンでは、遠藤はそのふたつ前のシーンで関わっている。アシストとなる対角線パスを送ったトレント・アレクサンダー・アーノルド(イングランド代表)に建設的なパスをつけている。

 今季これまで遠藤はELで5試合すべてにスタメンを飾り、出場時間は333分を数える。一方、国内リーグ戦は全13戦中8試合出場、先発は2試合しかない。2試合を消化したリーグカップでも、いずれも先発を飾っているので、俗に言う「カップ要員」の様相を呈している。

【安定したプレーを披露している守田】

 だが、ELはトーナメントに入ると難敵が待ち構える。リーグ戦の前戦マンチェスター・シティ戦からメンバーを9人入れ替えて臨んだこの日の試合のようにはいかない。ベストメンバー色の濃い編成で臨む必要が生まれる。そのときに遠藤はどれほど出場することができるか。ELのグループリーグ6戦目は、町田が所属するサン・ジロワーズとの一戦になる。

 CL、ELともに、欧州カップ戦の真の勝負は決勝トーナメントだ。ブックメーカーのEL優勝予想で大本命に推されているリバプールにとっては絶対に負けられない戦いが続く。そこにどれほど日本人選手は出場できるか。選手としての価値はそれで決まる。

 守田所属のスポルティングはアウェーでアタランタに1-1で引き分け、グループ2位でCL各組3位チームとのプレーオフに回ることが決まった。第1戦のホーム戦は1-2でアタランタ。スポルティングは合計スコアで同点に追いつこうと、1-1にすると、その後も猛然と攻めた。守田はその中心選手として安定したプレーを披露。ベルガモのファンの目に残像を焼きつけたに違いない活躍だった。しかし、スポルティングは合計スコアで当該チームであるアタランタに並ぶことができず、グループDで2位に終わる。

 守田は日本代表が4-2-3-1を敷けば、遠藤と守備的MFとして並んで構える関係にある。遠藤に負けるわけにいかないと、欧州の上位クラブでプレーする機会を虎視眈々と狙っているはずだ。スポルティング対リバプールの日本人対決が、決勝トーナメントで実現することを期待したい。

 堂安は5-0で大勝したオリンピアコス戦でフルタイム出場をはたしている。後半32分には5点目のゴールを叩き出し、2位以内確保に貢献した。

 町田所属のサン・ジロワーズは、トゥールーズに0-0で引き分け、グループEで3位につけている。勝利が求められる次戦はリバプール戦。遠藤との対決が見られそうである。

【見るからにコンディションが悪そうな三笘】

 この日、プレーに最も精彩を欠いたのはブライトンの三笘薫だろう。

 AEKアテネとのアウェー戦に先発した三笘。日本代表戦のために帰国したがケガのため試合をせず、イングランドにUターン。前戦の国内リーグ対ノッティンガム・フォレスト戦も休んでいた。AEKアテネ戦は病み上がりの一戦ということになる。

 開始2分、さっそく三笘は輝いた。前を走るエヴァン・ファーガソンに右足のアウトで軽やかな縦パスを送った。

 19歳のアイルランド代表FWが放ったシュートは相手GKに防がれたが、それは三笘の挨拶代わりのプレーに見えた。ところが、三笘はそこから沈黙する。前半11分に1度、ドリブル&フェイントを仕掛けたものの相手に奪われると、ドリブルさえしなくなった。それ以前にボールをほしがらなくなった。プレー機会は数えるほど。相手ボール時に相手の選手を追いかける姿にも鋭さを欠いた。見るからにコンディションの悪そうな選手がひとり、混じっているという感じだった。

 左SBに起用された選手が、ジャック・ヒンシェルウッドというアカデミー出身の18歳だったことも、左が機能しない原因だったが、コンビネーションの問題以前に、三笘自身の調子がおかしかった。

 後半24分、三笘はベンチに下がった。フルタイム出場が当たり前だった2週間ほど前までの三笘とは別人のようだった。

 ケガをした経緯は不明だが、日本に帰国するやケガをしたのだとしたら、ブライトンとしては遺憾だろう。まず負けることがない格下を相手にオールスターキャストを招集する必要があったのか。精彩を欠く三笘を見ていると、あらためて疑念が膨らむのだった。

 ブライトンはからくも1-0で勝利し、グループ2位以内を確保した。最終節は勝ち点1差でグループの首位を行くマルセイユ戦(12月14日)となる。文字どおりの大一番を迎えるが、三笘はこの2週間で回復するだろうか。三笘以外にもケガ人続出のブライトンにとって、茨の道が続く。