MF小泉佳穂が悔しさを噛みしめる。浦和レッズにとってホーム最終戦となったJ1リーグ第33節アビスパ福岡戦(2-3)で敗…
MF小泉佳穂が悔しさを噛みしめる。浦和レッズにとってホーム最終戦となったJ1リーグ第33節アビスパ福岡戦(2-3)で敗戦。先日のルヴァンカップ決勝戦(1-2)で苦杯をなめさせられた相手に、またしても屈した。
「前半は、直近で対戦したことで相手がどうやってくるか分かっていました。比較的、ゲームが自分たちの手中にあった感覚はありますが、1失点目が痛かった」
小泉が悔やんだのは1点リードで迎えた32分の場面だ。FW山岸祐也がセンターサークル付近でボールを収めるとダイレクトで浮き球のパスを選択。裏に走り出したMF紺野和也が右足でGK西川周作の頭を越えるループシュートを決め同点にされた。
「隙を見せてはダメ。ちょっと大丈夫とか、一瞬の集中力が乱れた瞬間でやられる。それまでの努力が無に帰すので、今日もそういう失点だったと思います。今のサッカーでは、そういうところは許されないところなので悔しいですし、痛いですね」
その後、54分、62分と立て続けに安い失点を喫すると、75分に途中出場のFWアレックス・シャルクが、FWブライアン・リンセンのシュートのこぼれ球を詰め1点差に迫ったが反撃もここまで。スタジアムに試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。
■「一人ひとりにムラがある難しさ」
リーグ戦では最少失点を誇るチームが公式戦4試合連続複数失点。この綻びについて小泉は「これが優勝争いやリーグ中盤で気の抜けないところであれば起こってないこともある。ACL(浦項スティーラーズ戦)で負けた時も最後に守って引き分けでいい判断でしたが、攻める選手もいて意思疎通ができずに無駄なリスクを負ってカウンターだったり、神戸戦も意思の疎通が取りきれてなかったり、一人ひとりにムラがある難しさ、そこからくる失点が多い印象があります。チームとして難しいものがありますし、納得したくないと言うか、悔しい部分はありますが勉強になっています」と言う。
前半の失点も痛かったが、それ以上に攻撃面での成長の兆しが見えないところもある。「シンプルな動きで剥がせるチームは少ない。速攻やコンビネーションを増やさないと点は取れません。良さを出し切れてないところもあるので、もう少しお互いを生かせればいいと思っています。コンビネーションが増えると攻撃は面白くなると思うので、そこはここ数年の課題」と深く息を吸い、「でも攻撃は難しい」と攻撃をけん引する者として自身の力不足を反省点に挙げた。
■「バランス感覚がすごい」
また今季限りで退任するマチェイ・スコルジャ監督のラストマッチを勝利で飾ることはできなかったが、この1年間、指揮官の下でプレーをして感じたことを次のように述べた。
「バランス感覚がすごいと言うか、極端なことはせず、チームの悪い部分を消しながら、チームの良いところ出すためにうまいことやるんです。メンバー選考や交代策、自分のサッカーに無理矢理に当てはめるよりも、選手個人の良いところを引き出しつつ、チームの掟はしっかり作る。1か月先の対戦を見据えてメンバーを試すなど勉強になりました。小さいリスクを排除するのが上手だと思いましたし、(試合前)会見で川崎や新潟のスタイルが良いと、神戸も良いサッカーでより実践的なことを行っているチームだと、おっしゃっていましたが、その中間で“理想はありつつ勝つために必要な手段を取るバランス感覚”はすごいです。自分が将来、コーチや監督など指導者をやることになったらという目線で見れば勉強になったと思います」
強者への道はまだ遠いかもしれないが、この日、味わった悔しさを最終節にぶつけ、最後は笑顔で終わりたい。
(文・構成/石田達也)