日本体育大学の注目選手を紹介。今回はダンス競技「KRUNP」で活躍する中村万葉 / LADY TWIGGZ ・名前 中村万葉 / LADY TWIGGZ ・身長 / 149cm ・所属 日本体育大学体育学部健康学科 / FULLCAS…

日本体育大学の注目選手を紹介。今回はダンス競技「KRUNP」で活躍する中村万葉 / LADY TWIGGZ

・名前 中村万葉 / LADY TWIGGZ
・身長 / 149cm
・所属 日本体育大学体育学部健康学科 / FULLCAST RAISERZ A.R.M.Y
・出身校 日本体育大学桜華高等学校

中村万葉は幼い頃からダンスをやっており国内外の様々な大会で結果を残してきた。現在、DリーグFULLCAST RAISERZの弟軍FULLCAST RAISERZ A.R.M.Yでの活動や様々な大会への出場を果たしている。なぜ大学に通いながらもここまでダンスを続けられるのか、中村万葉の魅力を深掘りしていく。

・受賞歴(一部抜粋)
2016年 INTERNATIONAL ILLEST BATTLE2016(フランス 世界大会)/ 3on3優勝 /ソロバトル優勝
2016年 KING OF BACK7/準優勝
2017年 ALL JPAN SUPER KIDS ソロバトル/関東予選 優勝/全国大会 準優勝
2018年 Fresh!? バトル(中国)/準優勝
2018年 Krumpire 2018 8BUCK $KIDS/優勝(ロシア 世界大会)
2019年 DANCE@LIVE  HERO’S 2019 KIDS KANTO CLIMAX /準優勝
2019年 DANCE@LIVE HERO’S 2019 FINAL  KIDS/ベスト4
2019年 ILLEST ladys side 2019/ベスト8(フランス 世界大会)
2019年 EBS KRUMP WORLD FINAL 2019 junior side/優勝(ドイツ 世界大会)
2022年 100(ONE HUNDRED) -1vs1 KRUMP TOURNAMENT- LADY'S 部門 優勝
2022年 KING OF BUCK 13 FINAL LADY'S 部門 準優勝
2023年 第8回味の素株式会社presents全日本大学ストリート選手権 crew 部門 優勝

▶︎KRUNPというジャンルについて

KURUNPが生まれたきっかけとしてかつてギャングによる抗争やドラッグ、犯罪などが多く起こっていたロサンゼルス、サウスセントラルの過酷な環境下で生きる若者たち自らをギャングやドラックの道から遠ざけ、犯罪に手を染めることなく厳しい環境を生き抜くために生み出されたダンスである。
KRUNPダンスの特徴はストンプ(足を踏み鳴らす)、チェストポップ(胸を突き出す)、アームスイング(腕を振り下ろす)といった3つの動きがベースになる。エナジーや感情などを表現するダンスであるため、全身を大きく使ったアグレッシブでパワフルな動きが特徴とされる。

▶︎ダンス、KRUNPとの出会い

彼女がダンスを始めたきっかけは、当時、TV番組「めちゃイケ」の企画でやっていたEXILEと岡村隆史がコラボしたオカザイル。この企画を毎回逃さずみていて、音が流れると岡村の真似をしてよく踊るようになりダンスを始めてみる事にした。KRUNPに出会ったきっかけはダンススタジオを変えたタイミングで、そこで教えていた先生(今の師匠)がクランプをしていて、やってみないかと声をかけてもらったのがきっかけである。

▶︎小学生の青春、今でも忘れない気持ち

ダンスを始め、小学生頃から大会という世界に足を踏み入れていった。彼女は「大会に出るたび新しい自分を見つけられた気がしました。内気な性格である自分が一番さらけ出せる場所でした。」と語り、ダンスに出会ったことで自分を変えることができた。

特に思い出に残っている大会はダンス@LIVE HERO’S。ダンサーの憧れの場所であり誰もが立てる場所ではない。彼女は2018、2019とファイナリストに選出され、気持ちのこもった精一杯のダンスをした。今でも活躍している多くのダンサーが通ってきている道である。思い入れのある大会に「アライブは小中学生の頃の青春です。少しでもクランプと言うジャンルをみんなに見てもらえる、両国国技館のステージで踊れると言う、感謝と喜びの気持ちで一杯でした。」と感謝の思いを語った。

▶︎彼女にとって1番大切な人

彼女が「1番大切にしている人は家族です。特に母は偉大な人です」幼い頃は毎日スタジオまで車で1時間以上かけて送り迎えしてくれたり、お弁当を作ってくれていた。レッスンの態度やスキルが上がっていないと怒られることも多かったという。しかし、「当時母が叱ってくれたことで今の自分があるし、強い自分でいられる気がします」と感謝の思いを明かした。

▶︎ダンス人生においての分岐点とは

彼女にとっての分岐点は2つある。

1つ目はKRUNPというジャンルを選んだことだ。ダンスを始めて色々なジャンルに触れてきたが自身の専門ジャンルを絞るのに悩んだことがあると明かした。KRUNPは人口も少なく、認知度も低いとされているが彼女はKRUNPというジャンルを選んだ。その決断が内気な性格であった彼女を変えた。

2つ目は2016年にフランスで行われた世界大会で優勝したときだ。この大会は初めて世界大会の個人戦に挑戦した大会である。「たくさんの外国人からの歓声を浴びて、クランプを初めてよかったと思った時でした。優勝をしたタイミングから色々な人から見てもらえるようになり、新たな自分が作られたときでした」と語った。

▶︎高校への入学、ダンスを第一に考えた生活と慣れない環境

高校を決めた理由はダンスを第一に考えて学校生活を送れることだった。ダンスはあまり公欠や特待制度がない競技でありながら世界大会に行く際には公欠になったりとダンスを応援してくれたことが彼女にとって大きな力になった。高校入学と同時にダンス部への入部を決めた。大人数が苦手な自分を克服し、母からの「人間性を学びなさい」という言葉で決意した。

「一匹狼の性格である私にはダンス部がとても恐ろしかったです笑」と語った。

高校3年生では部長になり、経験豊富だった彼女に声が上がった。元々チームでもリーダーになることが多かったため、やれるところまで頑張ってみようと挑戦した。

▶︎世界でも活躍するダンサーでありながら入学を決めた思い、忙しい生活を送る彼女が勉強、ダンスを通して学んだこと

最初は大学に行くことを悩んでいた。しかし、ダンスは他の競技に比べて、お金を稼げないのが現実である。それもあり彼女は大学に通うことを決意した。また、ダンススタジオの講師であることから、子ども達に教える場面も多くあり栄養学や子どもの健康問題、ダンスをしていく上で必要な身体の事を学ぶことができるのも入学の決め手となった。

大学とダンサーの両立しながらの生活はかなりハードなものである。その中でも「日本体育大学で他の競技を頑張っている仲間に出会い、新しい話を聞けたり、応援してもらえたり、私もその子の事を応援できたりと新しい繋がりができた事が一番です。」と語った。

授業で学んだことがダンスレッスンでも生かされており、教え方の工夫や子ども達に対する注意の仕方も変わってきたと言う。忙しいながらも、多くのことに触れて生活を送ることが彼女にとって日々の成長に繋がっている。

▶︎10年以上もダンスを続けてこられた理由

「どんな場所でもいい音楽が流れてると踊りたくなりますし、家でも暇なときやぼーとしていると踊っています。そのくらいダンスは私の生活の一部です。忙しいときは頑張ろうと思いますが、それ以外は楽しすぎてやめられないと思っているので、頑張ってやっている感覚はあまりないです。好きな時に音楽かければ踊れて、気づいたら何時間も経っていてという素敵な時間を過ごせるからそこ続けて来れたと思っています!」と語った。彼女は心の底からダンスが好きで楽しんでいるのである。

▶︎子ども好きの彼女が将来目指していること、学んだことをどう生かしていくのか

「正直なところまだどうしていきたいかははっきりしていないのが現状です。ダンサーという職業だけでは厳しいからこそ、体育教師とダンス講師を掛け合わせてできるものはないかと考えている」実際、体育の授業過程にダンスという科目が入ってきている中でダンスを子ども達に教えられる先生はまだ少ないとされている。ダンスができる先生がいれば子ども達は今以上に授業が楽しくなり、授業をきっかけにダンスを始める子がいればダンス界自体が大きくなることにも繋がると考えている。

また、子どもが好きである彼女は「ダンスを通して子どもの健康状態と生活課題を改善してあげたいです」と語っている。リズム運動を通して運動不足やストレスの解消をしてあげたいとしている。

「夢を持つ子どもたちに、夢を与えられる人になりたいと考えています」と明かした。

(取材・文 : 山本美友)