サッカーのU-17ワールドカップがインドネシアで開幕した。日本はセネガル、アルゼンチン、ポーランドとのグループDに入っ…
サッカーのU-17ワールドカップがインドネシアで開幕した。日本はセネガル、アルゼンチン、ポーランドとのグループDに入った。1-0で勝ったポーランドとの初戦、そしてこれからを、現地取材中のサッカージャーナリスト・後藤健生が読み解く。
■活きたアジアでの経験
この日のバンドンは、試合開始の2時間ほど前にかなり強い雨が降って、ピッチが濡れている状態だった。なかなか得点が奪えなかったのも、濡れたピッチの影響があったのかもしれない。
そして、後半が始まってしばらくすると、メインスタンドから見て左(北)から雷鳴がとどろき始め、大雨が降り始めたため、試合は69分に中断してしまう。中断した瞬間、交代準備を終えてタッチライン沿いに立っていた高岡も、そのままベンチに引き返さなければならなかった。
だが、日本の選手たちは「アジアカップでも経験があった」と、試合中断にもまったく動じなかった。高岡がピッチに入って、試合が再開されると日本がチャンスをつかみはじめ、そして76分に高岡が強烈なシュートを決めて勝利を手繰り寄せた。
チャンスは作っているが、決めきれずに招いた苦戦だった。初戦の緊張あるいは気負いが目立ったFW陣だったが、2戦目からは決めきってほしいものだ。2戦目はアルゼンチン、最終戦はセネガルと強敵続きではあるが……。
■フル代表につながるか
森山佳郎監督がFW5人を登録しようという決断をしたのは、この年代にそれだけ有力なFW候補がいたからだ。
いわゆるストライカー・タイプ、点取り屋がこれだけ揃ったのは過去にはなかったことだ。
森保一監督率いる日本代表(フル代表)は、9月の遠征でドイツ相手に4ゴールを奪って完勝するなど、複数得点での連勝を6試合にまで伸ばしており、その攻撃力の高さをアピールしている。
とくに「2列目」には伊東純也や久保建英、堂安律、南野拓実、三笘薫といった各国リーグのトップクラブに所属し、ヨーロッパのカップ戦でも活躍している選手が揃っている。さらに、MFとしては鎌田大地や守田英正も攻撃陣にパスを供給できるし、リバプール移籍後の遠藤航はボール奪取してから前線にボールを付けて攻撃のきっかけを作る動きが非常にスムーズになっている。
ただ、攻撃的ポジションでは、センターFWだけが人材不足。浅野拓磨や古橋亨梧、上田綺世といったFW候補は何人かいるが、“決め手”となる選手はいない状態だ。
だからこそ、現在のU-17世代にいる何人かのCFタイプの選手のうち、1人でもいいから国際試合でも通用するまでに育っていってくれれば、日本代表はさらに強くなるはずなのだ。
■日本が挑む「死のグループ」
現在のU-17世代は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で国際経験が足りない。16歳になって初めてパスポートを取得した選手もおり、アジアカップで優勝した後のヨーロッパ遠征で初めてヨーロッパの強豪と顔を合わせたのだ。
森山監督は「だから、ボロボロに負けるかもしれない」といいながら、一方で爆発的な成長に期待しているようだ。
「FW偏重」という面も含めて、なかなか予想しにくいのが現実だが、初めての“世界との遭遇”で、彼らの攻撃力がどこまで通用するのか、大いに注目したい。
しかし、日本が所属するグループDは強豪ひしめく「死のグループ」となった。
日本の2戦目はアルゼンチン。U-20ワールドカップでは素晴らしい実績があるアルゼンチンだが、U-17ワールドカップではまだ優勝がない。昨年のカタール・ワールドカップではリオネル・メッシを擁して3度目の優勝を飾ったが、“ポスト・メッシ”を考えれば若手育成が急務でもある。
初戦のセネガル戦では、セネガル注目の15歳、アマラ・ディオフに2点を決められて敗れてしまったが、前半は右サイド、後半は左サイドでウィングとしてプレーしたサンティアゴ・ロペスやトップ下の10番クラウディオ・エチェベリが攻撃の中心。
ともに、ボールタッチ数の多い、典型的なアルゼンチン・スタイルのドリブルを見せる選手だ。
全員がハードワークをするが、システム的な変化は少ないので日本のDFもマークをつかめるだろうが、ドリブルにうまく対応できるかがカギとなるだろう。