カナダ・ケロウナで開催されたカーリングのパンコンチネンタル選手権(以下PCCC)。女子日本代表のロコ・ソラーレは決勝まで駒を進めたが、韓国代表のチーム・ギム(Gim)に6-11で敗れ、連覇を果たすことはできなかった。 日本、韓国ともにドロ…

 カナダ・ケロウナで開催されたカーリングのパンコンチネンタル選手権(以下PCCC)。女子日本代表のロコ・ソラーレは決勝まで駒を進めたが、韓国代表のチーム・ギム(Gim)に6-11で敗れ、連覇を果たすことはできなかった。

 日本、韓国ともにドローショットを武器にして石をためていくエンドが多いチームとあって、決勝は前半の5エンドまで、互いに複数得点を重ねる派手な打ち合いとなった。

 スキップの藤澤五月は「悔しいのは、5エンド目です」と振り返った。

「私のドローがちょっと弱くて......。感覚以上に滑っていたので、それに合わせられなかった。でも、何よりも相手がうまかったです」

 反省の弁と同時に勝者を称えた藤澤だが、それは日本の選手全員の共通認識だった。

 サードの吉田知那美が「私たちはチャンスで、決めないといけないところで決められなかった。一方、チーム・ギムはしっかり決めてきた。その差が勝敗に出てしまった」と分析すれば、リードの吉田夕梨花も「私たちがミスなく100%の状態で挑んでも、勝てるかどうかわからないくらい(韓国は)調子がいいチームだった」と評した。

 それだけ、今大会の韓国は冴えていた。ラウンドロビン(総当たりの予選)から通して、カナダ、日本といった今年の世界選手権で上位に進出した強豪相手にも連勝を飾っている。

「すごくアグレッシブに戦うスタイル」とは、吉田知の韓国に対する印象だが、実際に韓国は全9試合で得失点差「51」という圧巻の数字を残している。同じく9試合を戦った準優勝の日本の同「27」、3位アメリカの同「24」、4位カナダの同「25」と比較すれば、韓国の"攻撃性""アグレッシブさ"は歴然だろう。

 そうした韓国の強さを受けて、日本の選手たちもさらなる向上を誓う。

「ドローがうまいチームに対して、どんな準備をしていくか、しっかり考えておかないと」(藤澤)
「(自分たちから)先にミスが出ないよう、またレベルをひとつ上げないといけない」(吉田夕)



PCCCで準優勝という結果を残した日本代表のロコ・ソラーレ。photo by Takeda Soichiro

 とはいえ、日本にも多くの実りをもたらした7日間、9試合だった。日本代表のロコ・ソラーレは、昨季を今年5月上旬まで戦っていたこともあり、オフを挟んでの今季、アイスに乗ったのは8月以降。始動から2カ月ほどで、国際大会ファイナルのアイスに立ったこともあって、吉田知は「11月の仕上がりとして、よくここ(決勝)までたどり着いたという気持ちもある」と総括した。

「しびれる勝ちもあったし、悔しい負けもあった。いろいろな精神状態の時に、いかにチームで次の一投を決めていくか。シーズン中盤に、こういう状況を経験できたことが大きい。日本選手権、世界選手権に向けて、レベルアップできたと思っています」

 セカンドの鈴木夕湖も「いいところも課題も出た」と語り、スイーパーとしての役割を再確認した。

「何本目のパス(ストーンの軌跡)なのか、きちんと確認するなど、第二スイーパーが冷静にジャッジすることがより大事になってくる。そのあたりをもう一度、しっかり意識したい」

 日本代表のロコ・ソラーレは決勝を終えた翌日、今季2大会目のグランドスラム『KIOTI National』に臨むため、すぐさまケロウナからトロント経由でノバスコシア州ピクトゥに移動した。そこではまた、韓国代表のチーム・ギムとの対戦が控えている。

「PCCCで負けたことに意味があると思う」と吉田知。彼女たちにとって、敗戦は何よりの"薬"であって、チーム強化は目標の舞台での勝利から、常に逆算して行なわれてきた。

 今季も、はやシーズン中盤を迎える。ロコ・ソラーレが真骨頂を示すのはここからだ。