花園ラグビー場(大阪府東大阪市)で開かれる全国高校ラグビー大会への出場をかけた香川県予選が5日開幕する。昨年までは選手が15人に満たないと予選に出られなかったが、今年から複数の学校の選手が集まって出場できるようになった。今年は坂出工、観音…

 花園ラグビー場(大阪府東大阪市)で開かれる全国高校ラグビー大会への出場をかけた香川県予選が5日開幕する。昨年までは選手が15人に満たないと予選に出られなかったが、今年から複数の学校の選手が集まって出場できるようになった。今年は坂出工、観音寺総合、香川高専高松の3校の選手たちで合同チームを組んだ。

 「合同練習はまだ2回目だけど、楽しんでいきましょう」。10月29日、3校の選手たちは坂出工のグラウンドに集まり、大会前の最後の練習に臨んだ。

 県外のチームを招いた試合形式の練習を通して、セットプレーやサインを確認。試合後には、選手たちだけで話し合いもした。「来週、試合やけん。3年生は最後。そのためにも声を出していこう」

 主将は香川高専高松の大喜多隼人選手(3年)。小学4年からラグビーを始めた。高専でもラグビー部に入り、高専の全国大会を目指し、プレーしてきた。

 しかし、昨年で最上級生の5年生部員が卒業し、部に残ったのは自分だけに。「これでラグビーは終わるんかな」と思ったが、まさかの展開が待っていた。

 高専大会には出られなくても、今年から合同チームで憧れの「花園」を目指せるようになった。

 「出たくても出られない大会だった。ラッキーです」。現在は週に4日ほど、坂出工の練習に参加している。

 坂出工は部員11人。昨年の県予選は単独で出場したが、今年は野球部や柔道部の部員の「助っ人」を得ても、15人そろわなかったため合同チームで出場する。

 部員4人の観音寺総合は昨年に続き、春にあった7人制の大会に合同チームで出場したが、今年は15人制の大会にも出場できる。亀山晃暉選手(3年)は「出場は難しいと思っていた。モチベーションは上がります」と話した。

 しかし、合同チームを試合で満足に戦える状態に仕上げるのは至難の業だ。3校がそろって練習できたのは、夏の合宿と練習の計3度だけ。週末は各校で文化祭などの行事があり、3年生はオープンキャンパスや資格試験などで練習時間も十分取れていない。

 練習場所への移動手段の確保にも苦労した。少人数ではバスを借りられず、保護者らの送迎を頼むにも、「そこまで大きな負担をかけられない」と観音寺総合の山本勝行監督は頭を悩ませる。

 合同チームの指揮をとる坂出工の増田剛司監督は「月に2回くらい練習すれば、勝てるかもしれないが、まだそこまでできていない」と語る。

 5日開幕の県予選、合同チームは初戦で前年覇者の高松北と対戦する。大喜多主将は「チームの目標はやりきること。僕自身もこの試合が最後かもしれない。やりきりたい」と意気込む。(内海日和)

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 〈高校スポーツの合同チーム〉少子化で部活動の部員不足が加速しており、全国高等学校体育連盟は今年度から、複数の学校の部員による「合同チーム」の全国大会への出場をサッカー、バスケ、ラグビーなど九つの競技で認めた。これまでも都道府県予選では合同チームでの出場について対応が分かれていたが、香川県高体連は今年の県予選から合同チームでの出場を認めることにした。