UCI(世界自転車競技連合)認定のステージレース「マイナビ ツール・ド・九州」が10月6日から4日間にかけて開催された。ラグビーワールドカップのレガシーの持続的継承や、九州でのサイクルツーリズムの推進、近年九州を襲った自然災害からの復興を象…
UCI(世界自転車競技連合)認定のステージレース「マイナビ ツール・ド・九州」が10月6日から4日間にかけて開催された。ラグビーワールドカップのレガシーの持続的継承や、九州でのサイクルツーリズムの推進、近年九州を襲った自然災害からの復興を象徴するイベントとして立ち上がったものである。地域のメディアをまじえて認知が進み、すでに地域の気運も高まっているようだ。
九州初のUCIレースであり、同時に、初日のクリテリウムをのぞき、福岡、熊本、大分で開催される3ステージは、周回コースではなく、国内では珍しいスタートとゴールが異なるラインレースの設定だ。初開催ながら、本格的なロードレースが展開されることになる。
初日は「ステージ0」と位置付けられた小倉城周辺に設定された特設コースを走る小倉城クリテリウム。
設定された1周1.79kmのコースは、ひしゃく型。小倉城前をスタート・フィニッシュとし、3つのコーナーと1つの180度折り返しを含んでいる。コース内にはごくわずかなアップダウンがあるのみで、ほぼ平坦である。レースはこのコースを25周する45kmの設定となった。小倉城を中心に据えたコースは美しく、そこをカラフルなウェアで走り抜ける選手たちの様子はフォトジェニックで、今後、海外へと発信されるポテンシャルも有しているだろう。
3つのコーナーと180度ターンを含む1.79kmのコース
スタートは午後1時半。初開催の大会ではあるが、地域の注目度は非常に高く、平日ではあるが、沿道には多くの観客が詰めかけた。
スパークルおおいたレーシングチームとVC福岡の選手を先頭にスタートラインに並ぶ
先頭には九州に本拠地を置く、スパークルおおいたレーシングチームとVC福岡の選手が並び、華やかな盛り上げが行われ、声援と拍手を浴びながら、スタートして行った。
観客たちの声援を受けながらスタート
ショートレースとあり、また、ここで勝ち星を上げたいモチベーションの高い選手も多く、序盤からアタックが飛び交う激しい展開に。
だが、決定的な抜け出しは生まれず、5周回目のスプリントポイントをベンジャミ・プラデス・レヴェルテ(JCL チーム右京)が獲得した。
堀を渡る
その後も、様々な選手が飛び出すものの、スプリントポイントを獲得するのみで、吸収され、レースを動かすような動きにはつながらない。10周回目のスプリントポイントは孫崎大樹(キナンレーシングチーム)が獲得した。
小倉城の周りに設定された美しいコースを走る
平日にもかかわらず、多くの観客が集まった
3名が飛び出し、15周回目のスプリントポイントを岡篤志(JCLチーム右京)が獲得。岡はそのまま先頭を走ったが、まもなく吸収され、大集団に戻った。
チームブリヂストンサイクリングが先頭に集まり、ゴール勝負に向けてのコントロールを試み始める。その後ろにはボルトンエクイティース・ブラックスポークがじわじわと集まっている。ゴールに向けての準備を始めた。
風情ある景観の中をハイスピードで走り抜ける
最後のスプリントポイントに向け、寺田吉騎(シマノレーシング)が抜け出し、先行を試みる。接戦となったが、ここでも岡が追い上げ、2つ目のスプリントポイントを獲得。
ラスト5周となり、レースはここから本格的な展開を見せた。チームブリヂストンサイクリングが、勝利への意地を見せつけるかのように集団の先頭に集結、主導権を握り、コントロールを始めた。ボルトンエクイティース・ブラックスポークが、ここに割って入ったが、最終周回に入ると、チームブリヂストンサイクリングが再び先頭を奪取し、万全の態勢でフィニッシュへ向かう。
最終コーナーをチームブリヂストンサイクリングの隊列を先頭に回ると、トラック競技では日本代表として世界を舞台に戦うトップライダーの松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)の後方から、ここまで温存され、引き上げられて来た兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が、スプリントを開始し、そのままトップでフィニッシュラインを越えた。
圧巻のスプリントでフィニッシュに飛び込んだ兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
2位には同チームの窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が入っている。平均時速は45.7kmという高速レースとなった。
優勝した兒島直樹は、華々しく表彰された
実は兒島は福岡出身。「地元で優勝できて、すごく嬉しい」と明るい笑顔を見せた。入念なミーティングで立てた「前方にチームで固まりながら、最後に兒島らがスプリント勝負を担う」という作戦通りにほぼ進行し、優勝を決めることができたという。チームとしてはワン・ツーフィニッシュ。非常に幸先のよいスタートとなった。
この翌日からはステージレースとして結果が累積される3つのステージが始まる。熱い戦いになりそうだ。
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【結果】小倉城クリテリウム
1位/兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)59分00秒
2位/窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)+0秒
3位/エフゲニー・ギディッチ (アスタナ・カザクスタン、カザフスタン)+0秒
4位/デクラン・トレザイス (ARAスキップ・キャピタル、オーストラリ)+0秒
5位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)+0秒
画像:ツール・ド・九州2023実行委員会