【7位・中央大は「駒大のライバル」、8位・東洋大は主力の復帰次第】 10月9日の出雲駅伝で学生三大駅伝が開幕し、「2年連続3冠」を目指す駒澤大が初戦を完勝した。創価大が2位、城西大が3位と過去最高順位(創価大6位、城西大8位)を大きく上回っ…

【7位・中央大は「駒大のライバル」、8位・東洋大は主力の復帰次第】

 10月9日の出雲駅伝で学生三大駅伝が開幕し、「2年連続3冠」を目指す駒澤大が初戦を完勝した。創価大が2位、城西大が3位と過去最高順位(創価大6位、城西大8位)を大きく上回った一方で、順位が"ふるわなかった"チームもある。7~10位の中央大、東洋大、法政大、順天堂大だ(4位は國學院大、5位は青山学院大、6位は早稲田大)。



出雲駅伝で10位だった順天堂大 photo by SportsPressJP/AFLO

 中大は吉居大和(4年)が10月1日の世界ロード世界選手権(ラトビア・リガ)に出場した影響を考慮。絶対エースを温存する形を取るも、1区に抜擢した浦田優斗(3年)が関東勢では最下位の13位(トップと1分25秒差)と出遅れた。結果は伴わなかったが、「三大駅伝の出場がなかった浦田を主要区間で経験させた」とポジティブに考えることができる。

 もともと藤原正和駅伝監督は、「箱根に向けてキャリアがない選手たちの経験値を高めたいですし、出雲より全日本のほうが狙いやすいかなと思っています」と話していた。エース吉居の爆走が期待できる全日本と箱根では、王者・駒大のライバルになるだろう。

 では、他の3校はどんな状況なのか。

 東洋大は昨季、エース松山和希(4年)の不在もあり、三大駅伝は全日本の8位が最高順位だった。今季は「チームの底上げと土台作り」(酒井俊幸監督)を目標に取り組み、出雲は8位だったが、前年の順位をひとつ上回っている。三大駅伝初出場の緒方澪那斗(れなと/2年)が、1区を区間6位と好走したのも明るい材料だ。

 ただ、他のメンバーがもうひとつだった。復帰した松山も、主要区間ではない4区で区間8位とまだまだ本調子とは言えない。そして心配なのは、主将・佐藤真優(4年)と、昨季にエース区間を担った石田洸介(3年)が、出雲に続いて全日本もエントリーから外れたことだ。

 ポテンシャルの高い松山と石田が"完全復帰"できれば、チーム目標である「箱根駅伝での上位進出」は十分に期待できる。しかし、このまま主力選手が揃わないと、箱根は「シード権争い」の沼に引きずり込まれてしまうだろう。第100回大会で19年連続シードを死守できるのか。

【9位・法大は抜群の安定感。10位・順大は「悩ましい」2人の不調】

 法大はエース格の松永怜(4年)が1区を9位で発進すると、ほとんど順位が変わらないまま9位でフィニッシュ。個人順位も、4区・安澤駿空(あんざわ・しゅんすけ/3年)が区間8位タイだった以外、すべて区間9位という抜群の"安定感"だった。「5位以内」という目標は遠かったが、法大らしいレース展開だったといえる。

 もともとトラック種目の平均タイムは高くなく、スピード駅伝の出雲は得意ではない。過去10年間の成績は5回出場して、最高は昨年の7位だった。昨季は箱根も7位に入っているが、全日本は6月の関東学連推薦校選考会を突破できなかった。今季も全日本の出場はなく、流れとしては昨季と非常に似ている。

 箱根を見据えると、"山"には前回5区で区間10位だった細迫海気(4年)と、6区を2年連続で好走(前回5位、前々回2位)している武田和馬(3年)がいる。加えて、出雲は細迫と1万mでチーム2番目のタイムを持つ小泉樹(3年)を起用していない。箱根駅伝に合わせるのがうまいチームなだけに、正月決戦ではシード権争いに絡んでくるだろう。

 出雲で上位進出の期待が高かった順大は、まさかの関東勢で最下位(10位)。エース三浦龍司(4年)の欠場が響いた形だ。3000m障害で世界と戦う三浦は、8月のブダペスト世界選手権で6位入賞、9月16日のダイヤモンドリーグ・ファイナルで5位に食い込んだ。出雲欠場は連戦のダメージと、今後を見据えての決断だった。

 関東インカレ1部1万mで4位(28分30秒11)に入った浅井皓貴(こうき/3年)が、3区(区間6位)で3人抜きの好走を見せただけに、三浦が出走していれば結果は大きく変わっていただろう。

 悩ましいのは、5000mで13分22秒99の高校記録を保持する吉岡大翔(ひろと/1年)と、"駅伝巧者"だったはずの石井一希(4年)だ。吉岡は9月の日本インカレ5000mで日本人トップ(4位/14分00秒43)を飾るも、出雲は1区で区間11位に沈んだ。石井は1年時の箱根4区を区間5位、2年時も同4区を2位と好走したが、3年生で迎えた今年の箱根4区は区間15位。アンカーを任された出雲は区間11位で、東洋大と法大にかわされている。

 順大は前回の箱根メンバーが5人卒業。選手層は厚くないだけに、「3位以内」を目標に掲げる全日本と箱根は吉岡と石井の活躍が欠かせない。「スーパールーキー」と呼ばれる吉岡は、「三浦さんと走る駅伝は今季限りなので、最後は笑顔で卒業してもらえるようにしたいです」と話す。まずは全日本で自信を取り戻して、"箱根決戦"に向かいたい。

 11月5日に開催される全日本大学駅伝には、箱根予選会に出場した大東大、東海大、東京国際大、東農大、帝京大、国士大も参戦。学生三大駅伝の第2ラウンドが間もなく始まる。