ジュビロ磐田がホームに東京ヴェルディを迎えたJ2の大一番は1ー1の引き分けに終わった。先制点は後半の早い時間帯に訪れる…

 ジュビロ磐田がホームに東京ヴェルディを迎えたJ2の大一番は1ー1の引き分けに終わった。先制点は後半の早い時間帯に訪れる。磐田が攻め込んでCKを獲得すると、その裏返しを狙うヴェルディがカウンターから中原輝、齋藤功佑とつないで、折り返しを受けた中原がシュート。磐田のGK三浦龍輝が何とか弾くも、勢いよく駆け上がっていきたセンターバックの林尚輝が、そのこぼれをゴールに蹴り込んだ。

 磐田にとって非常に痛い失点だったが、試合が再開される前に選手たちがキャプテンの山田大記を中心に集まると、何かを確認して散会した。山田は「相手が得点した後にどういう変化をしてくるかを見よう」と話したという。

「こういう戦いになると相手は守備しっかりしてきて。自分たちが優位に試合を進められる可能性は十分あって。そこは自信を持って、攻撃の時間が増えるだろうから落ち着いてやっていこうと」

 ただし、失点した直後というのは相手も勢いに乗ってくる可能性があるし、自分たちもすぐに切り替えて勢いを盛り返すのは難しい。そうした流れを踏まえて「守備の部分ではあんまり前がかりにいきすぎないで、ちょっと5分ぐらいは相手の得点後の勢いというか。うちもショッキングなところをちょっと我慢して守備のところはプレーしよう」と確認したという。

■「シーズン通して、少しずつ自信が積み上がっている」

 そこから徐々に磐田が攻勢を強める。ヴェルディの城福浩監督は2枚交代、磐田の横内昭展監督も松本昌也に代えて古川陽介、山田に代えて藤川虎太朗を投入した。磐田の同点弾は後半24分にもたらされた。ヴェルディのFW染野唯月が放ったループシュートがわずかにゴール上に外れた直後、磐田は右サイドから攻め上がると、ドゥドゥを起点に中央で上原力也が絡み、左サイドバックから斜めに上がってきた松原后がミドルシュートをはなつ。

 ヴェルディのGKマテウスが弾いたクリアボールを右側でドゥドゥが拾い直すと、右サイドバックの鈴木雄斗がインから追い越して、ヴェルディのディフェンスを引き付ける。そこからドゥドゥはワイドに流れた上原と二度のパス交換で相手を翻弄し、最後は上原が左足でファーサイドを破った。

「やっぱり交代ででた選手もすごくパワーを持っていいプレーしてくれているので。終盤どうにか1点取れるというのはシーズン通して、少しずつ自信が積み上がっている。そこで2失点目すると苦しくなりますけど、1ならしっかり返せるんじゃないかと。比較的、後半の早い時間帯だったので、そういう理解でみんながプレーできていたと思います」

 その同点ゴールをベンチから見届けた山田は振り返った。そこから、さらに磐田がボールを握って攻め込む時間は多かったが、ヴェルディもセカンドボールや自陣でボールを引っ掛けたところかたカウンターで磐田ゴールに迫るシーンがいくつもあった。しかし、両者に勝ち越しゴールの無いまま試合終了のホイッスルが響き渡った。

 非常に見応えある試合だったが、1時間前にキックオフした2位の清水エスパルスが、ロアッソ熊本に1ー3で敗れたこともあり、お互いが勝ち点2を逃した”痛み分け”だったと言えるかもしれない。それでも山田は前向きなメンタリティで、残りの試合を戦い続けることの大事さを強調した。

(取材・文/河治良幸)

(後編へ続く)

いま一番読まれている記事を読む