9月8日に始まったラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が、いよいよフィナーレを迎える。 パリ郊外のサンドニで日本時間29日午前4時に始まる決勝は、南アフリカとニュージーランド(NZ)が優勝杯「ウェブ・エリス・カップ」をかけてぶつかる…

 9月8日に始まったラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が、いよいよフィナーレを迎える。

 パリ郊外のサンドニで日本時間29日午前4時に始まる決勝は、南アフリカとニュージーランド(NZ)が優勝杯「ウェブ・エリス・カップ」をかけてぶつかる。南アなら2連覇、NZなら2大会ぶり、どちらが勝っても史上最多4度目の栄冠だ。

 W杯では過去5度対戦があり、南アが2勝、NZが3勝と拮抗(きっこう)する。

 決勝での顔合わせは一度、1995年の南ア大会だ。アパルトヘイト(人種隔離)政策を廃止し、国際スポーツ界に復帰した南アが地元での初出場を劇的な優勝で飾った。のちにクリント・イーストウッド監督が映画「インビクタス」で描いた、あのW杯だ。

 ちなみに、当時の決勝でNZの背番号19をつけたのは、のちに日本代表ヘッドコーチを務めるジェイミー・ジョセフだった。

 南アは決勝に進めば必ず優勝している。一方のNZも95年の敗戦を除けば、負けはない。両雄の激突には、名勝負の予感が漂う。

 スクラムが機能すれば、南アが優勝に近づくだろう。準々決勝以降、自陣22メートルライン内でFK時に陣地回復よりスクラムを選択する戦術は常識外れだ。それだけ絶対的な自信がある証拠。準決勝での劇的な逆転PGも、元をたどれば、自陣22メートルライン内でのスクラム選択からだった。

 南アは控えメンバー8人のうち7人がFWという異例の配置。80分を通してスクラムで支配するという強い意思が表れる。

 準決勝を大勝したNZに対し、1点差のしびれる勝負を2戦続けてものにした勢いという点でも、南アに分がある。

 NZは鋭いランと素早いパス回しで、南アの防御を破れるかがポイントになる。準決勝でハットトリック(3トライ)を決めたWTBウィル・ジョーダンは、1大会での歴代最多トライ数8に並んでいる。

 新記録を打ち立てる展開に持ち込めれば、流れを引き寄せられる。(松本龍三郎)