今回のフランス大会では健闘及ばず決勝トーナメント進出はならなかった(C)Getty Images ラグビーワールドカップは現地10月28日(日本時間29日)に南半球の強豪ニュージーランド、南アフリカの両国の間で決勝が戦われるが、日本において…
今回のフランス大会では健闘及ばず決勝トーナメント進出はならなかった(C)Getty Images
ラグビーワールドカップは現地10月28日(日本時間29日)に南半球の強豪ニュージーランド、南アフリカの両国の間で決勝が戦われるが、日本において、この決勝戦の行方と同じくらいラグビーファンの注目を集めているのが、8年間ラグビー日本代表(以下ジャパン)を率いたジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(以下HC)の後任が誰になるのかという話題だろう。
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候補の一番手とされているのが、2015年のワールドカップでジャパンの指揮を執り、「ブライトンの奇跡」(当時世界ランク3位の南アフリカに34-32で勝利した一戦)を起こして世界中を震撼させたエディー・ジョーンズ氏だ。過酷な練習で選手を追い込み、過去のワールドカップで惨敗を続けてすっかり負け犬根性がしみついていたジャパンにウイニングカルチャーをもたらした改革者である。
8強以上を狙いながら、イングランド、アルゼンチンに力負けして、世界トップクラスのチームとの実力差を痛感させられた今、再度エディー・ジョーンズ氏によるドラスティックな改革を望む声は日増しに高まっている。
ただし、当のエディー氏本人はジャパンの指揮官への再登板については否定的だ。最大の理由は2027年のワールドカップまで、氏の母国オーストラリア代表のヘッドコーチを務める契約を結んでいること。しかし、豪州の『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙は、2015年にジャパン代表を辞めた直後、スーパーラグビーの強豪チーム、ストーマーズHCへの就任を表明する会見をおこなったものの、そのわずか二日後にイングランド代表のHCへの突然の転身を発表した、というエディー・ジョーンズ氏の「前科」を紹介した上で、豪州との契約が満期まで履行されるかどうかに疑問を投げかけている。
東海大学やサントリーサンゴリス(現東京サントリーサンゴリアス)で指導経験があり、現日本ラグビー協会会長の土田雅人氏とはサンゴリアス指導時代の盟友であり、夫人も日本人であるエディー氏は日本という国への親和性が非常に強く、そのこともジョーンズ氏を第一候補とする説を後押ししている。エディー氏が、日本ラグビー協会関係者とHC就任に関して面接を行ったことは事実であり、今後の動向には大いに注目だ。
4年後のチームを率いるのは誰か。年末目途で新指揮官が決まるという(C)Getty Images
対抗馬の一番手は、低迷していたクボタスピアーズ船橋・東京ベイを7年間指導し、ついにリーグワン初優勝に導いたフラン・ルディケ氏だ。南アフリカ代表のアシスタントコーチやスーパーラグビーのブルズHCなどの指導経験を持ち、特に若手を鍛え上げた上で積極登用する指導方針が高く評価されている。
さらに、ジェイミー・ジョセフHCの下でアシスタントコーチを務めたトニー・ブラウン氏の昇格案も浮上したし、現在ニュージーランドのディフェンスコーチを務める、スコット・マクラウド氏を推す声も聞こえ始めた。2007年、2011年のワールドカップでジャパンの指揮を執ったジョン・カーワン氏の名前も、まだ選択肢のうちにはあるらしい。
就任の可能性は非常に低いながら、現・横浜キヤノンイーグルスHCの沢木敬介氏も候補者の一人だ。U20などのカテゴリーで指導経験のある沢木氏は、現在のリーグワン各チームで主力となっている選手を数多く育て上げた。また、なかなかリーグワン上位の壁を打ち破れなかった横浜キヤノンイーグルスを2022-23シーズンでは創部初の3位にまで押し上げた功績が光る。
どの候補者も日本と世界の両方を知っているという点は共通しているが、それぞれの持つ「ラグビー哲学」は各人各様であり、どの指導者に4年後のワールドカップをゆだねるのか、日本ラグビー協会の見識が試される人選は非常に興味深い。土田会長はHC選出の期限として2023年末を目途とするという旨のコメントを残しており、まだ少し時間がかかりそうだ。
4年間は長いようで短い。今回のワールドカップで露わになった、ジャパンの少なくない弱点の克服のためには一日でも早く指導体制を固め、代表候補選手たちにハードワークを課すことが必要だろう。ジャパンに8強以上を、さらには優勝を狙えるだけの実力を確実に育んでくれる指導者の選出を願いたい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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