フジテレビ・堤礼実アナインタビュー(前編)今年の春、競馬中継番組『みんなのKEIBA』のMCを卒業し、深夜の報道番組『Live News α』のメインキャスターに就任したフジテレビの堤礼実アナ。今回、スポルティーバとの縁もあって、活躍の場を…

フジテレビ・堤礼実アナインタビュー(前編)

今年の春、競馬中継番組『みんなのKEIBA』のMCを卒業し、深夜の報道番組『Live News α』のメインキャスターに就任したフジテレビの堤礼実アナ。今回、スポルティーバとの縁もあって、活躍の場を広げる同アナを直撃。報道番組に携わるようになってからの半年を振り返ってもらいつつ、近況や今後の抱負などについて話を聞いた――。



photo by Sueishi Naoyoshi

――スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画となる堤礼実アナの連載「華麗なるウマ話」(2020年9月~2023年3月)では大変お世話になりました。その後、変わりなくお過ごしですか。

「こちらこそお世話になり、ありがとうございました。おかげさまで、私はその後も元気に過ごしております(笑)」

――『みんなのKEIBA』のMCを卒業されたあと、深夜の報道番組『Live News α』のメインキャスターに就任(月曜~木曜担当)して半年が経ちました。

「『もう半年』でもあり、『まだ半年』でもあり......、どちらの感覚もあるというのが正直なところです。いい意味で仕事を楽しみつつも、しっかりと壁に当たっているなという感覚もあり、日々いろんな経験をさせてもらっています」

――最初に報道番組のメインキャスター就任の話を聞いた時は、どう思われましたか。

「正直、『私には務まらないな』と思いました。というのも、『Live News α』は今まで多くの先輩方が歴史を築いてきた番組ですし、私には報道番組の経験がないばかりか、他ジャンルも含めてメインキャスターをやったこともありませんでしたから。『みんなのKEIBA』ではMCだったと言っても、佐野(瑞樹アナ)さんという心強い先輩がずっと隣にいてくださいましたし。

 しかも『Live News α』に関しては、基本的に私ひとりで進行していかなければなりません。スポーツコーナーなど、ニュースを読んでくれるキャスターは他にもいるとはいえ、私が番組を引っ張っていかなければいけない立場になるということもあって......。どうしていいかわからない、というのが率直な感想でした」

――希望よりも不安のほうが大きかった、ということでしょうか。

「もう99.9%の不安と 0.1%の希望というくらいの割合でした」

――実際に番組がスタートしてからは、いかがでしたか。

「番組のジャンルが違うだけでなく、今までは朝や昼の番組が多かったので、生活リズムなども本当に何もわからない状態だったのですが、前任の三田(友梨佳)さんや番組プロデューサーなど、周りの方たちからたくさんのアドバイスをいただきましたし、そうした方々がスタート前から私が入りやすい環境を整えてくださいました。

 そのおかげで、心の準備もそうですし、いろいろと支度ができていたからか、初日の放送が始まるまではすごく緊張しましたけど、終わってみると、『思っていたよりも落ちついてできたな』と。もう2日目にはあまり緊張しなくなって、最初の1週間が過ぎると、すでに3、4カ月やらせてもらっているような感覚になっていて。それがいいのか、悪いのか、わからないんですけど(苦笑)、落ちついて席に座れる自分がいましたね」

――三田アナからはどんなアドバイスをもらったのですか。

「三田さんは何もわからなかった私を食事に連れていってくださって、ご自身の経験からいろんな話をしてくださいました。それは決して『あなたもこうやってね』ということではなく、『自分はこう対処してきたけど、他のやり方もあると思うし、自分に合ったやり方を見つけていくといいよ』という感じで選択肢を広げてくださったので、とてもありがたかったです。

 自分でも、『三田さんのやってきたことを引き継がなきゃいけない!』という気持ちが少なからずあったのですが、もちろん番組としてのベースはありながらも『私は私らしくやっていけばいいんだ!』という感覚になれたというか、いい意味でそんなにプレッシャーを感じずにできました。

 また、プロデューサーからも『堤が三田や椿原(慶子アナ)になる必要はまったくない。堤は堤の"α"を作っていってほしい』と言ってもらったのが、すごく大きかったです」



photo by Sueishi Naoyoshi

――周囲の助けがあって落ちつくことができたわけですね。

「周りのスタッフのみなさんも、次のカメラ位置まで丁寧に教えてくださって、温かいチームだなと感じました。制作スタッフの数がかなり多い情報番組に比べると、『Live News α』はわりと少ないスタッフのチームでやっているので、その分、一人ひとりと接する時間が長く取れて、お互いがちゃんと向き合える。それがこの番組の"チーム力"につながっているとも思いますし、私の心の支えにもなっています」

――番組が始まって、周囲からの反響はいかがですか。

「どうなんでしょうね(苦笑)。自分がどう評価されているのか、もちろん気にはなっていましたけど、『やっぱり堤じゃこなせない』とか言われるのを見たり、聞いたりしてしまったら、心がポキっと折れてしまいそうだったので......。特に最初の1、2カ月は気にしないようにしていました。

 ただ、友人などが直接連絡をくれて、『番組見たよ。朝とは違った感じでいいね』と言ってくれるのは、ありがたく受け止めていました」

――ニュースを伝えるに当たって勉強することも増えたのではないですか。

「今までもワードとしては知っていても、きちんと向き合うことがなかった物事に対して、事前に調べてまとめたり、専門家の方のお話をうかがったりする機会は増えましたね。大変は大変ですけど、新しい知識を身につけることができるという点においては、楽しみながらこの仕事と向き合えているなと思います。明るいニュースばかりではないので、『楽しい』と表現していいのかどうか、難しいところではありますけど」

――やりがいを感じながら、充実してやれている、と。

「もちろん、満足しているわけではないですが、今自分が置かれている環境のなかで、できることは最低限やっているつもりなので、充実感はありますね」

――ニュースを伝えるうえで注意していることはありますか。

「『Live News α』は民放各局のニュース番組のなかでも一番遅い時間に始まるので、他とは若干毛色が違っていて、番組冒頭のあいさつでも言っているように、『明日のプラスアルファにつながるニュース』というコンセプトがあります。ですから、ニュースの内容によっても違いはありますが、ただニュースを伝えて、その解説をして、というのではなく、視聴者のみなさんに、そのニュースについて考えるきっかけをお伝えするのが自分の役割だと思っています。

 見てくださっている方に『あなたはどう思いますか』と問いかけるような、一緒にお話ししているような、そんな感覚でオンエアに臨むようには意識しています」

――『みんなのKEIBA』ではゴージャス感のある衣装が多かったように思いますが、『Live News α』での衣装のこだわりはありますか。

「最初にプロデューサーから、『今までの堤とは違う堤を見せてほしい』と言われたこともあり、自分のなかでもこの番組は"新たな一歩"という感覚でした。それで、衣装に関しても、新しい自分を出そうと思っています。

 それまでの私は、ひとくせある服というか、ちょっとエッジが利いた服が好きだったので、スタイリストさんにもそういうお願いをしていたのですが、『Live News α』になってからは、1日の終わりのニュースにふさわしい、視聴者の方に信頼してもらえるような、清潔感があるものというのを大切にしています。

 この番組を見てお休みになる方が多い時間帯でもあるので、ちょっと夜らしいというか、落ちついた雰囲気の衣装を用意してもらっています」



photo by Sueishi Naoyoshi

――『Live News α』では、ニュースを読む堤アナの顔のアップが話題です。

「みなさんもう慣れてきたのか、何か言われることは少なくなってきましたけど......、やっぱり当初は『Live News α、見てるよ』とおっしゃってくださる方は、続けて「(顔が)近いよね」といった感想をおっしゃる方が多かったです(苦笑)。

 先日も(『みんなのKEIBA』の共演者だった)DAIGOさんにお会いする機会があったのですが、『近くて大変じゃない?』と気遣っていただきました。"近い"といろんな粗が見えますからね(笑)」

――ご本人としてはどう思っているのでしょうか。

「私自身は半年経って慣れてきたので、オンエア中は何も感じないですけど、自宅に帰って番組を見返した時に『おお!......』って、いまだに思いますね(苦笑)。

 もちろん、顔が近いことに関していろんなご意見があると思いますが、よくも悪くもインパクトがあるということは番組としてはいいことだと思っているので。ただ、そのアップに耐えられるように、内面だけじゃなく、外見を磨くことも怠ってはいけない。その緊張感はすごくあります」

――番組内にはスポーツコーナーもあります。新たに関心を持たれた競技などはありますか。

「タイムリーな話題で言えば、バレーボールですね。今までは競馬以外で現場へ取材に行ったり、じっくりと追いかけたりするスポーツというのはなかったのですが、この半年間、『Live News α』でも毎週月曜日に"マンデーバレー"というコーナーが設けられて、私も実際に取材に行かせていただきました。その取材を通して、世界で戦う選手の気迫を肌で感じることができましたし、改めてスポーツの面白さを知ることができました。

 もちろん、他の競技もそうですが、選手一人ひとりにいろんな背景があり、ストーリーがある。そういうところも、もっともっと追求していけたらいいなと思っています」

――堤アナが競馬の番組を担当するようになって、同一年に牡牝の三冠馬が誕生したり、芝GⅠの最多勝利馬が生まれるなど、偉大な記録が次々に成し遂げられましたが、バレーボールの日本男子チームも現在「史上最強」と評されています。今度はバレーボールで、"堤効果"が起きているかのようです。

「いや、私は関係ないです。テレビの前やスタジオの端っこで応援していただけなので(笑)。

 ただ、自分の立場とは関係なく、やっぱり自分がそのスポーツを見ている時代に大きな記録が生まれるのはすごくうれしいですし、そのスポーツに対して興味も湧いてくる。もっともっと見てみたいという思いになりますね。

 競馬にしても、バレーボールにしても、仕事がきっかけとはいえ、こういう機会がなければ熱心に見ることもなかったかもしれませんし、スポーツの面白さに気づかせてくれた数々の仕事に感謝しています」

(つづく)



photo by Sueishi Naoyoshi

Profile
堤 礼実(つつみ・れいみ)
1993年11月23日生まれ、アメリカ出身。2016年フジテレビ入社。
【趣味】ミュージカル鑑賞、ゲーム、ハプスブルク家の歴史を調べること、肌触りの良いタオル集め【特技】ダンス、どこでも寝られる【モットー】一瞬一瞬を大切に