長年話し合われてきたJリーグのシーズン制で、大きな動きがあるようだ。「秋春制」への移行が近づいている、と報じられている…
長年話し合われてきたJリーグのシーズン制で、大きな動きがあるようだ。「秋春制」への移行が近づいている、と報じられている。白黒つかざるを得ない案件ではあるが、その内容について、もっと吟味するべきではないか。シーズン制で本当に考えるべき点を、サッカージャーナリスト・後藤健生が指摘する。
■2つのリーグ戦
もし、年に2度の長い中断があるのなら、秋春制でも、春秋制でも、実質的には同じことになってしまう。「春のリーグ戦」と「秋のリーグ戦」を一つのシーズンと考えるなら、それが春秋制だし、逆に、「秋のリーグ戦」と「春のリーグ戦」を一つと見なすなら、それがすなわち秋春制ということになる。それだけの違いだ。
秋のリーグ戦の前(秋春制とするならシーズン開幕前。春秋制のままならサマーブレーク中)には、各クラブは涼しい地域で合宿を行ってチーム作りを行うことだろう。ヨーロッパのクラブに移籍した選手が抜け、ヨーロッパのクラブから加入する選手を加えての合宿だ。
一方、春のリーグ戦の前(秋春制と考えればウィンターブレーク中。春秋制のままなら開幕前)にも、各チームは温暖な地域では合宿を行うだろう。
春の合宿では、海外に移籍したり、海外から加わる選手はいないが、逆に大学や高校チーム、JFLチームから加入する新戦力が加わるので、やはり新チームが出来上がる。
夏と冬に長期の中断期間があるリーグ戦……。その場合の最も大きな弊害は、一般の人にとってサッカーのシーズン制がますます分かりにくくなってしまうことだ。
■プロ野球との違い
プロ野球(NPB)は2月にキャンプが始まって、3月末にペナントレースが始まり、夏にはオールスター戦がある。そして、10月末には両リーグの優勝チーム同士の日本シリーズがあってシーズンが終わる。もう数十年も(2リーグ分裂は1949年の出来事だ)、この同じスケジュールで行われており、セントラル・リーグとパシフィック・リーグが6チームずつという仕組みもずっと変わっていない。だから、日本人にとってNPBの行司は歳時記のような存在として沁みついている。
だが、サッカーの場合は30年前にJリーグが出来てからだけでも、仕組みや日程が何度も変わった。
開幕当初はファーストステージ、セカンドステージ、それにチャンピオンシップが行われていたのだが、いつの間にか1シーズン制になった。そして、突然2ステージ制が復活したと思ったら、すぐに1シーズン制に戻った……。リーグ戦以外にもカップ戦が2つもあって、さらにワールドカップやアジアカップがあるとリーグ戦は中断してしまう。
そこに、さらに日本代表の試合が組み込まれるし、JFLや、なでしこリーグ、WEリーグは、また、まったく別のスケジュールで行われている……。
サッカーに詳しい人ならともかく、一般のスポーツファンの中で、サッカーのシーズン制をきちんと理解している人がいったいどのくらい存在するだろうか?
■分かりやすさの重要性
そして、今度は秋春制に移行したと思ったら、夏と冬に長期の中断期間ができてしまう……。
もし秋春制に移行して夏と冬に長期の中断期間を設けるくらいなら、いっそのこと春のリーグ戦だけでチャンピオンを決め、秋のリーグ戦ではまた別のチャンピオンを決めてしまった方が分かりやすいのではないか、と思えてくる。
昔のJリーグのようにチャンピオンシップを行って年間優勝を決めなくてもいいだろう。1990年代から2000年代にかけてのアルゼンチン・リーグでは「アペルトゥーラ」と「クラウスーラ」という年に2度のリーグ戦が行われ、当時のアルゼンチンには毎年2つの優勝チームが存在していた。
ライト層のファンは、観客動員数を増やしていくためにも、とても重要な存在だ。シーズン制を検討する時には、そうしたライト層のファンにとっての「分かりやすさ」も含めて検討すべきだろう。