【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬 【アンブライドルズソング】  体高17ハンド(約173cm)の巨漢馬で、現役時代にBCジュベナイルとフロリダダービーを勝ち、引退後は北…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【アンブライドルズソング】

 体高17ハンド(約173cm)の巨漢馬で、現役時代にBCジュベナイルとフロリダダービーを勝ち、引退後は北米チャンピオンサイアーとなりました。母トロリーソングは芝血統が主体なので、父アンブライドルドよりも適性が芝方向に寄っており、日本で走った外国産馬アグネスソニックはNHKマイルCで2着となりました。

 母の父としてはコントレイル、スワーヴリチャード、ジャックドール、トーホウジャッカル、ダノンプラチナといった芝のGI馬を誕生させています。仕上がりが早く、スピードにもスタミナにも恵まれ、時計勝負に強い、といういかにも日本競馬に合う血統です。スワーヴリチャードが種牡馬として大ブレイクを果たし、今年誕生したコントレイルの初年度産駒はデキが素晴らしいと評判になっています。アンブライドルズソングの血は今後しばらくわが国の馬産において重要な役割を果たすことになるでしょう。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「サンデーサイレンス並みに日本の競馬史を変える馬は現れる?」

 わが国の現代血統史は、サンデーサイレンス以前と、以後とに二分することができます。サンデーサイレンスは世界トップクラスの能力を持った大種牡馬で、日本競馬が欧米諸国のレベルにまだまだ達していなかった1990年代初頭以降、わが国の生産界に凄まじいインパクトをもたらしました。サンデーサイレンスの驚異的な成功は、相対的なレベル差がベースにあったというわけです。

 それから約30年が経過し、わが国の生産界は海外から優秀な種牡馬、繁殖牝馬を絶え間なく導入し、レベルを大きく上昇させています。欧米諸国との相対的なレベル差は急速に縮まっており、ある分野では上回っているかもしれません。そうした状況で日本競馬史を変えるような種牡馬が現れるというのは、考えづらいところです。

 仮に現代にサンデーサイレンスがよみがえり、種牡馬生活を送ったとしても、90年代から00年代にかけての暴力的な寡占状態は再現できないはずです。周囲の種牡馬との相対的な実力差は、30年が経過して大幅に縮まっているからです。