10月14日にスタートした男子に続いて、いよいよ女子も21日に2023-24 V.LEAGUE DIVISION1(V1)が開幕する。9月に開催されたパリ五輪予選/ワールドカップ2023で活躍した日本代表の中心選手から入団1年目の期待のル…

 10月14日にスタートした男子に続いて、いよいよ女子も21日に2023-24 V.LEAGUE DIVISION1(V1)が開幕する。9月に開催されたパリ五輪予選/ワールドカップ2023で活躍した日本代表の中心選手から入団1年目の期待のルーキーまで、今シーズンのVリーグで活躍が期待される女子バレーボーラー10人を紹介する。

(男子Vリーガー注目の10人は?>>)



photo by 堀江丈

■古賀紗理那(こが・さりな)

所属:NECレッドロケッツ アウトサイドヒッター・180cm

1996年5月21日生まれ 佐賀県出身 熊本信愛女学院高校

 日本代表の主将として2年目を迎えた今年の代表シーズンは、「FIVBパリ五輪予選(OQT)/ワールドカップバレー2023」で五輪出場権こそ逃したが、開幕から失セットなしの5連勝を飾るなどチームをまとめた。

 国内では昨シーズン、NECレッドロケッツをVリーグと皇后杯の2冠に導いてMVPに輝いたほか、Vリーグではサーブ賞も受賞。日本代表の眞鍋政義監督は古賀の攻撃力だけでなく、ブロック力も高く評価している。もちろんサーブレシーブもこなし、日本代表でもNECでもすべてのプレーで中心的役割を担うオールラウンダーだ。

 五輪出場権は来年6月のネーションズリーグに持ち越されたが、その目標に向け、まずは所属するNECでリーグ連覇なるか? 日本代表の武器でもある高速バックアタックなど、さらに磨きをかけた今シーズンの古賀のプレーから目が離せない。




photo by 堀江丈

■中川つかさ(なかがわ・つかさ)

所属:NECレッドロケッツ セッター・159cm

2000年8月13日生まれ 大阪府出身 金蘭会高校→東海大学

 中・高・大と全国優勝経験があるセッターで、学生時代は"優勝請負人"と呼ばれた。アンダーカテゴリーでは、2019年にU-20代表に選出され、世界ジュニア選手権で金メダル獲得に貢献。今年は初のフル代表登録を果たし、B代表としてアジア選手権で銅メダル、アジア競技大会で銀メダルを獲得した。ユニバーシアード代表としても、FISUワールドユニバーシティゲームズ(旧ユニバーシアード)で銀メダルを獲得している。

 NECでは昨シーズン、内定選手として今年1月にデビュー。その久光スプリングス戦は勝利こそ逃したが、コンビ合わせの時間が短かったにもかかわらず、フルセットの接戦に持ち込む活躍を見せた。昨年ベスト6を受賞したセッター・澤田由佳が引退したが、同じく小柄ながら機動力のある中川が澤田の役割を継承し、どのような活躍を見せてくれるのか期待したい。



photo by 堀江丈

■黒後愛(くろご・あい)

所属:埼玉上尾メディックス アウトサイドヒッター 180cm

1998年6月14日生まれ 栃木県宇都宮市出身 下北沢成徳高校

 6年在籍していた東レを退団し、今季から埼玉上尾メディックスでプレーする。同チームは故郷の栃木県から近く、母校の下北沢成徳高で同期だった山崎のの花、1年後輩の岩澤実育、椎名真子らよく知っている選手も多いという環境で、のびのびとしたプレーが期待される。特に、セッター・山崎との"春高優勝コンビ"に注目したい。

 2シーズン前に体調不良でⅤリーグ全試合を欠場し、昨シーズン復帰したもののリリーフサーバーでの出場が多く、前衛での活躍はリーグ終盤の数試合にとどまった。チームを移籍し、心機一転。25歳とまだまだ活躍できる年齢だけに、かつての勢いを取り戻せるか。



photo by 堀江丈

■北窓絢音(きたまど・あやね)

所属:久光スプリングス アウトサイドヒッター/ミドルブロッカー 182cm

2004年7月6日生まれ 島根県松江市出身 誠英高校

 今年1月に開催された春の高校バレーで決勝に進出。全国制覇は果たせなかったが、優秀選手賞のひとりに選出された。また、久光入団後は、若手の強化育成を主な目的としたV・サマーリーグの新人賞にあたる「フレッシュスター賞」も受賞。Vリーグでも新人賞の有力候補である。

 アウトサイドヒッター、ミドルブロッカーをどちらもこなせる器用なタイプで、レシーブとブロックが得意だという異色の存在。182cmと長身なだけに、今後は攻撃力の向上も期待したい。



photo by 坂本清

■福留慧美(ふくどめ・さとみ)

所属:デンソーエアリービーズ リベロ・162cm

1997年11月23日生まれ 京都府京都市出身 京都橘高校→龍谷大学

 デンソーの正リベロに定着して3シーズン目。どちらかというと、サーブレシーブよりもディグ力を買われて日本代表入りし、昨年の世界選手権で正リベロの座を勝ち取ったが、その後のVリーグではサーブレシーブランキングで上位に名を連ねるようになった。

 今年のOQTでは、福留とは逆にサーブレシーブが得意で、サーブレシーブ成功率日本記録(74.8%)を持つ西村弥菜美(久光)と分担でコートに入り、ディグリベロに徹した試合もあった。ただ、来年6月の世界ランキングで日本が五輪出場権を得た場合、五輪本戦に出場できるリベロは1名のみとなり、分業制は不可能になる。今季のVリーグでサーブレシーブを一層磨くことが、五輪代表の座を掴み取るポイントになるだろう。



photo by 黒羽白

■塩出仁美(しおで・ひとみ)

所属:JTマーヴェラス セッター・174cm

1999年9月15日生まれ 北海道江別市出身 札幌山の手高校→日本体育大学

 入団2年目で副主将に就任。大学時代は主将を務め、全日本インカレ準優勝。自身も敢闘賞を受賞した。同世代で東京五輪代表の籾井あき、同期入部の東美奈と切磋琢磨しつつ、正セッターの座を競っている。

 男子日本代表のリベロ・山本智大(パナソニックパンサーズ)とは同郷で、大学の先輩・後輩であり、母親同士がママさんバレーのチームメイトという共通点も。JTの吉原知子監督も同じ北海道出身で、3度の五輪出場などの豊富な経験から学ぶことも多いという。本人は日本代表入りを意識しており、眞鍋監督がセッターに求めるディフェンス力も日々の練習で磨いている。今シーズン、どんなトス回しを見せてくれるのか注目したいセッターのひとりだ。



photo by 黒羽白

■上坂瑠子(うえさか・るりこ)

所属:日立Astemoリヴァーレ アウトサイドヒッター・175cm

1999年9月7日生まれ 福井県越前市出身 福井工業大学附属福井高校

 入団5年目で副主将に就任。すっかりチームの攻撃の中心的役割を担う存在となった。サーブのターゲットにされることが多いが、狙われることも利用して、年々サーブレシーブの技術を磨いていった印象がある。可愛らしい雰囲気や真摯にプレーに取り組む姿勢から、チームの人気選手のひとりになった。

 兄の将輝もV2のトヨタ自動車サンホークスでセッターとしてプレーするVリーガー。その兄が、2年前にデンソーエアリービーズの中元南と結婚したため、ファンの間では「義理の姉妹対決」も注目されている。



photo by 黒羽白

■野中瑠衣(のなか・るい)

所属:日立Astemoリヴァーレ アウトサイドヒッター・177cm

2001年8月3日生まれ 秋田県秋田市出身 秋田北高校

 今年度は、年度初めには日本代表に登録されていなかったが追加登録され、B代表としてアジア選手権に出場。初代表で存在をアピールする機会に恵まれた。サーブがよくレシーブ力もあるため、日本代表の眞鍋監督が求める「サーブとサーブレシーブの向上」に貢献できるポテンシャルを備えている。来年度も代表に選出されれば、面白い存在になるかもしれない。

 日本代表の林琴奈(JT)同様、アウトサイドヒッターとオポジットの両方に入ることができ、場面に応じたプレーができることがセールスポイント。入団4年目となる今シーズンはスターティングメンバーに定着し、さらなる飛躍を目指したい。



photo by 堀江丈

■小林エンジェリーナ優姫(こばやし・エンジェリーナ・ゆき)

所属:ヴィクトリーナ姫路 ミドルブロッカー・196cm

1999年12月10日生まれ アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身 ウィスコンシン大グリーンベイ校大学院

 彗星のように現れ、今年度の日本代表に登録された大型ミドルブロッカー。フル代表ではネーションズリーグ名古屋大会の帯同のみにとどまったが、その後、ユニバ代表に選出され、FISUワールドユニバーシティゲームズに出場。控えではあったが、銀メダルメンバーに名を連ねた。

 母が日本人、父はアメリカ人で元バスケットボール選手。バレーを始めたのが15歳と遅いことからテクニックはこれからの成長に期待したいが、196cmの高さは魅力だ。

 9月1日、ヴィクトリーナ姫路入団を発表。姫路は残念ながら、今季はV2に降格しているが、その圧倒的な高さは脅威となるはず。同じく日本代表の井上愛里沙、柴田真果もチームに加入し、新監督にはオランダ出身のアヴィタル・セリンジャー監督が就任と何かと話題の多い姫路。ライバルチームには元日本代表の齋藤真由美監督率いる群馬グリーンウイングスもおり、V2女子も面白い展開が期待できそうだ。



photo by 堀江丈

■小室祐里(こむろ・ゆり)

所属:アルテミス北海道 アウトサイドヒッター・167cm

1996年1月3日生まれ 北海道空知郡南富良野町出身 札幌大谷高校→嘉悦大学→GSS東京サンビームズ

 大学卒業後はV2のGSS東京サンビームズで1シーズン活動した。今年からV3に参入したアルテミス北海道で、チームの立ち上げ初期から活動し、元NECの奥山優奈らとともにVリーグ経験を活かしてチームを支えている。また、チームの広報担当で、雰囲気も相まって"かわいい担当"とも呼ばれている。

 今年3月に実業団、クラブチームなどによる「全国6人制バレーボールリーグ 総合男女優勝大会 グランドチャンピオンマッチ」でアルテミスが優勝した際にMVPに選ばれた。来シーズンは新リーグに移行するため、「V3女子」というカテゴリーは今シーズンのみとなるが、ここで優勝して次のステップにつなげてほしい。