10月14日放送の『卓球ジャパン!』は、第5回パリ五輪日本代表選考会での伊藤美誠(スターツ)vs平野美宇(木下グループ)の1戦をプレイバック。フルゲームまでもつれ込んだ大激戦をMC武井壮&平野早矢香がDEEPに掘り下げた。

女子日本代表選考レースは早田ひな(日本生命)がトップを独走し、2位以上に与えられるシングルス枠をかけてデッドヒートを繰り広げるのが平野美宇と伊藤美誠。

大会直前のポイントは2位の平野が312ポイント、3位の伊藤が275.5ポイントで、その差は36.5ポイント。そんな2人の直接対決が準決勝で実現した。

第1ゲームは平野が先制し、第2ゲームは伊藤が奪い返したものの、「流れは平野選手にある」と平野早矢香は分析。特にこの試合で平野が強さを見せたのはバック対バックのラリーで、質の高いバックドライブで伊藤のバックサイドを攻め、伊藤が平野のミドルを突いてもフォアハンドで対応。

第3ゲーム序盤、決まったと思われたボールを平野が巧みなミドル処理で返球した際には「この1球はすごく大きいですね。伊藤選手からするとダメージのある1点」と平野早矢香はコメント。

試合を見ながら「伊藤選手の天才感がないんですよ。平野選手がしっかりと抑え込んでる感がある」と武井壮。

伊藤と言えば、多彩なサーブ・レシーブで相手を翻弄し、スマッシュで得点を重ねるプレーが印象的だが、この試合ではなかなか持ち味を出すことができない。

バック対バックの優位性に加えて、もうひとつ平野のプレーでポイントになったのがサーブ・レシーブの単純化だ。できる限りシンプルなボールにして伊藤に変化をつけさせず、得意のラリー戦に持ち込む作戦が功を奏している。

「トータルの状態と質とかいろんなものを考えた時に、この試合は平野選手の試合だなってずっと思っていました」(平野早矢香)

第3、第4ゲームも平野が奪い、ゲームカウント3-1で王手をかける。このまま押し切るかと思いきや、そう簡単に勝たせてくれないのが中国で「大魔王」の異名を持つ伊藤だ。

流れが変わったのは第5ゲーム前半、平野がチャンスボールをスマッシュミスしたのだ。

「そこで伊藤選手に流れがガラッと変わった。伊藤選手はそういう勝負感がすごい。ここ逃さないぞ、みたいな。この試合わからなくなってきた、というのを空気感として感じた」(平野早矢香)

相手のわずかな動揺を見逃さなかった伊藤が第5、第6ゲームを奪い返し、試合は第7ゲームに突入した。

最終ゲームは伊藤が6-3とリードするも平野が5連続ポイントで逆転。そのまま8-10で平野がマッチポイントを握る。

伊藤にとってはまさに崖っぷちの状況だが、この場面で会心のレシーブを見せる。バックに来た平野のロングサーブを回り込んでフォアスマッシュで決めたのだ。

「驚きました。これぞ伊藤美誠っていうプレー。(バックに来ると)わかっていてもできないですよ。ここが伊藤選手の1番の持ち味ですね」と平野早矢香も驚愕のワンプレー。この状況であのレシーブができるからこその「大魔王」。封じられてきた伊藤の天才性が最後の最後に炸裂した。

そのまま伊藤がポイントを重ねて、8-10からの4本連取で勝利。大接戦となったミウミマライバル対決は、ラストに強気の一撃を放った伊藤に軍配が上がった。

伊藤の勝利で両者のポイント差は縮まり、放送日時点では20.5ポイント差で平野がリード。残るは第6回選考会(11月25~26日)、全日本選手権(2024年1月22~28日)の2大会。熾烈な選考レース、勝利の女神は誰に微笑むのか!?

「卓球ジャパン!」BSテレ東で毎週土曜夜10時30分放送