ドービングの疑惑をかけられることにうんざりしたというラファエル・ナダル(スペイン)が国際テニス連盟(ITF)の代表に対し、これまでの自分のドーピング検査と血液検査の記録を公にしてほしいと手紙を出した。「確たる証拠もなく、これ以上好き勝手…
ドービングの疑惑をかけられることにうんざりしたというラファエル・ナダル(スペイン)が国際テニス連盟(ITF)の代表に対し、これまでの自分のドーピング検査と血液検査の記録を公にしてほしいと手紙を出した。
「確たる証拠もなく、これ以上好き勝手なことを言うというのはテニス界ではもう自由にできることではありえない」と14度のグランドスラム・チャンピオンであるナダルは火曜日にAP通信の取材に対して文書で解答した。
ナダルはITF会長のデビッド・ハガティ氏に月曜日に手紙を送り、同時にフランスの元スポーツ省の大臣を務めていた人物がナダルがドーピングをしていたと示唆したことを提訴した。
「自分が今まで何度の検査を受けてきたのか自分でわかっている。それは大会期間中はもちろん、オフのときのものも含めてだ」とナダルは文書の中で書き、「どうか自分の情報についてすべてを公にしてもらいたい。生体パスポートも公開してほしい。自分が受けてきたドーピング検査の経歴のすべてを公開してほしい」と続けている。
「今後、自分が検査を受け、その結果が出たときにはすぐに知らせてほしいとお願いします。また、何者かによって、誤報が広められる場合があれば、皆さん(ITF)が訴訟を起こすことについて私としても支援したいと思います」。
ITFはナダルからテニス・アンチ・ドービング・プログラム(TADP)による結果を公表することも含め、その書簡を認めている。
「ITFはナダル氏が今までTADPによる検査に一度も失敗したことがなく、また、TADPに関連したいかなる理由においても処分を受けたことがないと確認することができる」とITFはAP通信の取材に対して解答している。
ITFはナダルやそのほかの選手たちは、ワールド・アンチ・ドービング・エージェンシー(WADA)のデータベースを通じて自分の情報を照会することができるようにしてもらうつもりだともしている。
また、ITFはその種の情報の正確性は彼ら自身が保証できるとしている。
フランスの元健康・スボーツ大臣だったロゼリン・バシェロ氏は、フランスのテレビで2012年にナダルが7ヵ月間ツアーを離れたのはケガのためではなく、「十中八九、ドービング検査で陽性反応が出たためだ」と話していた。ナダルはこれを名誉毀損だとして、パリでバシェロ氏に対しての裁判に踏み切った。
ナダルは先のバルセロナの大会で、クレーコートで49度目のタイトルを獲得。全仏オープンは10度目のタイトル獲得を目指している。
「スポーツについての知識を持つ人物が明らかな根拠や証拠もなくこのようなことを公に発言することはとうてい受け入れがたく、また、ほとんどアンフェアなことだ」とナダルはハガティ氏に対して書簡を送っている。
ナダルはいくつかのメディアとファン、スポンサーはテニスのアンチ・ドービング・プログラムを信用していないと話している。
「彼らはスポーツ界を信用していない。彼らはスポーツ界の当局が物事を隠蔽していると思っている」とナダルは言う。「だが、我々はそれが事実ではないとわかっている。自分としては、今が物事を明らかにするそのときだと信じている。我々のスポーツ(テニス)と、その当局者は世界との関係をステップアップする必要がある」。
ナダルは今まで自分のアンチ・ドービングについての考え方を話すことを一度も避けたことはないと言う。
「ドービングに対しての戦いは続けていく必要があると僕は信じているし、可能な限りより強く戦っていくべきだと思う」とナダル。「選手として、まずアマチュア選手としてプレーして、そのあとにプロになってきた。僕はこのスポーツがクリーンなものなのは確かだと思ってきているし、テニス界の透明性と誠実さの2本の柱を我々の旗印にする必要があると思う」。
テニス界は1月の全豪オープンの際に起きたマリア・シャラポワ(ロシア)のドービング事件に対処している最中で、彼女の処分に対する聴聞会も間もなく実施される。(C)AP