「正直、寂しさもすごくある」とスタッフに切り出したのは今浪隆利さん(65)。ソダシやゴールドシップを担当し、栗東の名物厩務員としてファンや関係者から愛された。今年6月30日で定年を迎えた今浪さん最後の1日に『netkeibaTV』が密着。…

「正直、寂しさもすごくある」とスタッフに切り出したのは今浪隆利さん(65)。ソダシやゴールドシップを担当し、栗東の名物厩務員としてファンや関係者から愛された。今年6月30日で定年を迎えた今浪さん最後の1日に『netkeibaTV』が密着。番組内で担当馬や競馬ファンへの思いを語った。

 福岡県出身。幼少期は小倉競馬場の近くに住み、馬が自然と近くにあったという。その後、中央競馬の厩務員となり、49年間勤め上げた。「定年の今日まで勉強ですよ。今でも後輩がいい仕事をしていれば見て覚えるし、教えてもらう」。初心を忘れず、日々勉強を心掛けたことが長年続けられた秘訣と話す。

 今浪さんの代表的な担当馬といえばゴールドシップだろう。父ステイゴールド、母ポイントフラッグ、母の父メジロマックイーンという血統。13年、14年の宝塚記念を連覇するなどGI・6勝を挙げたが、何より破天荒な気性とレース内容、そして芦毛の愛らしい見た目でファンを集めた。

 そんな同馬を今浪さんは親しみを込めて“アイツ”と呼ぶ。「1年、1年の“アイツ”の元気な姿を、“アイツ”らしい姿を見てみたい」。今浪さんは今でも引退した同馬のもとへ毎年足を運んでいる。「馬にケガをさせてはいけない」と付きっきりで苦労も絶えなかったが、「GIを勝つのが夢だった。その夢を叶えさせてくれた」と、嬉しそうに同馬の思い出を話した。