ゴールライン目前で果敢なタックルを炸裂したモローニ(23番)。この守備がアルゼンチンに流れを手繰り寄せた。(C)Getty Images まさに土壇場で飛び出したタックルが話題となっている。 注目を集めたのは、現地10月14日にフラ…

ゴールライン目前で果敢なタックルを炸裂したモローニ(23番)。この守備がアルゼンチンに流れを手繰り寄せた。(C)Getty Images

 まさに土壇場で飛び出したタックルが話題となっている。

 注目を集めたのは、現地10月14日にフランス・マルセイユで行われたラグビーワールドカップ(W杯)の準々決勝、アルゼンチン代表がウェールズ代表を下した試合中に炸裂した好守だ。

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 一進一退の攻防が続いたなかで、68分にホエル・スクラビのトライとWTBエミリアーノ・ボフェリのコンバージョンで再逆転をしたアルゼンチンは、わずか6分後に窮地を迎えた。ウェールズのWTBルイス・リースザミットが積極果敢に敵陣を突破。ゴールラインの左隅にトライを決めようと身体を投げ出した。

 しかし、ピンチを察知してカバーに回っていたマティアス・モローニが、真横から懸命にタックル。これが見事に成功してウェールズのトライを間一髪のところで防いだのである。

 もしも、決められていれば、アルゼンチンが劣勢になっていたのは言うまでもない。試合終了間際の77分に飛び出したSOニコラス・サンチェスのトライの呼び水ともなったモローニの身体を張った守備は、国内メディアでもトライシーン以上にクローズアップされている。

 アルゼンチンのスポーツ専門局『Tyc Sports』は「ウェールズのトライを防いだモローニの『奇跡のタックル』は、ベスト4進出を果たすうえで重要な瞬間の一つとなった」と称賛。彼らは公式X(旧ツイッター)でも「ロス・プーマス(ラグビーアルゼンチン代表の愛称)を救ったモローニのタックルは、永遠に記憶される奇跡的なものだ」とべた褒めした。

 ホスト国フランスのニュースサイト『France24』でも「アルゼンチンの英雄による“神タックル”」と称賛されたモローニ。しかし、当人は周囲の喧騒を意に介していない。試合後に『Tyc Sports』などの取材に応じた32歳は「あの瞬間は家族や友、チームメイト全員のために、すべてを懸けて全力で走った。そして幸運にも僕が止められただけだ」と冷静に振り返っている。

 来る10月20日(現地)に行われる“オールブラックス”ことニュージーランド代表は、言うまでもなく強敵だ。アルゼンチンにとって一筋縄ではいかぬ勝負となる。それでも自信を深めるモローニは、「僕らはパリ(決勝の地)へ行く」と断言した。

「今年に入ってからチームに対しては、いろんな人たちからくだらないことを言われ、僕らはこれまで以上に心を閉ざしてしまっていた。でも、僕らを信じてなかった多くの人々よりも、日本戦を戦う前には信頼してくれる人の数の方が増えていた。あと2試合残っている。プーマスの歴史で最も重要な試合をするんだ」

 はたして、アルゼンチンは史上初の世界制覇を成し遂げられるか。南米の雄がメイクドラマを起こせるかに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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