群馬県の群馬サイクルスポーツセンター(CSC)を舞台にJBCFロードシリーズの最高峰リーグであるJプロツアーの第14戦「群馬CSCロードレース9月大会DAY1」が9月23日、開催された。翌日の「DAY2」と連戦が予定されている。このサーキッ…

群馬県の群馬サイクルスポーツセンター(CSC)を舞台にJBCFロードシリーズの最高峰リーグであるJプロツアーの第14戦「群馬CSCロードレース9月大会DAY1」が9月23日、開催された。
翌日の「DAY2」と連戦が予定されている。このサーキットを用いるのは、今年3回目。今回は、終盤に差し掛かり、個人総合成績の行方を左右するレースとして、非常に重要な位置付けのレースとなった。

今回はCSCの6kmサーキットを正周りで用い、20周する120kmの設定となった。正周りで使用する場合には、心臓破りの坂などの難所もあり、メリハリのあるプロフィールになる。





サーキットを正周りで用いると勾配がシャープになる。コース後半に上りが集中するのも特徴だ

個人総合上位勢としては、Jプロツアーの首位である中井唯晶(シマノレーシング)、次点の石原悠希(シマノレーシング)、3位の孫崎大樹(キナンレーシングチーム)、U23リーダー津田悠義(キナンレーシングチーム)、全員がエントリーしている。大会の優勝ポイントは400ポイント。中井から孫崎までの差は217ポイントであり、逆転の可能性は十分にある。



赤のリーダージャージ姿の中井唯晶(シマノレーシング)と白のU23のリーダージャージ姿の津田悠義(キナンレーシングチーム)を先頭にスタート

最前列に中井とU23首位の津田悠義(キナンレーシングチーム)が並び、レースがスタートした。前戦の経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップで優勝したマトリックスパワータグは、欠場している。



1周目は大集団のまま推移した

74名でスタートしたレースが動いたのは、2周目だった。河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)が飛び出し、これをきっかけに3名が先行する。



織田聖(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)、河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)ら3名が先行

その後、後方集団から次々と選手が3名に合流、4周目までに13名の先頭集団が形成される形となった。その後、2名が遅れて11名となるものの、有力選手を多く含むこの集団は、後続集団との差を広げていった。



集団は合流と脱落を経て11名に

この集団には、リーダージャージを着る中井とチームメイトの風間翔眞、寺田吉騎(以上、シマノレーシング)が含まれており、圧倒的にシマノレーシングにとっては有利な展開となった。3位で中井を追うスプリンターの孫崎もキナンから唯一食い込んでいる。さらには、タイムトライアルの昨年度のチャンピオンである地元の金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)、オープン参加で門田祐輔、織田聖(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)が含まれている。十分逃げきりの可能性がある、力のあるメンバーが揃った集団となった。



先頭集団にはリーダーの中井も含まれていた



メイン集団は、留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)らが牽引するが、なかなかペースアップが図れない

後続のメイン集団との差は、8周目には2分10秒まで広がったが、残されたチームが協力して1分50秒前後まで縮める。



シマノレーシングが牽引し、差を詰めにかかった

だが、残されたチームの連携も深まらず、先頭集団とメイン集団との差はさらに縮まらない。終盤に入ると、その差はじわじわと開き、15周目で3分近くまで一気に拡大した。メイン集団には、この時点で牽引がペースを上げる余力もなく、逃げ切りが濃厚になった。

強者たちが顔を揃えた集団の中で、これまでの協調が終わり、ゴール勝負を意識した駆け引きが始まった。
残り4周となる17周目、先頭集団から門田がアタック。門田は順位のつかないオープン参加ではあるが、ラスト2周に入るころ、中井と金子の2名が門田を追って合流した。



ラスト4周、門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチームがアタック



中井と金子宗平(群馬グリフィン)が門田に合流

先頭集団から河野、孫崎、織田、大河内が先行する3名を追うが、差は詰まらない。
3名を先頭にレースは最終周回に入る。ここで門田がアタックを仕掛け、中井と金子を引き離しにかかった。



最終周回に入り、門田が2名を振り切ろうとアタックを仕掛ける

しかし、意地をかけ、2名は残り2kmから始まる心臓破りの登りで、門田を捕らえた。
ラスト1kmで金子がアタック、続いて門田が仕掛け、中井が追う。それぞれが、自分に有利な形でフィニッシュに持ち込むべく、攻撃を仕掛けていく。牽制をし、お互いを見合いながら最終コーナーを立ち上がり、最初に仕掛けたのは金子だった。ラスト150m、中井が一気にギアを上げ、フル加速し先頭に躍り出た。



フル加速した中井を先頭にスプリントを展開する3名

中井は誰も寄せ付けぬまま、先頭でフィニッシュラインに飛び込み、リーダージャージ姿で優勝を決めた。2019年の那須塩原クリテリウム以来、4年ぶりとなるJプロツアー2勝目だった。優勝ポイントの400ポイントを積み増し、自らの勝利でリーダーの座を守って見せた。門田はオープン参加のため、次点の河野が3位となった。



2名を寄せ付けぬまま、リーダージャージ姿で優勝を決めた中井

中井は「リーダージャージを着ているので、逃げに乗るのは厳しいかなと思っていたが、スムースに乗ることができ、同集団のチームメイトとコミュニケーションをとりながらレースを展開した」と、振り返った。夏前の大会で、金子選手に先行され、勝機を逃したことがあったとのこと。「今回はずるがしこく(金子を)マークして、自信のあるスプリントに持ち越した」と、いたずらっぽい笑みを浮かべながら語った。「リーダージャージを着ながらのレース(を経験する中)で、自分もステップアップしているのを感じるので、この後も集中してがんばりたい」と決意を語り、インタビューを締めくくった。



表彰台に立つ中井、金子、河野



中井はリーダーを守り、U23リーダーは岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)が奪い返した

リーダージャージ争いは中井が一歩リード。だが、まだその差は逆転可能な範囲内にある。U23の首位は10位に入った岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)が奪取した。僅差での戦いとなり、今後も一戦ごとに入れ替わる可能性があ予想された。

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【結果】
群馬CSCロードレース9月大会DAY1(120km)

1位/中井唯晶(シマノレーシング)2時間53分21秒
2位/金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)+0秒
OPN/門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム、オープン参加)+1秒
3位/河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)+1分4秒
4位/孫崎大樹(キナンレーシングチーム)+1分4秒
5位/大河内将泰(シエルブルー鹿屋)+1分4秒

【Jプロツアーリーダー】
中井唯晶(シマノレーシング)

【U23リーダー】
岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)

画像:JBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)

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