今週は京都競馬場で、第28回秋華賞(GI、芝2000m)が行われる。デアリングタクト以来となる牝馬三冠にリーチをかけるリバティアイランド。同馬と未対戦の新興勢力としてローズS勝ち馬マスクトディーヴァの名前が挙がるものの、戦前の評価ではリバテ…

今週は京都競馬場で、第28回秋華賞(GI、芝2000m)が行われる。デアリングタクト以来となる牝馬三冠にリーチをかけるリバティアイランド。同馬と未対戦の新興勢力としてローズS勝ち馬マスクトディーヴァの名前が挙がるものの、戦前の評価ではリバティの相手探しの様相を呈しているようだ。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。

◆【府中牝馬S2023予想/全頭診断】コスタボニータに“消し”の選択も 穴候補は「3.2.1.2」条件合致の古豪

秋華賞2023全頭診断

・エミュー

2度使われたGIはいずれもフタ桁着順。厳しい。

・キタウイング

こちらもGIではフタ桁着順続き。変わり身は望み薄か。

・グランベルナデット

勝利を飾った忘れな草賞は1000m通過60秒5のスロー。18頭立てで淀みない展開が予想されるここでの上積み材料は乏しい。

・コナコースト

GI2着の実績を引っ提げて臨んだ前走オークス。結果は7着と、2月から連戦を続けた影響でガス欠を迎えてしまった印象だ。その結果を踏まえ、陣営が選択したのはオークスからの直行ローテ。この馬とのコンビで【1.3.0.0】連対率100%の鞍上・鮫島克駿が跨る点も含め、軽視は禁物だ。

・コンクシェル

逃げて圧勝の夏競馬から一転、前走ローズSは控える競馬。現状は逃げる競馬がもっとも合っているのだろう。今回も位置取りがすべてだが、逃げた2戦はいずれも上がり3F最速で5馬身差の圧勝。何らかの印は必要か。

・ソレイユヴィータ

3人気に支持された前走紫苑Sは12着と惨敗。これまでの4連対はローカルに限定されており、中央GIでは敷居が高そうだ。

・ドゥアイズ

前走オークスは9着と自身初の掲示板外。ただ当時は外枠かつスタートで出遅れており、参考外の一戦と言えそうだ。右回りの成績【1.2.1.1】が示すとおりの右回り巧者。唯一の馬券外は瞬発力勝負で切れ負けした桜花賞に限定されており、今年の京都芝2000m成績【0.4.2.3】掲示板外一度のみの鞍上・西村淳也騎乗も穴妙味をそそる。

・ドゥーラ

前走クイーンSは貫禄勝ち。斤量51キロに洋芝と、この馬にとって願ってもない条件が勝利を導いた印象だ。当時はマイナス14キロの馬体重減と、陣営も確信を持った仕上げ。京都で施行された2011-20年の秋華賞において、前走マイナス10キロ以上の馬体重だった馬は【0.0.1.9】と凡走傾向にあり、人気上位勢のなかでの信頼度は少々落ちる。

・ハーパー

オークス以来の実戦となる今回。当時はリバティアイランドの末脚に成す術もなかったが、過去のレースを見るより直線の長い東京芝適性に秀でた印象だ。翻って、秋華賞の舞台は内回りの京都芝2000m。デビュー以来上がり3F2位以内を記録した経験がなく、直線が短いコースでも差し馬が台頭しやすいレース傾向を踏まえると不安は残る。

・ヒップホップソウル

前走紫苑Sはゴール寸前で差され2着。勝ち馬の決め手に屈したものの、前崩れの展開を先行して大崩れしなかった点は立派だ。関東馬の同馬にとって初の関西遠征がどうかも、内枠を引き当てられるようなら評価は上がる。

・ピピオラ

3連勝中の上がり馬だが、条件戦の近2走は少頭数の利があった。連続好走は至難の業か。

・フェステスバント

道悪を差し引いても芝1800mの前走勝ち時計1分51秒5は平凡。重賞即通用は難しい注文と言えそうだ。

・マスクトディーヴァ

1勝クラスを制したばかりで臨んだ前走ローズS。レコード勝ちの内容はもちろんのこと、4角7番手から勝ち切った点は高く評価できる。京都で施行された2011-20年の秋華賞において、阪神開催のローズSを4角7番手以内で勝利した馬は【1.1.2.1】。仮に馬場が渋っても問題ないタイプで、再度の好走を警戒したい。

・マラキナイア

後方待機組が上位を占めた前走ローズS。その展開を利した秋華賞の出走権を獲得した当時は鞍上のファインプレーが光った一戦だった。乗り替わりかつ未経験の距離替わりでの強調材料は乏しい。

・ミシシッピテソーロ

重賞では【0.0.0.7】とクラスの壁にぶち当たる現状。自己条件かつ1600m以下の距離短縮時に見直したい。

・モリアーナ

前走紫苑Sは鮮やかな直線一気。待望の初重賞制覇を飾った鮮烈なレースだったが、1000m通過58秒1のハイペースがハマッた印象も受けた。当時の成功体験を考えると今回も同様の戦法をとることが濃厚。再度バッチリの展開となる可能性は否定できないものの、全幅の信頼は置きにくい。

・ラヴェル

阪神JF以降は勝ち馬と大きく離される競馬が続く現状。休み明けの前走ローズSも見せ場なく敗れており、叩き一変を望むのは酷に映る。

・リバティアイランド

言わずと知れた春の二冠馬。前残り決着を4角16番手から差し切った桜花賞、6馬身差圧勝のオークスと同世代敵なしを証明するには十分すぎる内容だった。中間の追い切りには川田将雅が2週連続で騎乗。休み明けを得意とする中内田厩舎で仕上がりに一点の曇りもなく、スムーズなら三冠の可能性は高そうだ。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2023年10月12日 18:01公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家 競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。