【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返る毎日王冠 【Pick Up】ソングライン:2着  1番人気に応えることはできませんでしたが、直線でスムーズに馬群を捌けなかったこと、牝馬には過酷な57kgの別定…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る毎日王冠

【Pick Up】ソングライン:2着

 1番人気に応えることはできませんでしたが、直線でスムーズに馬群を捌けなかったこと、牝馬には過酷な57kgの別定重量、次走のBCマイルを見据えての仕上げだったことを考えれば、十分な内容だったと思います。

 次走のBCマイル(G1・芝8ハロン)は、米西海岸のカリフォルニア州サンタアニタ競馬場で行われます。速い時計が計時されやすい競馬場で、直近5回の平均勝ちタイムは1分32秒25。日本馬にとってはヨーロッパ競馬よりも走りやすいといえるでしょう。序盤からハイペースで展開する消耗戦になるので、母の父シンボリクリスエスが伝えるスピードの持続力は強力な武器となるはずです。

 当地で行われた2014年の勝ち馬カラコンティは、近い世代にサンデーサイレンスとストームキャットを併せ持っていました。ソングラインは、父キズナがサンデーサイレンスとストームキャットを併せ持つ配合構成。これらの血は高速決着でより強さを発揮するのでレース適性は十分でしょう。4代母ソニックレディは、欧州でG1を3勝した名牝で、BCマイルには二度挑戦して7着、3着と勝てませんでした。それを超えてほしいものです。

◆血統で振り返るサウジアラビアRC

【Pick Up】ゴンバデカーブース:1着

 最後方追走から鮮やかに突き抜け、デビュー2連勝で重賞を制覇しました。ラスト3ハロンが11秒7-11秒2-11秒3という決め手勝負ですから、普通はなかなか差がつかないものですが、抜け出すときの脚が素晴らしく、後続に2馬身差をつけました。ここでは役者が違ったという印象です。

 父ブリックスアンドモルタルは新種牡馬。現役時代はアメリカの芝路線でG1を勝ちまくり、年度代表馬のタイトルを獲得しました。6月に産駒がデビューすると、1、2週目に1勝ずつ挙げたものの、そこから2ヵ月ほど勝てない時期が続きました。自身が古馬になってから本領を発揮したように、もともと仕上がりの早いタイプではありません。8月下旬からようやくエンジンが掛かりはじめ、そこから2ヵ月弱の間に6勝を挙げています。これから冬にかけてさらにペースアップしてくるかもしれません。

 母アッフィラートは中山牝馬Sで3着という成績があります。母の父ディープインパクトは、非凡な切れ味を伝えるので、ハービンジャー、ルーラーシップ、モーリスといった、少し決め手を強化したい種牡馬と好相性を示しています。ブリックスアンドモルタルは現役時代、稲妻のような末脚がセールスポイントでしたが、アメリカよりも決め手が求められるわが国においては、ディープインパクトを入れて切れ味を強化する、という配合の方向性は正しいのだろうと思います。

 新馬戦も今回も、馬群に入れる競馬をしていないので、今後の課題は揉まれる競馬でお行儀よく走れるかどうか、といったあたりになりそうです。