10月9日、中山雄太がサッカー日本代表の活動に合流した。カタールワールドカップメンバーに選出されながら、大怪我を負って…
10月9日、中山雄太がサッカー日本代表の活動に合流した。カタールワールドカップメンバーに選出されながら、大怪我を負って辞退。それから長期のリハビリを余儀なくされたが、およそ1年ぶりにこの舞台に帰ってきた。
取材エリアに訪れた中山はとても落ち着いていた。久々に戻ってきた高揚感を感じさせることはなく、明るい口調で冷静に言葉をつないでいった。
「日本代表でやれるっていう喜びと、やっぱり離れてたからこそ、ふつふつと感じるものはあります」
最初にそう話した中山は、9月の欧州遠征における日本代表とドイツ代表の試合を現地観戦していた。森保ジャパンがカタールワールドカップに続いてドイツを破る光景を目の前にしながら、「10月に帰りたいっていう思いと、ここしかないなというタイミングだな」と、代表復帰への道筋を頭の中で描いていた。そしてその通りに、この10月シリーズのメンバーリストに「中山雄太」の4文字を載せることに成功した。
リハビリは10か月に及んだ。しかし、当の本人は「短かったなと思います。短く思えたのは、その期間が本当に充実してましたし、言い方が正しいか分からないですけど、本当に楽しんでこの期間を過ごせたので。怪我をしてから今まで苦しい時間っていうのは一つもなかった」と明るく振り返った。
■「“新しい中山雄太”として帰る」
楽しかった、とすら言ったリハビリ期間だが、実際、アキレス腱断裂の診断が出るだろうと思った瞬間に頭を切り替えていた。
「怪我をした瞬間から(W杯の)次回大会に向けて自分がどうなっていうことしか考えてなくて。心配の声などありがたい言葉をいただいて、それは本当にパワーになりましたけど、自分としては落ち込んでなかったんで、本当にプラスとしてのエネルギーをいただいたなと」
負傷を経てどのような成長があったのか。そんな質問に対して中山は。「そこはもうプレーを見ていただいて、皆さんの判断で評価していただければいいなと思います」と力強く語った。
「僕自身は怪我を治すっていう意識で取り組んでいたわけじゃなく、SNSでも公表しましたけど、“新しい中山雄太”として帰ることを頭に置いてやっていたので、それがしっかりとプレーで表れればいいです」
“新しい中山雄太”を日本のピッチで見せる――。負傷後に受けた声援に応える環境は整った。
(取材・文/中地拓也)