「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」で不名誉な結果に終わったチームUSAは、「2024年パリオリンピック」での名…

「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」で不名誉な結果に終わったチームUSAは、「2024年パリオリンピック」での名誉挽回が必須任務となった。

 欧州の強豪たちは、アメリカの一強時代は終焉を迎えたと考えており、今後は畏怖する存在ではなく、ライバルとして対峙するに違いない。一方、アメリカ国内では過去2回のワールドカップの成績を受けて、自他共に認めるトップアスリートが参加に名乗りを挙げている。

 アメリカに残された選択肢は、2つ。未来を見据えたロスターで再び優勝を逃すリスクを背負うか、圧倒的な支配力を保持する“リディームチーム 2.0”を結成するか。パリ五輪は現役スター選手が共演する最後のチャンスとなるが、『Fadeaway World』は想定可能な最強のアメリカ代表を考案。そのラインアップはまさに完全無欠であり、再び世界の覇権を握るには十分すぎる顔ぶれとなった。

▼ポイントガード

ステフィン・カリー、デイミアン・リラード

▼シューティングガード

デビン・ブッカー、カイリー・アービング

▼スモールフォワード

レブロン・ジェームズ、カワイ・レナード、ジミー・バトラー

▼パワーフォワード

ケビン・デュラント、ジェイソン・テイタム

▼センター

ジョエル・エンビード、アンソニー・デイビス、バム・アデバヨ

■最強アメリカ代表(仮想)をポジションごとに詳しく紹介


 ポイントガードは、驚異のシューティングレンジとリーダーシップを誇るカリーとリラードがプレータイムを分け合う。前者はバスケットボールキャリアで唯一、オリンピックのメダルを所持しておらず、度々五輪へのモチベーションを公言してきた。また、ゴールデンステイト・ウォリアーズで苦楽を共にしたスティーブ・カーが米代表のヘッドコーチを務めていることも、参加の大きな後押しとなるだろう。

 仮に、カリーのシュートタッチが悪くても、ベンチにリラードが控えているのは心強い。強心臓とクラッチタイムの貢献度については言うまでもなく、仮に新天地のミルウォーキー・バックスで悲願の初優勝を果たした場合、勝利の味を知った選手として、さらなるパフォーマンスを発揮することだろう。なお、最近の報道では、ディフェンスの名手であるドリュー・ホリデーを熱心にリクルーティングしているようで、ガードの強度を高めるためにホリデーが選出される可能性も高まってきた。

 オフェンスに推進力をもたらすシューティングガードには、ブッカーとアービングをチョイスした。この代表を“リディームチーム 2.0”と呼ぶのであれば、コービー・ブライアントのDNAを引き継ぐ存在は不可欠であり、どのレンジからでもスコアできるブッカーはオフェンスに多彩なオプションをもたらすことだろう。仮にリズムが悪く、得点が停滞した場合はアービングが頼りになる。非凡なボールハンドリングとショットメイクのスキルは歴史上でも突出しており、アメリカ代表の経験もあることから、数々のクリティカルヒットを演出してくれるに違いない。

 スモールフォワードは、もはや冷酷とも捉えられる。バスケットボール史上最も偉大とされるレブロンは、リーダーシップと知恵、相手への恐怖をもたらし、無類のオールラウンダーとしてチームUSAをけん引。また、完璧なミッドレンジゲームを遂行するレナードは、守備の要であり、殿堂入りを確約するためにもキャリア初の金メダル獲得を望んでいるはずだ。もちろん、アンソニー・エドワーズやブラッドリー・ビールも素晴らしい才能だが、国際大会ではバトラーのような容赦ない競技者が試合を決定づけるだろう。過小評価されていたマイアミ・ヒートを2度もファイナルに導いた立役者は、近年のチームUSAに欠けていたメンタリティを持ち込むことが期待される。

 一方のパワーフォワードだが、デュラントとテイタムより良いデュオは存在しえない。デュラントの多彩な得点能力はチームメートのブッカーをも凌ぎ、サイズ、運動能力、シューティングスキルの三拍子そろったKDは、アメリカ代表の歴代最多得点記録保持者だ。これまで出場してきた国際大会では4大会すべてで金メダルを獲得しており、何度も大舞台の達人であることを証明してきた実績もある。また、バックアッパーのテイタムは、安定感のあるスコアリング性能は言わずもがな、複数のポジションを守れるディフェンス能力にも定評があり、アメリカに多様性の観点から有利な状況を生み出すことができる。

 エンビードがアメリカ代表へのコミットを発表したことで、インサイドも盤石な布陣が完成した。サイズとパワー、そしてソフトなタッチを代名詞とするエンビードはペイント内で支配的な存在となり、同選手に抗える勢力はニコラ・ヨキッチが参戦したセルビア代表のみかもしれない。そして、デイビスは優れたショットブロックとリバウンドによって、ディフェンス面からリズムを生み出して得意のミッドレンジで得点を重ね、仮にスピードとフットワークが求められる対面では、4度のオールディフェンシブ選出歴を持つアデバヨが登場すれば事態は簡単に収束する。

 ここで、対抗勢力のマッチアップを検討してみたい。ギリシャ代表のヤニス・アデトクンボにはレブロンやテイタムがサイズとスピードで抵抗しながら、ペイントエリアにエンビードとデイビスが立ちはだかる。また、セルビア代表に対しても、支配的なセンターのローテーションがニコラ・ヨキッチを苦しめ、スロベニア代表のルカ・ドンチッチにはレナードやバトラーがストレスをかけるはずだ。そして、ワールドカップで印象的な活躍を披露したドイツ代表のデニス・シュルーダーでさえ、史上最高級のバックコートを手玉に取るには終始、針の穴に糸を通し続けなければならない。

 仮想とはいえ、仮にこのようなアメリカ代表が誕生したら、“無敵”以外の形容詞をあてがうことはできない。来年のオリンピックで、我々は歴代最高のチームUSAを目撃することになるかもしれない。

文=Meiji