ヒューストン・ロケッツは今夏、ジェームズ・ハーデン帰還が噂された。ハーデンはヒューストンを第二の故郷として愛しており、本人も…
ヒューストン・ロケッツは今夏、ジェームズ・ハーデン帰還が噂された。ハーデンはヒューストンを第二の故郷として愛しており、本人もフィラデルフィア・セブンティシクサーズとの関係悪化が取り沙汰されたことから、復帰論を期待する声も少なくなかった。
しかし、球団は最終的にフレッド・バンブリートにポイントガードの座を託す決断を下した。『ESPN』によれば、これは球団の未来を見据えてのジャッジであり、イーメイ・ウドカ監督はハーデン獲得を見送った理由について、以下のように説明している。
「ジェームズについては何も反対意見はありませんが、フレッドの方が適切だと判断しました。私はブルックリン・ネッツでジェームズを指導する機会に恵まれましたが、彼は私が今まで出会った選手の中でもっとも賢い選手の1人です」
「私がジェームズ獲得を望まないと口にしたことは一度もありません。ただ、最適なオプションを見つけることに専念したまでです。ジェイレン(・グリーン)をはじめとする若手に次の成長を促すのであれば、彼らにボールを持たせる必要があります。私がジェームズ獲得を望まなかったのではなく、合理性からの決定です」
ハーデンは周知のとおり、ボールハンドラーとして真価を発揮するタイプだ。しかし、再建に舵を切ったロケッツのフロントは、将来を見据えて、目先の勝利よりも未来の中核にコート上での責任を与えたいと考えているようだ。
そのひとりが、ウドカ監督が名前を挙げた2021年のドラフト2位、グリーンである。グリーンはケビン・デュラントやジェイソン・テイタムに次ぐトップスコアラーとして、ポテンシャルの開花が期待されている。
また、グリーン本人も成長を望んでいる。加入当初、チームのとあるベテラン選手に対して「手本になってほしい。君たちは僕らにプロとしての振る舞いを示すべきだ」と発言しており、フロントオフィスのジョン・ルーカーは、感情論ではなく、その真実のみを伝える冷静な姿勢によって、グリーンが若手選手のリーダーになったと語っている。
ロケッツは、グリーン以外にも有望な選手を大勢抱えている。グリーンと同期のアルペラン・シェングンは、技巧派センターとしてペイントエリアで存在感を放ち、現代型パワーフォワードのジャバリ・スミスもサマーリーグで成長した姿を見せた。
今シーズンのロケッツは、ルーキーたちも威勢が良さそうだ。アメン・トンプソンはスターとしての素質を兼ね備えており、ドラフト20位のキャム・ウィットモアはサーマーリーグでMVPを受賞し、ファーストチームに選出されている。
オフボールプレーにも定評があるチームプレーヤーで、トロント・ラプターズでリーダーシップを発揮したバンブリードは、まさに若きロケッツのロスターが求めていた人材だろう。また、リーグ屈指のエナジーを持つディロン・ブルックスや、ジャーニーマンのジェフ・グリーンらもヤングコアに良い影響を及ぼすことだろう。
かつての中心選手が去った2023-24シーズンは、ロケッツにとって船出の1年となる。昨年、不本意なシーズンを送った飢えたロスターが台風の目となるかもしれない。
文=Meiji
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