ラグビーのワールドカップ(W杯)フランス大会に出場中のフィジー代表のジョシュア・トゥイソバ選手(29)は試合開始の直前、7歳の息子の死を知らされた。それでもフィールドに立ち続けることを選んだ。8日(日本時間9日)、4大会ぶりの8強入りをか…

 ラグビーのワールドカップ(W杯)フランス大会に出場中のフィジー代表のジョシュア・トゥイソバ選手(29)は試合開始の直前、7歳の息子の死を知らされた。それでもフィールドに立ち続けることを選んだ。8日(日本時間9日)、4大会ぶりの8強入りをかけてポルトガル戦に挑む。

 第2戦でオーストラリアに69年ぶりの歴史的勝利を収めた後、9月30日に迎えたジョージア戦。キックオフの数時間前のことだった。

 現地メディアのフィジー・ビレッジによると、トゥイソバ選手は父親からの連絡で、息子のティト君が亡くなったことを知った。母国の病院に入院し、闘病中だったという。家族から出された声明は「最愛のティトは衰弱性の病気との長い闘いの末、静かに息を引き取りました」と報告した。

 トゥイソバ選手はスタメンで出場し、チームは逆転勝利を収めた。専門メディアのSNSは、試合後に記念撮影やサインなど丁寧にファン対応をする姿を投稿。リプライ欄には追悼のコメントが並んだ。

 出場を続けるため、今月3日の葬儀にも帰国せずフランスに残る決意をした。SNSではその決断に否定的な声もあるが、「彼は息子のために勝利することを選んだ」「人生観は人それぞれ。信念を尊重しよう」と気遣う内容もあった。

 3日に記者会見したサイモン・ライワルイ・ヘッドコーチは記者からの質問に、「プライベートな問題。本人から、話題にしないよう丁重に要望があった」とコメントを控えた。

 フィジーは1次リーグ最終戦となるポルトガル戦で勝ち点1以上を上げれば、4大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出が決まる。

 南太平洋の島国で伝統的なラグビー強豪国のフィジー。代表チームは「フライング・フィジアンズ」の愛称で知られる。W杯には7大会連続9回目の出場で、世界ランキングは8位。

 トゥイソバ選手はウィングで主力としてチームを牽引(けんいん)してきた。フィジーがオーストラリアに金星をあげた9月17日の試合では、チーム唯一のトライを決め、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。(バンコク=大部俊哉)