スポーツを趣味以上の存在としてとらえ、プロアスリートのごとくストイックに取り組むビジネスパーソンが増えています。多忙のなか、なぜそこまでスポーツに打ち込むのか? 楽しむため? 鍛えるため? 健康維持のため? それともモチベーションアップの…
スポーツを趣味以上の存在としてとらえ、プロアスリートのごとくストイックに取り組むビジネスパーソンが増えています。多忙のなか、なぜそこまでスポーツに打ち込むのか? 楽しむため? 鍛えるため? 健康維持のため? それともモチベーションアップのため?
その謎に迫るべく、仕事とスポーツを上手に両立させている企業代表や各界の著名人に、スポーツとの関わり方や、スポーツがもたらすビジネスへの影響について訊く本企画。第2回は、メディア事業とアドテクノロジー事業を運営する、株式会社VOYAGE GROUPの代表取締役社長兼CEOを務める宇佐美進典氏に、ランニングとの関わりについて伺いました。
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―― まずは簡単に、御社の紹介をお願いします。
広告のプラットフォーム事業を中心に、自社メディアの運営や、人材系のサービス、さらには最近ですと、フィンテックといった新しい領域の事業にも取り込んでいます。子会社を15社ほど連結し、そこでさまざまな事業に取り組んでいる格好ですね。母体は今年で創業18年になります。
―― 企業の規模を見ても相当お忙しい日々を送っていると思いますが、宇佐美代表のご趣味はランニングをということで、どんなタイミングで走りに行くのでしょう。
基本的には毎朝走っています。距離は10㎞と決めていて、自宅から走って向かい、皇居周りをグルっと一周して走って戻ると大体10㎞なので、そのコースをルーチンとして走ります。もちろん走るだけではなく、仕事後に時間がある時はジムへ行ってウェイトなどのトレーニングをすることもありますね。
―― ランニングを始めたきっかけは何だったのでしょうか。
とても単純な理由なのですが、とにかく痩せたいということと、健康体になりたい一心でした。さほど不規則な生活を送っていたわけではないのですが、やはり年齢を重ねると、それなりに身体に不具合が出てきますよね。健康診断で「要再検査」の結果が出る度に、これはなんとかしなければいけないと思っていたのですが、一体何をすればいいのか分からない中で、何となく始めたのがランニングでした。
―― ランニングを始めてから1年ということですが、続けてみて身体に変化はありましたか。
けっこう「痩せた」という声はいただきますね。それと、最近は早朝でも日差しが強いので、見た目も浅黒く日焼けしていますし。健康状態はまだ何とも言えない状態で、ランニングを始めてから先日初の健康診断を受けたので、今はその結果が待ち遠しくてたまらないといった感じですね。願わくば、「要再検査」の文字が消えていて欲しいのですが、一体どうなることやら。
それと、走るようになってからは、毎日必ず体重計に乗っています。体重だけではなく体脂肪なども計れますし、何より目に見えて数値が変化している様子を確認すると、モチベーションも高まりますからね。走り始める前はそういった習慣はなかったので、今は割と身体も軽いですし、何より身体が変わって行く実感を持てています。
―― 食べる物や生活習慣にも気を遣っているのでしょうか。
食べる事は大好きなので、あまり厳しくしたくはないのですが、朝は野菜系を多めに取って、昼もなるべく油分を控えます。でも、夜だけは会食などもけっこうあるので、好きなものを食べるようにしていますね。飲み物も炭酸水に変えて、糖分を控えるといった工夫はしています。水だけだとどうしても飽きてしまうというか、飲み応えが欲しいと考えた結果、今は炭酸水にしていますが、以前は体脂肪を燃焼させるような健康ドリンクを飲んでいましたね。
―― 走る際に気をつけていることはありますか。
とにかく「無心」になることですね。一日の間で自分ひとりの時間というのは誰しもあまり持てないものですよね。僕にとっても朝のランニング中が、数少ない自分の自由時間だったりするので、できるだけ何も考えず、精神に負担がかからないように気を配っています。工夫というわけではないのですが、いつもライトノベルの朗読を聴きながら走るのが最近のマイブームです。
―― 音楽ではなく、朗読を聴きながら走るというのは中々珍しいですよね。逆にいろいろ考えてしまいそうな気もします。
何も一生懸命耳を傾けているわけではないんです。正直、聞き流す程度なのですが、とても耳障りがいいというか、私にとってはとても心地よいものです。あまり社ではカミングアウトしていない趣味なのですが、実はアニメなどが好きなので、最近やっとラノベの領域に手を出すようになりまして(笑)。けっこうみんな驚くかもしれませんね。
―― 親近感を覚える従業員の方もいるのではないかと思いますが、例えば社内でランニングを共有することなどはあるのでしょうか。
頻繁にという感じではありませんが、たまに一緒に走ったりすることはあります。今度、浅草の方を走る計画があって、土地勘があっていつも付近を走っているという従業員と一緒に走る約束をしました。部活などを設けて活動しているわけではないので、今はポツポツといった具合ですが、今後はどうなるかわかりませんね。
―― 最近では、社内にマラソン部を設けて、駅伝や大会に出場する企業も増えているようですが、宇佐美代表は個人的にそういった大会に出場された経験はありますか。
一度だけ、ハーフマラソンに出場しました。興味がなかったわけではなく、一度くらいは挑戦してみたいという気持ちを持っていましたが、いきなりフルマラソンに挑戦するのも無謀な気がして、ハーフマラソンならなんとかなるのではないか? と思ったことから出場を決めました。
実際に走ってみた感想は、とにかく気持ちよかったという一言に尽きます。参加したのは「古宇利島マジックアワーRUN」という大会で、沖縄の日の入り前の美しい夕日を見ながら走るという素晴らしいロケーションを堪能しつつ、走りました。
▲「古宇利島マジックアワーRUN」完走後の宇佐美代表
―― 出場した感想をお聞かせください。
おかげさまで無事に完走でき、ホッとしました。タイムにはそこまで執着していなかったので、とにかく走りきれたことや、走ることの気持ち良さみたいなものを充分堪能できたので、満足です。でも、終始自撮り棒を持って、私が走っている様子を撮影しながらの道中だったので、普通に走るよりも体力をつかったのかなと思います。
―― 充分満足できたということは、今後も継続的に大会へ参加したいという気持ちが高まったのではありませんか。
もちろん、機会があれば是非参加したいと考えていますが、私はあまりタイム等に興味を持っていません。つまり、競技としてのマラソンよりも、いかに走ることを楽しめるかに重点を置いているので、大会に参加することを目的として日々トレーニングを重ねるランナーの方々よりは参加数は少なくなる気はします。でも、興味は持っていますね。
―― 最後になりますが、宇佐美代表にとって、ランニングとはどういったものでしょうか。
「なくてはならない習慣」といったところでしょう。もちろん、健康のために始めたことなので、当初は確固たる目的を持っていましたが、今はそれだけでなく、一日の始まりに10㎞走ることによって、頭の中をリセットできるのがとても大きいことと思っています。とても一日の流れがスムーズになった気がしますし、何よりリズムとして組み込まれているので、走らないと不安になってしまうかもしれませんね。
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[プロフィール]宇佐美進典(うさみ・しんすけ)
1972年生まれ。愛知県出身。トーマツコンサルティングなどでの経験を経て、1999年にアクシブドットコムを創業。2011年に株式会社VOYAGE GROUPに商号を変更。2015年にはマザーズから東証1部に市場変更している
<Text:上野慎治郎(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>