■ママコチャ

【中間調整】毛色こそ異なるがここまでGIで3勝を挙げているソダシの全妹という良血馬。オープン昇級後、マイルの重賞では結果が出なかったが、2走前の芝1400m・安土城Sで3馬身差の快勝。序盤に力む面が強い馬で、マイルより短いところに適性を感じさせる勝利だった。前走はさらに1F縮め、自身初の芝6F戦だった北九州記念。ハンデ55.5キロはやや見込まれた感があったものの、高速馬場を利して押し切ったジャスパークローネに、半馬身差まで迫る2着と健闘を果たす。初のスプリント戦でこの結果なら、短距離適性は相当なレベルと言っていいだろう。

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リステッド競走勝ちにGIII2着で賞金的には微妙な立場であり、秋はスプリンターズSを目指さずスワンSか京阪杯かが当初の目標。しかし、GI・スプリンターズSで体が空く格好の川田騎手サイドからプッシュがあったらしく、同騎手を鞍上に大舞台を目指すことになった。今年は賞金ボーダーがそれほどでもなく、除外の心配なく調整できるのも決め手だったようだ。短期放牧先から9月12日に栗東へ帰厩。14日にさっそくCW1F11秒5(馬なり)とスムーズな加速を見せており、放牧で緩んだ感はない。1週前となる21日のCW追いでは終いにややズブさを感じさせたが、伸び脚そのものは豪快だった。その後、24日には坂路2F26秒8(馬なり)も消化している。

【最終追い切り】レース当週は今回新コンビ結成となる川田騎手が騎乗し、坂路で準オープン馬と併せられた。序盤はピタリと折り合い、相手をアオりつつ併走。満を持して鞍上からゴーサインが出されると、気持ちを入れて一気に加速し、追いすがる相手を2馬身突き放しての先着を果たした。脚捌きは軽快そのもの。

【見解】成長期で太目残りが影響したぶんか、1週前の動きにはやや重苦しさがあった。それでも日曜追いで比較的強めに負荷を掛けたのが奏功したようで、最終追いの動きは素軽さ満点。このあたりの“サジ加減”はさすが名門・池江厩舎と言えた。仕掛けには機敏に反応し、滑らかに加速。川田騎手も納得の動きだったのではないか。絶好の気配にありそうで「GIで初重賞制覇」の可能性十分。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター 競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。