現在、アジア競技大会が行われている。サッカーだけではなく、水泳や柔道など、多くの種目で日本代表の選手たちが奮闘している…

 現在、アジア競技大会が行われている。サッカーだけではなく、水泳や柔道など、多くの種目で日本代表の選手たちが奮闘している。蹴球放浪家・後藤健生も、もちろんアジア大会は取材してきた。中でもバンコク開催の大会には、忘れられない思い出が詰まっている。

■他競技も楽しむ

 アジア大会というのは楽しい大会でした。

 ワールドカップやアジアカップと違って基本的には1都市での開催なので、毎日、試合を見ることができますし、サッカーがない日には他競技も観戦できます。しかも、オリンピックやワールドカップと違って、記者の数も少ないですから、記者席もたいていはガラガラ。かなり気楽に行動できるというわけです。

 しかも、ADカードを持っていると、競技場とメディアセンターを結ぶシャトルバスに乗れますから、スタジアムが遠くても座ったままで移動できるのです。

 12月13日の日曜日には、どういうわけか、女子も含めてサッカーの試合がありませんでした。そこで、他の競技を見に行こうと思ってスケジュールを見ていたら、陸上競技があったのです。

 陸上競技はタマサート大学内のスタジアムが会場でした。バンコク中心街からは30キロ以上あるので移動が大変ですが、メディア用シャトルに乗れば、競技場の前まで連れて行ってもらえます。

 競技場に到着しました。細かなスケジュールは知らないで行ったのですが、到着してすぐに男子100メートルの準決勝が始まりました。

 伊東浩司さんが出てきました。スタートと同時に飛び出した伊東がそのままゴール。「うわっ、速っ!」とビックリしていると、記録は10秒00。当時の日本新記録でした。

■シャトルバスに飛び乗る

 シャトルバスはとても便利なものですが、行き先を間違えると大変なことになります。

 この大会のために新設されたラジャマンガラ・スタジアムで行われた決勝戦では、イランが2対0でクウェートを下して3度目の優勝を決めました。マハダビキアにザリンチェ、バゲリにアリ・ダエイといった、1992年のアジアカップ広島大会以来、1990年代を通じて日本と死闘を繰り広げてきた選手がそろっていました。

 表彰式も終わって、市内に戻ろうと思ってシャトルバスを探していると、ジャーナリスト仲間のT村修一氏が「後藤さん、これですよ」と言うので、バスに飛び乗りました。

 T村氏は、鉄道やバスを乗り間違えて、目的地とは違うところに行ってしまうという経験を何度もお持ちの方です。そんなT村氏の言うことを信じてしまったのですから、僕も相当疲れていたんだと思います。

 バスの中でウトウトしていたのですが、気が付くとどうも道が違うようなのです。バスは都心を離れて、水田や畑の中を走っています。

 しかし、もう手遅れ。目的地まで行ってしまうしかありませんでした。

■着いた場所は…

 バスが目的地に到着しました。どうやら、タマサート・スタジアムの近くの選手村の入口のようでした。

 別のバスがやって来ました。バスから降りてきたのは、首から金メダルをぶら下げたアリ・ダエイでした。早速、イラン人記者が駆け寄ってインタビューを始めました。

 僕たちは次のバンコク市内行きのバスが来るまで、待っているしかありませんからヒマでしょうがありませんでした。そこで、アリ・ダエイの所に行ってインタビューの真似事をしました。英語で話しかけると、なにしろ優勝した直後でしたから、アリ・ダエイも上機嫌で心境などを語ってくれました。

 思い出深いバンコク・アジア大会の記憶でした。

 さて、現在中国・杭州で開催されている第19回アジア競技大会。男子(U-22)も女子も日本はBチーム級で出場していますが、今の日本のサッカーの立ち位置を考えれば、ともに優勝を狙えるはず。健闘を祈りましょう。

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