【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬 【デピュティミニスター】  ノーザンダンサーはカナダで誕生した世紀の大種牡馬。直系子孫は世界中に拡がっています。母国カナダで最も成功し…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【デピュティミニスター】

 ノーザンダンサーはカナダで誕生した世紀の大種牡馬。直系子孫は世界中に拡がっています。母国カナダで最も成功した後継種牡馬はヴァイスリージェント。計13回チャンピオンサイアーとなりました。デピュティミニスターはその代表産駒で、現役時代にカナダの年度代表馬とアメリカの2歳牡馬チャンピオンとなり、引退後は北米チャンピオンサイアーとなりました(1997、98年)。カナダで続いたノーザンダンサー系の保守本流といえます。

 ダート向きの中距離血統で、日本ではフレンチデピュティとその息子クロフネが輸入され、いずれも成功を収めました。マインドユアビスケッツもこの系統に属しています。母の父としてもカネヒキリ、カジノドライヴ、カーリンなど多くの活躍馬が出ています。この系統の種牡馬は母方に入った際に優秀で、たとえばフレンチデピュティのライン、オーサムアゲインのラインは素晴らしいブルードメアサイアーとなっています。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「オルフェーヴル産駒はなぜダートでも強い?」

 サンデーサイレンスは芝向きのスピードと切れ味を伝える種牡馬で、代表産駒のディープインパクトはまさにそうした特長を備えていました。ステイゴールドはややタイプが異なり、フランス血統の母の父ディクタスの影響か、洋芝などの力の要る馬場に強いという特長がありました。瞬発力よりもスピードの持続力に優れ、洋芝、荒れ馬場、小回りコースを得意とするものが目立ちました。宝塚記念と有馬記念に強く、オルフェーヴルとナカヤマフェスタが凱旋門賞で2着となったことがステイゴールドの特長を物語っています。

 息子のオルフェーヴルは、母の父がステイヤーのメジロマックイーンなので、決して軽快な血統ではありません。底力満点の重厚な血統を気性の激しさで動かしている、という面がありました。4×3でクロスさせたノーザンテーストは、北米血統だけにダート向きの適性を秘めており、わが国のダート路線が未整備だった時代にあっても、ダイナレターのような砂の大物を出しています。オルフェーヴルは重厚さとパワーを併せ持つ血統なので、産駒は切れ味や軽快さが要求されるレースでは弱みを見せます。その一方で、超長距離、荒れ馬場、洋芝、ダートといったタフな条件では信頼できます。

 オルフェーヴル産駒のウシュバテソーロは、春にドバイワールドC(首G1・ダ2000m)を勝って国際的なダートホースへと成長しました。9月27日、船橋競馬場で行われる日本テレビ盃(JpnII・ダ1800m)で戦列に復帰します。どんな競馬を見せてくれるのか興味が尽きません。