<シマノ鈴鹿ロード2023(前編)はこちら>2日目は、ベテランたちが競い合う「マスターズ」からスタート。さらに2日目も、小・中学生や1時間の耐久レース、各種ロードレースとチームタイムトライアルが開催された。スキルと嗜好に合わせた多様なレース…

<シマノ鈴鹿ロード2023(前編)はこちら

2日目は、ベテランたちが競い合う「マスターズ」からスタート。
さらに2日目も、小・中学生や1時間の耐久レース、各種ロードレースとチームタイムトライアルが開催された。



スキルと嗜好に合わせた多様なレースが展開

午後に差しかかると、ハイレベル層のレースが立て続けに開催される。「5ステージ・スズカ」の最終ステージでは、リーダーがごく僅差で争われ、レースの最中も、展開に応じて、バーチャルのリーダーの行方が動き続けるなど、緊張感の高い展開になった。



圧巻だった5ステージ・スズカ。一度リーダーを手放した川崎嘉久(Nerebani)はジャージを奪取、最終ステージで3位となり、総合優勝を決めた

そして、この大会の最高峰である「クラシック」の女子エリートがスタート。駆け引きを経て、高橋由佳(バルバクラブエチゼン)が2連覇を決めた。



女子のクラシックレース



見応えのあるレースが展開された

最後を飾るのは「クラシック」の男子エリート。ここには、国内の主要チームの多くが参加し、参加資格を満たしたホビーレーサーとともに、レースを走る。ホビーレーサーにとっては「完走」が勲章になるビッグレースだ。



大会の目玉となるクラシックレース。プロチームの選手たちは観客とハイタッチしながらコースイン

オープニングセレモニーを経て、選手たちがスタートラインに整列、本コースを10周する58.1kmのショートレースにスタートしていった。今年は非常に気温が暑く、厳しいコンディションの中の開催となったが、やはりレースは例年通り、序盤から高速の展開となった。



序盤から、いきなりハイペースの展開に

21年の全日本チャンピオンの草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)の飛び出しに呼応し、5名の集団ができる。そこに、アジア選手権トラックで3つのカテゴリーを制した世界選手権帰りの橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)が合流し、6名となり、力のあるメンバーの抜け出しに、会場が沸く。だが、メイン集団が先行するメンバーを吸収し、大集団へと戻った。
7周目に、再び力のある選手を多く含む10名の逃げが生まれ、灼熱のサーキットには再度、緊張が走る。ホストチームであり期待を受けて走るシマノレーシングや、強豪のキナンレーシングチームが先方を固め集団の引き上げを図る。



有力選手を多く含む逃げ集団ができる



ホストチームであるシマノレーシングが集団の引き上げを図る

先頭から、吸収を嫌った小石祐馬、岡篤志(以上、JCLチーム右京)と、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が先頭集団から飛び出し、逃げ切りに向け、先頭をひた走った。最終決戦に向け、隊列を整えながらスピードを上げ、全力で追い上げる集団が、3名に迫る。
3名から岡が単独での逃げ切りに賭け、飛び出した。逃げる岡、追う集団。緊張感の中、最終コーナーを回る手前で、ついに岡は集団に吸収され、一つの集団に。これから起こる大集団でのスプリント勝負を見守る会場のボルテージが上がる。



大集団のゴールスプリントへ

このために、集団の中で控えていたのは、スプリンターチームのスパークルおおいた。隊列を組んで引き上げた沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)が、パワフルなスプリントを繰り出し、このレースを制した。



クラッシックの表彰台

スパークルおおいたレーシングチームの1-2フィニッシュとなった超ハイペースのレースの中に、逃げ、吸収、再度の飛び出しと、最終盤での吸収での切なさ、スプリンターの勝負強さと、ロードレースの全ての要素が入ったとも言える展開で、
初めてレースを見た層も、ロードレースの面白さに魅了されたようだった。

興奮冷めやらぬ中、待機していた最終レースのレーサーたちが、コースイン。最後を飾るのは、2日間のオールラストを飾る未就学児の自転車かけっこ「ミルキー」だ。この日は、0歳児も3名がエントリー。全く別次元の種目に、これまで緊張感を持って見っていた観客も、笑顔で拍手を送っていた。



今年はパパママの激走大会となった0歳児の部



やる気満々のちびっこライダー。ミルキー卒業のきょうだい児のかいがいしいサポートも目立った

「知っとく講座」と題し「ウェイトコントロール(栄養学)」や「疲労対策」など、アクティブに生活を楽しむ層の関心が深いテーマを設定した講座も開講した。シマノレーシングのメンバーも参加し、体験を語るなど、具体的な情報も含まれていて、集まった参加者は、興味深く真剣に話に耳を傾けていた。



いかに速やかに疲労を回復させるか。選手の課題は、働きながらアクティブに活動する層と同じ

今年から成人のレースに、中学生もエントリーが可能となり、多くの13~15歳の若手が参戦した。将来有望なジュニアへの可能性を開くための策だったのだが、その思いを受け、大いに奮闘。上位入賞やスプリント賞の獲得など、大人を驚かせる一幕も。



ジュニア層など若手の健闘が目立った年でもあった

「自転車で遊びたい」「本気で挑戦したい」「観戦したい」など様々な層も、子供もシニアも、皆が文句なしに楽しめた2日間。大会の様子は、フルにyoutubeライブで中継され、視聴数は、両日3万を超える人気だった。これからも、時の流れにつれ、変わりゆく嗜好に合わせながら、大会は進化を続けることだろう。



家族全員でシマノ鈴鹿を楽しむ層も増えた



ショップ単位でバスを借り、にぎやかに参戦



各レースのスターターも、年齢性別、エントリーの有無を問わず、体験できる



シマノレーシング50周年を記念し、歴代のチームのバイク、ウェアを展示

来年の大会の情報が出てくるのは、来年の早春ごろになるだろうか。気になる方は、ぜひチェックを!
夏の思い出が作れること、間違いなしだ。

画像:シマノ鈴鹿ロード