かつて井上と拳を交わしたバトラー。日本が生んだ怪物の強さを知る男はフルトン戦に持論を口にしている。(C)Getty Images 世界を熱狂させた“モンスター”のTKOに、かつてのライバルも唸った。 去る7月25日に行われたタイトルマッチで…
かつて井上と拳を交わしたバトラー。日本が生んだ怪物の強さを知る男はフルトン戦に持論を口にしている。(C)Getty Images
世界を熱狂させた“モンスター”のTKOに、かつてのライバルも唸った。
去る7月25日に行われたタイトルマッチで、WBC&WBO世界スーパーバンタム級2団体統一王者のスティーブン・フルトン(米国)と対峙した井上尚弥(大橋)は8回TKO勝ち。序盤から主導権を握り、相手の疲労が色濃くなった終盤に強烈な右ストレートからの左フックを見舞って勝負を決した。
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スーパーバンタムでの初戦で「難攻不落」と称された王者を撃破した。そんな井上の強さは、キャリア25戦無敗22KOにまで伸びた圧倒的戦績ともに海外メディアを中心に大きくクローズアップされた。
そんなフルトン戦について「彼(井上)はとても優れている。俺たちはフルトン戦でそれを目の当たりにした」と訴えるのは、元WBO世界バンタム級王者のポール・バトラー(英国)だ。
現在34歳の英国戦士は、昨年12月に奇しくも有明アリーナで実施されたバンタム級の4団体統一戦で井上と激突。フルトンと同様に守勢に回され、防戦一方となって11回KOで敗北し、“モンスター”の異次元さを体感していた。
ゆえにフルトン戦を「本当に素晴らしいと思った」と振り返るバトラーは「イノウエは明らかにリングの中で自分自身を出していた。でも、彼が優れた戦いをすることは分かっていた。誰も彼の前ではうまく戦えないとは言えないとまでは言わないが、足の動きに加えて、パンチのスピード、パワーもある。本当に強いよ」と激賞した。
海外でも衛星中継されるなど、大きな話題を集めた井上のスーパーバンタム初戦。その試合前には、フルトン陣営のワヒード・ラヒームトレーナーが「問題が起こらないよう安全に。レフェリーにも求めたい」と主張。心理戦の一環とも思われるが、バンテージの巻き方が国内外で小さくない波紋を呼んだ。
しかし、バトラーは井上のバンテージに対する“疑い”に持論を述べている。
「オンラインの動画で、フルトン戦の巻き方は確認したよ。でも、日本には日本の、他とは違うローカルルールがあって許されている。ここ(英国)では明確に禁止されているけど、彼らのところでは許されているんだ。あの試合でイノウエのトレーナーが、通常通りのバンテージの巻き方をしたかどうかは定かじゃないけど、指摘を受けたせいか、重ねて巻かなかったんじゃないかなと思うよ。
ただ、俺との試合では重ねて巻いていたね。彼の手に巻かれているバンテージを見て、トレーナーは、『あんな巻き方は一度も目にしたことがない』と言っていた。手の肌に直接、幾重にもテープが巻かれ、それからバンテージ、テープ、バンテージ、テープって具合に重ねてあったからね。ただ、トレーナーは、『これまで目にしたなかで最高のもので、ハンドラップの場面は、たくさん見ているが、イノウエのそれは特別だった』とも言っていた」
何はともあれ、フルトンを撃破する井上の衝撃的な戴冠劇にバトラーは「最高だった」と吐露。タイトルを争ったライバルとして刺激を受けたようである。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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